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経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

キシノミクス・コロナが緩むも伸び悩む経済

2022年02月06日 | 経済(主なもの)
 12月の鉱工業、商業動態は、コロナが収まっていたにもかかわらず、いずれもダウンとなり、この様子では、10-12月期のGDPは、コロナの蔓延で大幅なマイナス成長だった前期の反動が出るはずなのに、伸び悩みそうだ。プラス成長であっても、前期の落ち込みを取り戻すところまで行くか微妙で、景気の下地の弱さがうかがわれる。コロナの影響だけでなく、10%消費増税後の低成長構造との戦いでもある。

………
 12月の鉱工業生産は前月比-1.0となって、10-12月期が前期比+1.0になったものの、7-9月期が-3.6もの落ち込みであった割に鈍いものとなった。前期の落ち込みの原因であった自動車は12月までにほぼ回復したが、資本財(除く輸送機械)が前期比-2.2、建設財が前期比-2.3といずれも2期連続の低下である。投資部門の低調さは、コロナの動向とは別に、今後の景気に不安を抱かせるものである。

 次の1-3月期に関しては、1,2月が+5.2、+2.2と大きく伸びる予測になっており、鉱工業生産の1,2月平均は前期比+7.8、資本財(除く輸送機械)が+8.6、建設財が+10.6と高く、消費財に至っては+10.9とされている。ただし、経産省の1月の鉱工業の補正値試算は+0.6にとどまっており、輸出の鈍化、中国経済の減速などを考えあわせると、1-3月期が一転して高伸するとは思われないところだ。

 消費に関しては、12月の商業動態・小売業が-1.0と4か月ぶりの減少、鉱工業の消費財生産は-1.5だった。この感じからすると、コンセンサスよりも低くなるが、1-3月期の消費は前期比+2.0ほどと見ている。前期の落ち込みは何とか取り戻せても、1年前の2020年10-12月期の水準に及ばないくらいだ。正直、コロナが緩んでも、この程度なのかと思う。消費増税後の抑制構造の下、物価の上昇もあり、なかなか回復しない。

 投資に関しては、設備投資が2期連続のマイナスになりそうだし、住宅は横バイ圏と弱い。しかも、政策的に動かせる公共投資が、かなりのマイナスになって足を引っ張るのも痛い。おまけに、政府消費までマイナスになるおそれもある。外需については、輸出増と輸入減によってプラスの寄与が見込まれるものの、10-12月期のGDPは、前期より回復すると言っても、コロナ前とは5兆円、消費増税前とは更に10兆円足りないレベルにとどまろう。

(図)


………
 12月の結果は、コロナが収まってすら、成長が鈍いことを示唆している。他方、税収だけは、11月分も引き続き好調で、ここまでの累計の前年度差は、補正後の税収見込みの前年度差を上回る。つまり、税収の上ブレがほぼ確実になったということである。最新の予想では、所得税が0.3兆円、消費税が1.0兆円、補正後の見込みを超えそうだ。鈍い成長の理由の一端は、このあたりにもある。企業は賃金での還元を求められているのだが、政府は果たして。


(今日までの日経)
 トンネル4割寿命 修繕費膨張。公的年金運用、5.4兆円の黒字 10~12月。長期金利、0.2%台に上昇 6年ぶり高水準。協働ロボを3倍に増産。「投資立国」が招く円売り 伸びる海外M&A。「コロナ貯蓄」米で急減 政府支援で拡大→低所得層取り崩し。


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