経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キシノミクス・好調な消費、不調の生産

2023年04月02日 | 経済(主なもの)
 2月の商業動態・小売業は、前月比+1.5と伸びて、1,2月平均の前期比は+1.8となった。名目とは言え、加速感がある。他方、2月の鉱工業生産は前月比+4.1ではあるものの、1,2月平均の前期比は-2.8で、1-3月期は2期連続のマイナスになりそうである。消費は好調だが、輸出の低下で、生産は不調だ。景気としては珍しいパターンで、高めの賃上げを背景に、更なる内需拡大による回復に期待したい。

……… 
 小売業は、自動車が増え、衣服・身の回り品も伸び、百貨店も好調だ。物価高でも明るさが感じられる。この背景には、家計調査や毎月勤労統計に見られるように、収入の順調な増加がある。物価の上昇は続いているが、ある程度の消費の強さがなければ、上げられないものだ。3月のCPIの東京都区部は、総合が前月比+0.3であり、やはりサービスも上がった。消費、賃金、物価が共に上がる形になっている。

 2月の雇用については、失業率が+0.2の2.6%と戻ってしまい、就業者も前月比-30万人と、12,1月に増やした分を戻した形で、総じて横ばい状態が続いている。2月の新規求人も、前月比-0.06の2.32倍で逆戻りである。人手不足が言われる割に、求人はコロナ前より少ないままだ。毎月勤労統計でも常用雇用は今一つであり、伸びているのは、時間当たりの現金給与総額である。

 他方、2月の鉱工業生産は、1月が前月比-5.1だったところに+4.1であり、2022年7-9月期に資本財(除く輸送機械)が盛り上がったものが剥落している。消費財は低落が続いており、建設財については、コロナ後の最低レベルである。鉱工業生産は、数量ベースなので、物価高の下では見劣りがするにせよ、消費増税前の水準の回復はおろか、コロナ前の水準さえも、未だギャップが大きい。

 2月の住宅着工は7.2万戸と前月より増えたが、1月に減った反動の範囲内であり、一進一退の状況だ。建設資材が高騰する中で、戸数と面積が保たれているのは、まずまずかもしれない。住宅着工の面積は、消費と同様、消費増税後に水準を下げるのを繰り返し、コロナ禍で一段と下げた後、2021年前半に持ち直したが、ズルズルと後退している。こちらも消費増税前の水準には遠い。

(図)


………
 名目値ではあるが、消費は意外に好調だ。春闘の賃上げ率も思いのほか高かった。非製造業の機械受注も上向いている。色々と批判はあるにせよ、ガソリンや電気ガスの補助も、消費にはプラスである。物価対策を行ったことで、コロナ後でも補正予算の剥落が少なく済んでいる。こうしているうちに、外需が戻って来れば、景気の回復に漕ぎ着けられるが、欧米は、まだ見通せないところだ。


(今日までの日経)
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