10月の経済指標は、消費が大きく伸びていることを示唆する内容だった。景気は一つの節目を迎えたと言って良いだろう。7-9月期に続き、今期は、消費を中心に代え、2%成長を達成できるかが焦点となる。そうなって初めて、経済は起動したことになり、自立成長が始まる。この間、何か新しい政策がなされたわけではない。そう、不作為という大功績によって、成長が実現しつつあるのだ。
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10月の商業動態の小売業は、前月比+2.6と大きく伸びた。財の物価指数で除しても+1.2で、実質でも十分に大きい。また、鉱工業指数の消費財出荷は、前月比+3.7となり、これに伴い、生産が+1.0になった上、在庫が-7.2の大幅減となった。鉱工業は全体としても好調で、出荷が+2.1、生産が+0.1、在庫が-2.3となり、11,12月の生産予測指数も+4.5、-0.6と高い。単純に予測どおりなら、鉱工業の10-12月期の前期比は+3.7にもなる。鉱工業の全産業に占める比率は2割程でしかないが、成長を強く牽引しよう。
消費を裏打ちする雇用状況については、10月の労働力調査で、男性の就業者数は4か月ぶり、雇用者数は5か月ぶりに今年最多を更新した。女性の就業者数はトレンドより若干少なかったものの、雇用者数は引き続き今年最多を更新した。また、10月の職業紹介の新規求人倍率は2.09と5か月ぶりに更新を果たした。パートは頭打ちでも、「フル」が着実に積み増している。この分なら、来週公表の毎勤の賃金も大丈夫だろう。雇用は好調が持続して来たけれど、この4か月程は足踏みがあったことは心得ておきたい。こうした動きが消費に陰りを与えた可能性もあるからだ。少なくとも、消費を悪天候にばかり結び付けるのは、考え物である。
他方、10月の家計調査は供給側とは食い違う内容であった。二人世帯の実質消費支出(除く住居等)は前月比-1.5も低下した。ただし、世帯人員や世帯主年齢を調整した消費水準指数は-0.5にとどまっており、加えて、勤労者世帯の実質実収入は-0.3で、消費性向が70.9とかなり低いことからすれば、フレ過ぎと考えられる。消費性向の低さは、伸びる力を秘めていることも意味する。こうした数か月もの消費性向の低下は、2006年の7-9月頃以来10年ぶりで、珍しいが過去になかったわけではない。その際は一時的なもので済んでいる。
(図)
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今回の景気回復の局面を振り返ると、4-6月期は住宅と公共がGDPを持ち上げ、7-9月期は輸出が主導した。そして、10-12月期に消費が伸びれば、追加的需要から所得と消費へ波及するという自然な形の景気回復となる。住宅の回復は、消費増税の反動減からの戻りであり、公共に至っては、緊縮が底を打っただけだ。純輸出の緩やかな回復は、輸入の減退によるところが大きい。
つまり、何かをしたから良くなったというものではなく、敢えて言えば、余計なことをしなかったから回復したとなる。もし、民主党政権の計画どおりなら、ゼロ成長状態だった2015年10月に消費再増税をしていたはずだし、2017年4月への延期後であっても、未だ消費増税前より家計消費が8兆円も少ないまま、更に4.6兆円兆円も抜く事態に突入していただろう。回復はおろか、地獄へ落ちかねなかったわけだ。
逆に言えば、自然体であれば、日本経済は成長するということでもある。改革好きの皆様には、力の抜ける現実だろう。成長の原動力は、個々の企業、一人ひとりの創意・工夫の膨大な営みの積み上げである。所得を吸い上げ、売上を取り上げるという将来不安を煽る政策をすれば、どのような負の創意・工夫がなされるか、よくよく考えるべきだ。「カネを留保するにしくはなし」と思わせてはダメなのである。
(今日までの日経)
個人消費の把握、需給両方の統計活用を 内閣府が分析結果。米失業率9年ぶり低水準 雇用増11月17.8万人 月内利上げ強まる。 日経平均が年初来高値 OPEC、8年ぶり減産合意で。予算案 揺らぐ国債減 税収、7年ぶり下方修正。
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10月の商業動態の小売業は、前月比+2.6と大きく伸びた。財の物価指数で除しても+1.2で、実質でも十分に大きい。また、鉱工業指数の消費財出荷は、前月比+3.7となり、これに伴い、生産が+1.0になった上、在庫が-7.2の大幅減となった。鉱工業は全体としても好調で、出荷が+2.1、生産が+0.1、在庫が-2.3となり、11,12月の生産予測指数も+4.5、-0.6と高い。単純に予測どおりなら、鉱工業の10-12月期の前期比は+3.7にもなる。鉱工業の全産業に占める比率は2割程でしかないが、成長を強く牽引しよう。
