く~にゃん雑記帳

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<ほうらんや火祭り> 直径1.5m・重さ500kg 国内最大級の大松明

2012年08月16日 | 祭り

【奈良県橿原市の夏の風物詩、2つの神社で担いで奉納】

 橿原市の春日神社と八幡神社で15日「ほうらんや火祭り」が行われた。五穀豊穣と無病息災を願って400年以上前から続くという伝統行事。奈良県重要無形民俗文化財にも指定されている。松明(たいまつ)は1人で担ぐ小松明と20~40人で担ぐ大松明の2種類。大きいものは直径が1.5m、高さ3m、重さ500kgにもなる。神社境内でこれを担いで回って奉納する。火祭りは新宮・神倉神社の御灯祭、守山市の勝部の火まつり、鞍馬の火祭り、八日市市の太郎坊お火焚き祭、那智の火祭りなど各地にあるが、日中に行われるのは珍しい。

 松明の形は大小ともずん胴状。小麦のワラを芯にして菜種ガラで包み、これを半割りした青竹で覆い注連縄で胴体を締める。大松明は縄で3カ所ワッカを作り、その中に長さ10mほどの丸太の担ぎ棒3本を通して担ぐ。いずれも各地区でこの日早朝から作ったものだ。昔1度だけ「ほうらんや」をやらなかったところ、その年に疫病がはやったことから、その後は毎年欠かさずに行われているという。

 最初に春日神社で午後1時ごろから始まった。近鉄坊城駅から北東に歩いて約10分。東坊城4地区から大松明4つ、小松明2つが神前に奉納されていた。まず松明を担いで境内を時計回りに1周。その後、本殿前の火床から点火し2周する。見物客はカメラを抱えた人を中心に300人ほどか。周囲にロープが張られているが、大松明が前を通り過ぎると熱風が押し寄せ熱い。

 

 

 特に点火して2周目は火の勢いも増す。浴衣姿の担ぎ手は濡れタオルなどで頭を覆っているが、その熱さは半端じゃないだろう。担ぎ終わった松明は境内の中央に立てられ、燃えるに任せる。時々、竹がはじける「パン」「バーン」という大きな音。蝉時雨の中、1時間ほどで無事に終了。最後は氏子総代の方の挨拶と手打ちで締めくくられた。その後、頂いたお神酒のおいしかったこと!

 午後3時からは場所を坊城駅に程近い八幡神社に移して行われた。春日神社より境内が広いうえ中心街にあるためか、観客も町民を中心に春日神社の何倍も多かった。町内6地区から大松明が担がれ次々に〝宮入り〟するが、大きい松明は鳥居をくぐるのもやっと。本殿でお祓いをすませた後、同じように各松明が「ワッショイ、ワッショイ」と境内を3周。火の勢いが強く見ていてヒヤヒヤする松明がある一方で、水をかけ過ぎたのか、なかなか火がつかず何回も点火をし直す松明もあって笑いを誘った。

 それにしても「ほうらんや」という一風変わった名前のこの祭り、一体どこから来ているのだろうか? 由来ははっきりしないが、①各地に伝わるヒフリ(火振り)という雨乞い神事の1つ②虫送り行事(「ほうほう、ほうらやれ」という虫送り行事の掛け声に似ているから)③お盆行事の精霊火――など諸説ある。かつての掛け声は「豊来や(ほうらいや)」だったという話も。この「ほうらんや」に響きが似ている祭りに、松江で12年に1回行われるお船神事「ホーランエンヤ」がある。その語源もはっきりしないが「宝来栄弥」や「蓬莱へ蓬莱へ」の掛け声からともいわれる。「ホーランエンヤ」の祭りは大分・豊後高田や広島・尾道でも行われている。

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