経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

法務省のムダ使いに同情する

2012年10月17日 | 経済
 大震災の被害推計が過大すぎると批判したのは、筆者と北野一さんくらいのものだった。過大推計には、大補正予算を作り、復興増税をもくろむ野心が映し出されていた。他方で、当初予算の編成では経費の一律1割削減という、乱暴かつ知恵のないことが行われた。これで困るのは、成長戦略の予算枠にも縁の薄い法務省や外務省といった役所である。

 法務省は復興費で刑務所の職業訓練をしたといって叩かれているが、同情を禁じえない。法務省予算の半分は刑務所である。一頃、刑務所は、緊縮財政による不況の犠牲者であふれかえり、収容率は100%を超える悲惨な有様だった。この数年、ようやく2~3%ずつ減って一息ついていたが、これで予算の1割削減を連続してやられたら、どうなるのか。偏頗な予算編成を行った財政当局の犠牲者にしか見えない。

 今日の日経の社説は、「水膨れ補正が招いた復興予算の流用」とするとともに、当初予算に機械的にタガをはめることについても批判している。社説が言うように最終的な責任は民主党政権にあろうが、日本の財政当局の極端さもある。安定性や漸進性が大切な財政運営がまともになされていない現状が、いかに害悪を及ぼしているかを認識しなければならない。経済状況をまったく考慮しない一気の消費増税と問題は同根なのだ。

(今日の日経)
 株取引7年ぶり低水準、債券にマネー流出。シニア・年金が人件費。社説・復興予算の流用。和解の工程表・謝罪や譲歩は韓国を甘やかすだけ。分譲マンション弱含み。首相が経済対策を指示、予備費活用。中国軍艦艇が尖閣接続水域に。公務員の遺族年金を廃止。経済教室・財政の危機回避・横山彰。

※北野一さんと言えば、先週のJMMは実に興味深かった。欧州の長期金利は異様なプレミアムが乗り、それと反対に米国は極端なまでに低い。万一、ドラギ総裁が「正常化」に成功したらどうなるか。ちょっと恐いものがある。

※優和さん、まったく、そのとおりです。健康上の理由で子どもの持てない人がいるからこそ、たとえ年金数理ではそれが必要であっても、実際の制度は求めたりしないのです。保育などの充実によって経済的事情で持てない人を減らし、少子化を緩和することに筆者の願いがあることを酌んでいただければ幸いです。それは子どもを持てない人の老後を支えることにもなると思っています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 正解は二者択一の外に | トップ | 10/18の日経 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事