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花ごよみ

映画、本、写真など・

雨の日も神様と相撲を   城平 京

2017-09-13 | 本 さ、た行(作家)

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

両親をなくしたため、
親戚を頼り、転校した地は
相撲好きな村人達と
相撲をとるカエルの神様がいるという
奇妙な因習が残る不思議な村。

相撲好きの両親の影響で
小さい頃から相撲と
共に育ってきた少年は
相撲に対しての深い知識を
持っていたたため 
神様に相撲を教えることに。


中学生の主人公、文季は
神様に仕えるかんなぎの家の娘、真夏の家で
外来種のカエル、イチゴヤドクカエルとの
相撲勝負のための指導を行う。


カエルの相撲なのに
まじめに相撲の取り組み、
技、相撲に対しての
心の持ち方など描かれていて
結構読み入ってしまいます。

カエル自体の体の構造に関しても、
丁寧に書かれています。
本当にカエル達が相撲をしているような情景が
浮かんできてニヤッとしてしまいます。
カエルと相撲、発想が愉快です。

相撲に対しての知識が豊富な少年と
カエルの神様に仕え、
カエルの言葉を通訳する少女
そして相撲をとるカエル達。

少年が住む家の、
刑事であるおじさんの
関係する事件の謎も
絡まってきて面白かったです。
終わり方も爽やかでした。






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月の満ち欠け   佐藤正午

2017-07-23 | 本 さ、た行(作家)

月の満ち欠け 第157回直木賞受賞

まるで月の満ち欠けのよう
何回も何回も生まれ変わる。

愛する人に会うため、
生と死を繰り返す。
転成の話。

前前前世の愛の物語。

年代を超えた瑠璃という名の
女性の登場。

度々出てくる言葉「琉璃も玻璃も照らせば光る」
つまらぬものの中にあっても
光を当てれば多くのものに混じっていても
美しく輝く。
どこにまぎれていても
その人が瑠璃だと分かる。

繰り返しの子供。
前世を記憶する子供。
命はリレーのように。

生まれ変わっても
もう一度会いたいという想い。

あり得ない話なのに
真実みも感じられ
不思議とすらっと読むことができました。

それぞれの瑠璃に引きこまれます。

込み入った人間関係、
どの瑠璃か分からなくなって
読んでいる途中に
名前を書き出しました。

直木賞受賞されました。
まだ受賞されていなかったとは
ちょっと意外。   




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罪の声  塩田 武士

2017-07-23 | 本 さ、た行(作家)

罪の声

グリコ森永事件を基に
未解決事件「ギンガ萬堂事件」と
して描かれた小説。

事件、予告文、などはノンフィクション。
テープの子供の存在も事実。

脅迫テープの声に使用された
二人の子供の人生。

録音テープに残る声。
自分の幼いころの声が
脅迫に使われていたという
驚愕の事実。

実際に同じ立場に立たされた人が
確かにいるはず、
辛い人生を送っている人が
きっといるんだろうなと想像すると
やりきれない気持ちになります。

事件に巻き込まれた子供の人生に
焦点を当てた小説。

事件の動機も一応納得、
読み応えのある小説でした。

事件の被害者でもある二人の姿、
子供を犯罪に巻き込むということは
子供の未来、希望までもが
奪われるということ。
ラストは涙でした。





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仮面病棟  知念実希人

2017-01-14 | 本 さ、た行(作家)

仮面病棟 (実業之日本社文庫)

プロローグ
第一章 ピエロの夜
第二章 最初の犠牲者
第三章 開く扉
第四章 仮面の剝落
エピローグ
という構成になっています。

ピエロの仮面をかぶった
強盗犯の籠城によって密室となった、
療養型病院が舞台。

クローズド・サークルミステリーです。

そこの病院では
意識状態の悪い患者や身寄りがない患者を
積極的に受け入れている。

きっかけはピエロの仮面の
男が撃った女の治療。

先輩医師の代理に当直医として
病院に勤務した速水は
事件に関わることになる。

速水は被害者の女の治療を行う。、
そして人質となったスタッフ、
患者の解放を計ろうとするが、
その過程で病院で行われていた
医療の秘密を知る。

速水は自分が治療した女だけは
救いたいと切望するが…。


あやしげな雰囲気が漂う
閉鎖状況の病院内で展開される
医療サスペンス。

なんとなく想像できるストーリーでしたが、
緊迫感があって面白く読めました。

登場人物の数も少ないので
読みやすかったです。

最後にだまされました。
真相を知ってしまうと
暗い気分になってしまいました。






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傷  堂場瞬一

2017-01-05 | 本 さ、た行(作家)

傷 (講談社文庫)

