経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

8/21の日経

2014年08月21日 | 今日の日経
 7月のコンビニの回復は鈍かったし、8/19の百貨店も同様だった。第一生命の高橋大輝さんによれば、百貨店の季調値は前月比マイナスらしい。7月の貿易統計も純輸出は横ばい圏で牽引力はなかった。気になるのは在庫増と減産の行方だ。止まらなければ、1997年の二の舞になるから、ハラハラして眺めている。V字期待の楽観論者は気楽でうらやましいよ。

 2011/5/30の社会保障改革に関する集中検討会議(第9回)では、1997年の消費増税のマイナスの所得効果は0.3兆円で、景気後退の主因ではないとされたが、今回の4-6月期の家計消費(除く帰属家賃)は、駆け込みの2倍を超える落ち込み分が年換算値で4.1兆円にもなる。これの主因は何かな、お天気かね。

 それから、検討会議の報告では、「増税や負担増が必ずしも景気後退をまねいてはいない」らしいし、「将来不安が払しょくされることにより、経済に与える影響は小さくなる 」そうだ。楽観論者は、これらに期待しているのかもしれない。「物価が上がれば、需要は減る」という単純な原理しか信用しない筆者には、なかなか呑み込めない。

※お役所の採用した小さな数字の問題点は、KitaAlpsさんの4/5「消費増税の恒久的影響と短期的影響」を参照。なお、3か月ぶりの8/20更新記事「資金循環で見る「異次元緩和」後の1年」もある。


(今日の日経)
 景気対策に1兆円確保。円安の背後に郵貯。7月0.7%減収・コンビニの回復鈍く。年金改革を社保審で議論。マツダ無借金へ。バイト時給高止まり。製紙が減産を強化。経済教室・医療介護で雇用を・浦川邦夫。

※ちょうどPBの過剰達成分が隠れる感じかな。

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1 コメント

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Unknown (KitaAlps)
2014-08-21 09:23:39
 付言していただいてありがとうございます。
 付け加えますと

>「2011/5/30の社会保障改革に関する集中検討会議(第9回)では、1997年の消費増税のマイナスの所得効果は0.3兆円で、景気後退の主因ではない・・・」

 この所得効果(恒久的影響)のマイナスは「0.3兆円しかない」という根拠が、「吉川洋委員、井堀利宏教授(東京大学) が中心となってとりまとめを行い、内閣府が整理を行った」『社会保障・税一体改革の論点に関する研究報告書』(内閣府、平成23年5月30日)です(集中検討会議で吉川先生から報告されています)。
そして、さらに、その「0.3兆円」の根拠が、同報告書で引用されたキャシン・宇南山(2011)論文です。

Cashin,D. and Unayama,T.(2011)"The Intertemporal Substitution and Income Effects of a VAT Rate Increase: Evidence from Japan" RIETI Discussion Paper Series 11-E-045 (April 2011)

 このキャシン・宇南山論文について、代替効果の期間のとらえ方が狭すぎ、またデータ上、住宅投資をカバーしていない家計調査のみを元にしているなどの問題があり、住宅投資の減少や自動車などの耐久財への影響を正しく捉えていないと批判したのが、13年4月の次のページ(その後24B、24Cを追加)でした。
「財政出動論24(消費税増税の影響(97年増税の例))
http://kitaalps-turedurekeizai.blogspot.jp/2013/04/blog-post.html
 
 それら3つのページを1年後の今年4月にあらためて整理しなおしたのが、ご紹介いただいた「財政出動論33・・・」になります。

 それにしても、大先生方の「壮大な誤り」だったと思います(・・・まあ、まだ完全に結論が出ているわけでもないですが)。


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