医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

奈良の乱

2018-05-28 06:21:35 | 薬局
1点が10円とは限らない。

高騰する医療費抑制策として、財務省がまとめた中長期的な社会保障改革案を今月の10日に出している。
それによると「地域別診療報酬」の全国的な導入を進めるとしている。
要は、現状の診療報酬の1点を全国一律10円から、地域の医療供給状況に応じて引き下げると言うものである。
既に、介護報酬では導入されており、地域によって人件費などの違いから8区分に分かれている。
東京などは最も高く1単位が11.40円であり、最低でも10円は確保されている。
今回は上げる方向にはなく下げる方向になる。

2008年4月1日に従来の老人保健法を改正し高齢者医療確保法が成立している。
この中に都道府県が医療費適正化計画の目標達成のために、特例として「地域別診療報酬の設定」が認められている。
この制度を活用して奈良県が積極的な採用を検討しだした。
もちろん医師会は猛反対である。

都道府県には医療費に対する目標が課せられている。
それが達成できない場合は何がしかの地方交付金が削減される。
奈良県では医療費の目標が上振れするようなら保険料を上げるか、診療報酬を下げるしか方法はないとしている。
確かに、稼ぎを上げるか節約しかない。
これは大いなる挑戦である。
もし成功すると各都道府県に波紋は広がる。

もちろん1点が10円以下になると医療費的には下がると思われる。
しかし、医療機関の経営はどうなるのだろうか。
病院はかなりのダメージを受ける。
24時間の救命救急などの体制が確保できるのだろうか。
最新の機器などの設備投資もままならない。
患者にとっては負担が減るので歓迎かもしれない。
早くも医師会は反対の姿勢で動き出している。

話は飛ぶが医療費適正化計画には後発医薬品の使用促進も盛り込まれている。
当然のことだが後発医薬品の使用が少ない医療機関には何らかの指導も入る。

さて、今回の”奈良の乱“はどの様な決着が待っているのだろうか。
事と次第によっては薬局も大きく影響を受ける。
何と言っても調剤報酬の1点が10円以下になる。
その割にはあまり騒いでいないのが薬剤師会のように感じる。
あまりに鈍感すぎる
動いているなら"見える化"があるはずだが、現場は何も知らない。

もし奈良県の乱が上手くいくと次は健保組合に飛び火する。
いつまでも1点が10円などあり得ない。
そんな現実を想定して欲しい。

昨日から鹿児島に移動している。
今が一番過ごしやすい季節かもしれない。
ただちょっとへが降っているのが…らしい。

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2 コメント

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堰を切って (駒形和哉)
2018-05-29 05:56:13
1点10円が当たり前と考えちゃいけない。
権利でもない。
国民皆保険の維持に貢献する医療機関など与えられる報酬です。
その財源は国民の血税と保険料から捻出されています。
それを忘れてはいけません。

KPIも大事なメッセージです。
必ずやらせる、やらせられる。
先取りが大事です。

大手調剤チェーンの好決算は危険です。
でも、上場企業ですから仕方がありません。
仕組みが悪いです。

私は日薬の会長など出来ません。
なぜならスキャンダラスだから身を滅ぼします。

いつもありがとうございます。
返信する
真の敵は 本の字にあり(骨太の方針) (駒形ファン)
2018-05-29 00:44:36
苦しいタイトルはさておき、、、

駒形ブログのバージョンアップを感じる朝でした。


医療行政が4月から都道府県知事に移譲されたという事実、皆さんはどう受け止めますか?
コンパクトシティの富山モデル
地域医療構想の奈良モデル
これで厚生労働省は推していくのかな??

堰を切るように、各都道府県へ。とくにとくに医療費が全国平均よりうんと高い西日本へ。
で、本の字ならぬ骨太の方針の文字にどんなことが記されるのでしょう?しかし、それはほぼ予測の範疇。
国保改革のもと、地域医療構想、医療費適正化、地域別診療報酬(もちろん調剤報酬も)、。これらが連動しますね。
医療費を削減すればするほど報奨金(インセンティブ)がつくので、地方自治体としては是が非でも取り組みたいはず。

さらに気になるのは薬局のKPI。どれだけが対策できているでしょうか?これはDPCの超簡易版のいわば ”保険薬局機能評価” でしょう。これが調剤報酬に影響しそうです。DPCと同じ傾向をとるのであれば、年々厳しさを増すものとなるでしょう。高度急性期および急性期病院は、はるかに高く厳しい水準で機能評価をされています。地域医療の基幹病院の多くが赤字の中、黒字を重ね続ける調剤薬局グループに厳しい目が向けられないはずがありません。ある地方の公的医療センターの経営者のお言葉です。

「みすみす目の前で利益をもっていかれてたまるか(激怒)!」
この感覚が診療側にあるということを無視してはいけないと考えます。

1点=10円時代が終わる。これは大きい。
パラダイムシフトですね。
調剤チェーンも転換期といっても過言ではありませんね。ま、だいたい不採算になるエリアは予測可能ですが。不採算であれば、人件費を削ればいいということになります。

さてさて、いよいよ目が離せない展開になってきました。

駒形社長の警笛をどう捉えるのか。私はビジネスチャンスと捉えたいです。
駒形社長はKPIに関しても教えてくださっています。こんなブログ他にありますか?
やっぱり思うんですよね。日薬が駒形会長であったのであれば、こんな顛末にはなっていなかったでしょう。
なぜなら駒形社長は、国民目線をお持ちですから。患者目線をお持ちですから。


仕事があるってありがたいですね。
明日も楽しみです。


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