経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・ガソリンにバラマキつつも着実に緊縮

2023年09月24日 | 経済(主なもの)
 4-6月期の資金循環が公表になり、一般政府の資金過不足を、4四半期移動合計の名目GDP比で見ると、前期より+0.1改善して-3.1%となった。ガソリンと電気ガスの補助金は、既に6兆円超が使われ、年末までの延長には更に1.3兆円がいる。そんな中でも、財政赤字は着実に縮小しているのだから、これがなかったら、どれだけ急速に締まっていたことか。安定的な需要管理の上でも、やめるにやめられないのが悩ましい。

………
 改善の要因を部門ごとに見ると、中央が+0.3、地方が横ばい、社会保険が-0.2という内訳だ。社会保険は下がったと言ってもGDP比+1.1%もの黒字をキープしており、ここでのマイナスがなければ、もっと高かったわけである。社会保険に関しては、2023年度の年金給付は+2.3%、保険料は+4.3%と見込まれており、このまま収支が悪化する心配はない。あとは、中央の収支がどれだけ改善して来るかである。

 税収については、4-6月期は、納税が本格化する前で、前年度に大きな増収があった分、還付が多くなっており、前年同期比では、むしろ、少なくなっている。もちろん、名目成長率が高く、企業業績見通しも伸びているので、これから、昨年度を大きく超えていくのは必定だ。今のところ、一般会計の税収は、前年度比+4.9%の74.5兆円で、当初予算より5.2兆円の上ブレと見ている。

 他方、支出については、秋に編成される補正予算の規模次第である。昨年は、予備費を除いて24兆円であり、3.5兆円が純粋のコロナ対策であったから、昨年並みなら20兆円規模ということになる。そのうち、物価対策は、昨年が7.8兆円であったので、同じくらいが見込まれよう。昨年は子育て関係が0.2兆円と少なかったので、今後、少子化対策を本格化させる中で、このあたりをどうするかも課題だ。

 こうして見ると、20兆円規模という巨額の補正を組んでさえ、税収増で緊縮がすすむというのが現状だ。インフレ下の財政は、デフレのときとは違ったやり方が求められる。厚労相が社会保障の財源として「税収増を活用」すべしというのは、自然な成り行きだ。補正で出来るからと、ガソリンへの巨額の補助金をやめられない一方、若年層の負担軽減ができずに、少子化を止められない現状を何とかしなければならない。

(図)


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 キシノミクスは、無手勝流でデフレ脱却を果たしてしまった。脱却したと宣言すれば、日銀は無闇な金融緩和をやめられる。そうすれば、円安にならずに、ガソリンや電気代の補助金をやめられる。そうして、補正予算を大きく減らし、その半分で良いから、自然増収を基に、若年層への新たな給付を打ち出したら良い。そういう前向きな政策を打ち出せば、支持率も上がるというものである。 


(今日までの日経)
 半導体・蓄電池など生産、長期で税優遇。「年収の壁」130万円超でも2年まで扶養に。日銀、早期修正観測けん制。「年収の壁」に保険料減免案 「公平性欠く」指摘相次ぐ。炊事・育児など無償の家事、賃金換算で年143兆円。中国、利下げでも短期金利上昇。


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