プロ野球のスター選手である石地孝哉が
わざと靭帯を切断され症状が悪化。

膝の手術を担当した医者を刑事告発。
しかし執刀した医師、高嶺は失踪。
所在不明となる。

若手刑事と社会部の女性記者が
事件の真相を追求する。

傷を持つ男たちの、
嫉妬、欲望にまみれた
球界が舞台の小説。

所轄新米刑事、青井由紀と遊軍記者、西潟理恵、
この二人がコンビとなって事件を追います。
青井由紀は男性ですが
ゆきちゃんと呼ばれています。

被害者、加害者の過去を調査します。
医者と関わり合った人物が徐々に
明白になってきます。

プロ野球の闇を垣間見たような物語。

青井の心の動きなどが
うまく表現されています。
事件の核心に近づくにつれ
青井の成長が見られます。

ストーリーは変化に乏しく
ハラハラする場面などはなかったです。



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疾風ロンド  東野圭吾

2016-10-06 | 本 さ、た行(作家)



疾風ロンド (実業之日本社文庫)

映画化を知り、
読まずに長い間置いていた
この小説を読んで見ることにしました。

スキー場が舞台。
雪山に埋めた生物兵器炭疽菌
脅迫していた犯人は事故死。
炭疽菌は10度以上になったら
まき散らされる。
目印はテディベア人形。
その危険物である菌を回収するため
あたふたする研究員。

生物兵器、3億円脅迫など
シリアスで重いストーリーかなと思いながら
読み進めていたら
とても軽いお話で少し予想外。

東野圭吾の作品としては
物足りなさがあります。
期待していたのとは違っていましたが
こんなストーリーもいいかなと
また別の意味で楽しめました。

スキー場の滑走シーンなどは
映像化した方が、
きっとスピード感なども体感できて
本より映画の方が面白くなるかな思いました。







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蛮政の秋  堂場瞬一

2016-07-11 | 本 さ、た行(作家)

蛮政の秋

民自党議員に対しての、
献金リストが記された
1通の告発メール。
そのメールにもてあそばれる
新聞記者と政治家。

その違法献金が記されたメールは
真実を書いているのか?

新聞社と政治家との関係。

記者は汚れた政界と
メディアの影の部分をさらけ出すことが
できるのか?

落選した政治家に、
敵対する政党が
自分たちの政党に来るように勧誘。

記者の取材と政治家同士のせめぎ合い。

力を持っている者が
新聞記者と政治家を操る。

政治家の裏の真実は、
結構闇があって怖いものがあります。

物語は少しの展開はあっても
なかなか進行していかない。

シリーズもののようなので
まだこれから続くのかな?
なんだか中途半端な終わり方でした。






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朝が来る  辻村深月

2016-06-12 | 本 さ、た行(作家)

朝が来る

「子どもを返してほしい」という
女からの突然の電話。
女の名前は「片倉ひかり」
その名前は子供の実の母親の名前。
育ての親、沙都子にとって
忘れたことのない名前だった。

子を授からなかった者。
子を育てられずに手放した者、
それぞれの心の動きを描いています。

ドラマ化を知り読みました。
でも最初の回を見るのを忘れていました。
2回目からは録画して
一応見るつもりです。

特別養子縁組によって子供を得た
育ての親の栗原沙都子はとても
理想的な母親。
子供である朝斗はすくすく育っています。

実母であるひかりに、
朝はやって来るのでしょうか。
ひかりも朝斗を忘れられず
愛しているのは確かです。

未来は描かれてはいませんが
なんとなくいい方向に進んで行きそうな、
そんな予感がしました。
   





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赤毛のアンナ  真保裕一

2016-05-26 | 本 さ、た行(作家)

赤毛のアンナ (文芸書)

主人公である志場崎安那。
生い立ちが不幸でも
強く明るく生きていた。

アンナは周囲に起こった悪を
自分一人で背負ってしまう。

赤毛のアンの主人公、
アン・シャーリーに憧れる
元気で明るいアンナが起こした
傷害事件に対し
疎遠だった友人達がアンナを助けるために協力。

その過程でアンナという人物、
アンナの過去、
アンナの真相にたどり着くというストーリー。

友人達の心の動きが描かれています。

アンナの前向きな生き方、
自己犠牲をしてまで他人を思いやる心。
アンナの優しさには胸がじんとなります。



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星籠の海 上 下  島田庄司

2016-01-31 | 本 さ、た行(作家)
 
星籠の海 上 星籠の海 下

事件の奥に浮かんでくるある新興宗教。
元女優の千早と小坂井、
「星籠」の謎を探る助教授の加奈子、
智弘と忽那等が
広島県の福山市の
鞆の町を舞台に物語を進めます。

多い登場人物、
それに絡む複数のエピソード。
「星籠」の謎。
革職人一家に降りかかった事件
忽那水軍。
6時間毎に繰り返される
水の動きは毎日全く同じという
「時計仕掛けの海」の瀬戸内海。

解決のため瀬戸内へ向かった御手洗潔。

バラバラで複雑に張り巡らされた枝葉を
上手い具合に回収できた感じ。

でも黒幕だった人物の描写よりも
ベビーシッターの洋子が起こした事件と
それに関わった小坂井の
印象が強く残ってしまいました。

タイトルは『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』、
玉木宏主演で映画化するらしいですが
多くの事件をうまくまとめられるのかな?







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