鋭いところを突いてくる。
11月12日の日経新聞の社説欄に「オンライン診療解禁に後退を危惧する」の内容が面白い。
菅首相が恒久化を指示したオンライン診療の解禁は、患者や医師の双方に有益で、条件を付けずに認めることを指示したらしい。
ところが厚生労働大臣は、初診患者は「かかりつけ医」に限る方針を打ち出し始めている。
これは首相の指示とは少し異なるのではないかとの社説である。
そして、ある面で規制改革を旗印にしている首相の指導力を問う局面だと手厳しい。
さらに問題としてかかりつけ医の範囲も定義もはっきりしない点も指摘している。
日本医師会では「何でも相談でき、最新の医療情報を熟知し、必要な時に専門医を紹介でき、身近で頼りになる総合能力を持つ医師」としているらしいが、かなりハードルが高いような気がする。
社説では「こんな理想の医師が自宅や勤め先の近くにいる人は、さほど多くないのではないか」と皮肉っている。
そして「その範囲を狭くとらえることになれば、患者が望んでもオンライン診療はほとんど使えない事態にならないかが心配だ」としている。
まったくその通りだ。
この初診の「かかりつけ医」は日本医師会から出されて提案である。
それを首相の趣旨とは関係なく、いわゆる政治家の「忖度」じゃないかと思われる。
この国から「忖度」はなくならない。
そして、菅首相は忖度に悩まされた当事者である。
日本医師会は初診の対面について「医師が対面で五感を研ぎ澄ませて患者を診るほうが得られる情報が多く、見落としのリスクが小さい」としている。
「五感を研ぎ澄ませて」の部分から医師は凄いと思う。
私はてっきり第六感かと思っていた。
今回のコロナ禍の中で初診はかかりつけ医に限定してしまうと「0410対応」の特例に意味がなくなる。
この恒久化はどこに落ち着くのか。
そして政治家の立場や意地がどうなるのか。
面白い展開になってきた。
社説では「厚生労働大臣が日本医師会の立場を代弁するのは立場上やむ得ない面がある」とし「だが、改革を推し進めるべき規制改革推進大臣とデジタル改革推進大臣が同調するとは、どうしたことか」と疑問を呈している。
そして「いま一度、首相の意図を肝に銘ずべきである」と締めくくっている。
菅首相は自分の意にそぐわない時は人事で報いるとのうわさがある。
この決着はどうなるのか見ものだ。
そんな話がある中で国は苦肉の策に出たようだ。
それが「初診」の定義を見直すことである。
厚生労働省は13日に行われた「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」において、何だか意味不明な対面診療の組み合わせ案を出してきた。
話の内容が固まったら、また報告したい。
ところでGoToシリーズは必要なんでしょうか?
さすがに私も不安になってきた。
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