消費を裏打ちする雇用状況については、10月の労働力調査で、男性の就業者数は4か月ぶり、雇用者数は5か月ぶりに今年最多を更新した。女性の就業者数はトレンドより若干少なかったものの、雇用者数は引き続き今年最多を更新した。また、10月の職業紹介の新規求人倍率は2.09と5か月ぶりに更新を果たした。パートは頭打ちでも、「フル」が着実に積み増している。この分なら、来週公表の毎勤の賃金も大丈夫だろう。雇用は好調が持続して来たけれど、この4か月程は足踏みがあったことは心得ておきたい。こうした動きが消費に陰りを与えた可能性もあるからだ。少なくとも、消費を悪天候にばかり結び付けるのは、考え物である。
他方、10月の家計調査は供給側とは食い違う内容であった。二人世帯の実質消費支出(除く住居等)は前月比-1.5も低下した。ただし、世帯人員や世帯主年齢を調整した消費水準指数は-0.5にとどまっており、加えて、勤労者世帯の実質実収入は-0.3で、消費性向が70.9とかなり低いことからすれば、フレ過ぎと考えられる。消費性向の低さは、伸びる力を秘めていることも意味する。こうした数か月もの消費性向の低下は、2006年の7-9月頃以来10年ぶりで、珍しいが過去になかったわけではない。その際は一時的なもので済んでいる。
(図)
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今回の景気回復の局面を振り返ると、4-6月期は住宅と公共がGDPを持ち上げ、7-9月期は輸出が主導した。そして、10-12月期に消費が伸びれば、追加的需要から所得と消費へ波及するという自然な形の景気回復となる。住宅の回復は、消費増税の反動減からの戻りであり、公共に至っては、緊縮が底を打っただけだ。純輸出の緩やかな回復は、輸入の減退によるところが大きい。
つまり、何かをしたから良くなったというものではなく、敢えて言えば、余計なことをしなかったから回復したとなる。もし、民主党政権の計画どおりなら、ゼロ成長状態だった2015年10月に消費再増税をしていたはずだし、2017年4月への延期後であっても、未だ消費増税前より家計消費が8兆円も少ないまま、更に4.6兆円兆円も抜く事態に突入していただろう。回復はおろか、地獄へ落ちかねなかったわけだ。
逆に言えば、自然体であれば、日本経済は成長するということでもある。改革好きの皆様には、力の抜ける現実だろう。成長の原動力は、個々の企業、一人ひとりの創意・工夫の膨大な営みの積み上げである。所得を吸い上げ、売上を取り上げるという将来不安を煽る政策をすれば、どのような負の創意・工夫がなされるか、よくよく考えるべきだ。「カネを留保するにしくはなし」と思わせてはダメなのである。
(今日までの日経)
個人消費の把握、需給両方の統計活用を 内閣府が分析結果。米失業率9年ぶり低水準 雇用増11月17.8万人 月内利上げ強まる。 日経平均が年初来高値 OPEC、8年ぶり減産合意で。予算案 揺らぐ国債減 税収、7年ぶり下方修正。
このように増税しても大した改善はないのは確かですが、増税回避は確実に現場が耐えられないような厳しい歳出カットを招きます。こういう政治的・財政的な条件の中で、福祉と介護の現場の崩壊をいかに食い止めるのか、増税に反対とか賛成とかで熱を上げる前に、まずはこの現実に向き合ってほしいと切に願います。
それも含め季節性でしかない、ということです。
必要なコストすら請求しないできないとか、制度が悪すぎるのが問題で
消費税とはあまり関係がありません。
そもそも14年の消費増税の税収増分はこのコラムの筆者も指摘しているように
債務の圧縮にあてられ、福祉に使われたわけではありません。
消費税を上げても介護の現場には何らの改善もないでしょう。
消費税の良い点はタックスコンプライアンスに優れているところで、
上げてもいいですがその際は生活必需品は0乃至2%程度の低率に、
所得税を特に所得中央値以下に大きく減税するなどが必要かと考えます
私の最も大きな懸念は増税回避が、少なくともこれまで社会保障削減の強力な理由として働いてきたことです。既に危機的状況の介護の現場が、増税回避による予算源でより悪化することが確実な財政的・政治的な条件を目の前にして、「消費増税など言語道断」という態度を迫ることが、どれほど暴力的なことか、少し想像していただければと思います。
消費増税は景気回復してマイルドインフレに戻ったら実施すべきだと思います。「ヨーロッパは増税しても問題ないのに、なぜ日本だけいつも景気が極度に悪化するのか」とよく言われますが、ヨーロッパは日本とは違いデフレ不況のときは増税しないからです。
また消費増税回避や減税で短期的に消費を上げても、社会保障費削減を招いて(これはほぼ確実に起るでしょう)、長期的な消費の体力を根本的に奪ってしまったなら元も子もありません。前回の増税回避で介護予算が大きくダメージを受けましたが、親の介護の不安で必要に貯金して消費を控えている人は多いはずです。
消費税の話は極端な議論が横行しがちですが、本来は財政と社会保障と景気とのバランスの問題であり、賛成か反対かという二項対立の話ではないはずです。
前月比比較は無意味です
上辺を破ってホンモノでしょう
ですから来月の前月比がトントンでも
低調扱いされないよう注意です
同じく季節性で四半期ラグの後追いで
下降または上昇する勤労世帯収入の
足元の落ち込みでも過度に悲観しないよう注意です