経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

スガノミクス・まっさきに税収が回復

2021年07月04日 | 経済(主なもの)
 2020年度の国の税収は、2年前を上回り、過去最高の60.8兆円になった。コロナ禍で名目の家計消費(除く帰属家賃)が2年前より-8.2%も減っているのに、消費税収は+18.7%の増である。むろん、10%への消費増税によるもので、民のカマドを顧みず、しゃにむに財政再建を進めるニッポンの面目躍如たるところだ。これでも、消費が不振で物価が上がらないのは、日銀の金融緩和が足りないせいなのかね。

………
 5月の鉱工業生産は前月比-5.9と大きめの低下となったものの、6,7月の予測は+9.1、-1.4という高水準になっている。これにより、4-6月期は前期比+2.5と、1-3月期の+2.7に続き、順調に伸びる見通しで、コロナ前の水準を回復する。なかでも、資本財(除く輸送機械)は、4-6月期の前期比が+10.7と2桁に達する勢いだ。遅れていた建設財も、4-6月期には前期比が+3.3と、回復は加速していく。

 しかし、消費財は、1-3月期の前期比が+0.2と低調だった上に、4-6月期は前期比-1.5と逆戻りする様相である。コロナ禍の影響が少ないはずなのに、モノの消費まで低迷が続く。5月の商業動態も前月比-0.4と続落しており、4,5月の平均は1-3月期より-3.3も低い。物価は上がっているから、実質はもっと下がる。来週の統計局CTIの結果待ちだが、これでは、4-6月期の消費も、前期に続いてマイナスになる公算が高い。 

 消費の基となる雇用は、5月の労働力調査で失業率が3.0%へ上昇し、4,5月の就業者の平均は、1-3月期より、男性が27万人、女性が14万人も少なくなっている。5月は求人が大きく減っており、消費が振るわないのも当然である。他方、6月の消費者態度は、前月比+3.3の34.7だった。未だ30台ではあるものの、コロナ禍では最も高い。4-6月期の最後の6月については、消費の反動増がありそうだ。

(図)


………
 2020年度の税収を2年前と比較すると、名目GDPが-3.6%の減となる中で、所得税が-3.4%の減、法人税が-9.0%の減となっており、これらは、経済の動向に合ったものと言えるレベルである。これに対して、消費税の+18.7%の増がいかに異様かということだ。「上振れは法人税が思いのほか伸びたから」という解説もあるが、よく実態を表していない。所得税や法人税の復元は、これからなのである。

 すなわち、2021年度の税収は、名目GDPと企業業績の見通しで単純に伸ばすと、64.5兆円まで行く。予算からの上振れは、2020年度が5.7兆円、2021年度が7.1兆円になる計算だ。これをまるまる国債の減額に充てるのか、どの程度、民間経済に還元するかが経済運営の焦点となる。少なくとも、過去最高の税収を上回る分の4.2兆円については、財政再建とも両立できる範囲である。

 再分配を通じた成長の加速を目指す本コラムとしては、税収の上振れは、補正予算で産業政策に蕩尽するのではなく、社会保障の特会に組み入れ、低所得層の社会保険料の定額還付に使うべきと考える。日銀の金融緩和は、円安を通じて輸出企業に恩恵をもたらす一方、財政による徹底した消費抑制策は、デフレを長引かせている。いつも言うことだが、日本経済は政策どおりの結果になっているだけである。


(今日までの日経)
 雇用流動化、若者けん引。デジタル課税、10兆円規模。日銀短観・製造業、先行きは不透明に 非製造業は宿泊など薄明かり。税収、コロナでも最高60.8兆円。高齢者8割、月末に接種完了見通し。


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1 コメント

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Unknown (ピカ)
2021-07-05 10:00:45
搾取をいいかげんにしてほしい
国民は湯でガエル状態
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