鎌倉シルバー・ガイド協会主催のウォーキングに参加した。
遊行寺通りの入口には安藤広重の浮世絵看板があった。
藤沢宿から江ノ島、大山詣でも見える。
昔は曲がりくねっていた道を辿るように歩き始めた。
■浄土宗・常光寺
「ゑのしまみち」と書かれた標識がある。
江ノ島弁財天道標と呼ばれ、
検校(江戸時代の目の不自由な役人)が建てたという。
往来は広く人通りも多かったようだ。
藤沢橋交差点を過ぎると藤沢宿である。
最初の古刹は浄土宗の「常光寺」だ。
大きな栢の木があり
野口米次郎(イサム野口の父)の墓などもある。
裏山には「弁慶塚」があった。
■荘厳寺
続いて真言宗の「荘厳寺」である。
本堂の中に源義経の位牌があるという。
暗くてよく見えなかった。
平泉で藤原泰衡に殺された義経の首は
腰越の浜で首実検ののち海に捨てられた。
それが境川をさかのぼってこの近くに到着。
人々は「義経首洗井戸」で洗って丁寧に葬ったという。
それを聞いた源頼朝の命により
「白旗神社」に祀られたという。
不思議に心落ち着く民話である。
■白旗神社
浄土真宗の永勝寺にはたわわに実ったイチョウがあった。
義経首洗い井戸から白旗の信号を右折する。
バイパスの真下に「白旗神社」が見える。
■遊行寺秋季先祖供養
日蓮宗の妙善寺を過ぎると古い公民館がある。
このあたりが本陣ができる前の将軍の宿舎だった。
家康、秀忠、家光がずいぶん泊まったらしい。
境川にかかった橋の手前を右に曲がり堤防を歩く。
このあたりは台風のときに大雨被害を受けやすい地区だ。
本通りに出る前を左折し赤橋(大鋸橋)を渡る。
遊行寺の黒門をくぐり上って行く。
秋季彼岸先祖供養の日で縁日のように賑わっている。
≪遊行寺本堂≫
■小栗孫五郎平滿重と家臣の墓
遊行寺境内には史跡がたくさんある。
長生院には小栗判官と照手姫伝説で有名な
小栗孫五郎平滿重と家臣の墓がある。
遊行寺正門のそばには敵御方供養塔がある。
上杉禅秀の乱の勝者足利持氏が敵味方双方の死者を弔っている。
「怨親平等」と書かれた「玉縄首塚」と同じ思想である。
国定忠治の子分・板割浅太郎の墓など興味はつきない。
■開山忌
秋の開山忌は一遍上人をお祭りするものだ。
春の開山忌(呑海上人)もある不思議な寺だ。
2時少し前から行列が動き始める。
開山忌には稚児行列が名物らしい。
稚児たちの最後に現在の「上人さま」が歩かれる。
“90過ぎて元気なのはありがたい”と仰る。
本堂で「符撒」という儀式で「お札」を直接いただく。
なんとなく有難いと思うから不思議である。
■踊り念仏
30分ほどの法話を聞く。
遊行寺・秋季彼岸先祖供養
大きな本堂の中に多くの観光客も混じって聞いている。
それから20人ほどのご婦人による踊り念仏である。
鉦を叩き経典を持ち、
中央の太鼓を囲んで15人の女性の踊り念仏が続く。
音曲の少ない時代には恍惚状態になったのかもしれない。
「南無阿弥陀仏」の声がお堂の中一杯に響く。
そのあとは彼岸の空に沈んで行く太陽に向かって祈る
「日想」(?)という儀式が続くらしい。
いつの間にか時代を超えた旅をしている気分になっている。