誤断
槙田の勤務している長原製薬の製品が、
連続して起きている死亡転落事故に、
関連しているという疑惑。
副社長から命を受け、
秘密裡に調査を開始した槙田。
長原製薬は経営不振のため、
外資企業と合併交渉中、
不祥事は避けなければならない。
槇田は見舞金という形で、
被害者家族の口とじを依頼される。
そのうち過去に起こした、
公害事件が再び問題となる。
新たな被害者の現状と
40年前の公害事件との結びつき。
槙田は被害者のためにではなく、
自分の上司の命令のまま立ち回っていた。
人命を守ることが
使命のはずの製薬会社の行状。
自社の生き残りのため
画策する役員たち。
次第に自分の行動に疑問を抱く槙田。
良心と会社との板挟みに苦悩します。
堂場瞬一の作品ですが、
いつもの警察小説ではありません。
企業の隠蔽と、
それに関わってしまった人達の、
心の動きを書いています。
隠蔽体質、公害問題、偽装工作
最近も相次ぐ医療機関の事故など
起こりえる、あるいは
今も起きているテーマを描いていて
現実感のある物語でした。