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花ごよみ

映画、本、写真など・

掟上今日子の備忘録  西尾維新

2015-03-28 | 本 な、は行(作家)

掟上今日子の備忘録

第一話 初めまして、今日子さん
第二話 紹介します、今日子さん
第三話 お暇ですか、今日子さん
第四話 失礼します、今日子さん
第五話 さようなら、今日子さん

寝ると記憶がリセットされてしまう、
忘却探偵、今日子さん。

依頼人である隠館厄介くんは
いつも事件に出会ってしまい、
疑いの目でみられてしまう不運な青年。

彼は密かに今日子さんに
好意をもっています。

二人の組み合わせが
事件を解決します。
厄介くんが巻き込まれてしまった
四つの事件から成る短編連作です。

今日子さんも厄介くんも、
嫌みのないキャラクターで
魅力があります。

割と暗さを感じない、
からっとした探偵物。

一日で解決に導く今日子さん
謎解きも面白く読めます。

今日子さんが寝る前に
事件を解決する必要があるのです。

隠館厄介くんは
今日子さんに会うたび自己紹介します。
いつも最初は自己紹介というのも
結構切なさがありますが…
二人の関係の進展が気になります。

読んでいてこちらの気分も
リセットされます。
一日で全ての記憶が
なくなってしまうという設定は
物語にスピード感を持たせます。
読みやすい小説でした。







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天空の蜂  東野圭吾

2015-03-01 | 本 な、は行(作家)

天空の蜂 (講談社文庫)

超大型特殊ヘリコプター“ビッグB”が、
遠隔操作出来るように改造され、
格納庫から遠隔操作により、
乗っ取られ飛び立つ。

そして稼働中の原子力発電所の
真上に空中停止。

奪われた超大型ヘリコプターには爆薬が搭載。
無人操縦のヘリコプターの中には、
偶然閉じ込められてしまった、
小学生の子供も乗っていた。
そのことを犯人は後から知ることになる。

国民を人質に全ての原発の停止、
廃棄を犯人は要求。

上空1000m以上の
ヘリからヘリへ子供を抱きながら
乗り移るという
サーカスのような
救出法を探る救難員たち。

最後まであきらめず
自分の仕事を投げ出さない人々。

技術に絶対と言うことはありえない。
だから絶対に安全とは断言できないと
主張する反対派の人達。

タイトルにもなっている、
刺されて初めて蜂の恐ろしさを知ると
説く犯人。
登場人物は多彩です。

ヘリコプターが海上に落下するシーンは
緊迫感たっぷり。
読んでいてハラハラしました。

622ページもある小説
でも書かれている内容は約10時間の出来事。
濃い内容、それにスリル感、
スピード感もある
読み応えのある物語でした。

原発の事件を題材にしているこの作品が
20年も前に書かれた小説というのがびっくり!!

堤幸彦監督で映画化もされるそうです。






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虚ろな十字架  東野圭吾

2014-12-09 | 本 な、は行(作家)

虚ろな十字架

殺人者の再犯率の高さから明らかなように、
懲役の効果が薄く、
贖罪の気持ちを持てない人間。

人をあやめて自戒のない人間を
虚ろな十字架に縛り付けることは
無意味で無力なのでは。

それに対し虚ろでない十字架を背負い
過去に犯した罪の意識にずっと苛まれ、
その罪を背負い、
人生を無にするような生き方。

登場人物の増加に伴い、
それぞれの人物、
2つの事件の繋がりが明らかにされ
謎が解かれていきます。

子供を喪った小夜子の怒り、
悲しみの大きさは理解できるが
仁科が犯した過ち、
重い十字架を背負いながらの、
罪の償いは今までの彼の行動からして
もう埋め合わせができているのかな。

簡単には裁断を下せないやるせない現実。
回答の得られない重いテーマ。
後半は一気に読んでしまいました。







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リライト 法条 遥

2014-11-15 | 本 な、は行(作家)

リライト

1992年の夏
中学2年生美雪は、保彦と出会う。
保彦は三百年先の未来からやってきた少年。

旧校舎の突然の崩壊という
事故に会ってしまった保彦。

保彦との突然の別離
保彦から渡された薬を飲み
携帯を持って10年後へと時を超える。

タイムリ ープの当日。
出現しない10年前の自分。

過去はリライトされ変わってしまたのか?
私だけの初恋の思い出だったのに…
クラスの全員に共有された過去の物語
体験が同じの「私」たち。

崩れていく未来。
矛盾している過去と現在。


10年後の夏、美雪は
作家になっていた。
そして自分の経験を小説を書き上げた。

同級生たちの死。
リライトされ歪みを持った世界。
不安感がまとわりつくような
物語でした。




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変身  東野圭吾

2014-08-12 | 本 な、は行(作家)
   
  変身 (講談社文庫)

今、WOWOWでドラマ化され
放映されています。
ドラマ開始までには間に合わなかったけど
ドラマが終了する前に読み終えました。


突然の事件により世界初の脳移植を施術され
成瀬純一は命を取りとどめる。

WOWOWのドラマでは、
主人公成瀬純一には神木龍之介。
恋人恵には二階堂ふみ。

脳移植によって他人の人格が頭をもたげる。

他人の脳の支配によって、
性格、才能、感情が変化して
元々の人格が追い出されていき、
愛する心までが消滅。

ジュンの温厚的な人格が
ドナーの人格に、
徐々に侵されていく。

離れていくジュンの心、
そばにいる恵は愛によって彼を支え
守ろうとする。
彼女の報われない献身的な深い愛は
切なさを伴います。

確実に変化していくことの恐怖。
絵を書き、愛する恋人ととの
平凡でも楽しかった日々は
もう戻ることはない。

自分ではどうすることもできない
感情と行動。
あまりにも悲劇的です。





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最後の命 中村文則

2014-07-24 | 本 な、は行(作家)

最後の命 (講談社文庫)

映画化すると帯に
書かれていたのを見て読みました。

幼い頃のトラウマ、
抱えきれないほどの重みに
精神に変調をきたしてしまう主人公と冴木。

ミステリーとしても読めます。

ゆがんだ精神世界の中に生きることを、
強いられた二人。

暗くて重苦しい世界観。
親友というべき二人の関係は
救いのないなか唯一、
小さな明かりがが見いだせます。
でもやっぱり冴木の狂ってしまった人生は
絶望しかないのかな。

全編漂うむなしさ、寂しさ。
気持ちが沈んでしまう物語でした。

この本は電車内で読む文庫本、
一つ前にアップしたのは
図書館で借りたハードカバー。
本のタイトル横に名前を
記したところで気が付きました。
偶然、同じ作家の本を
同時に読んでいたとは。
びっくりです。
やっぱりどちらも暗いです。




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去年の冬、きみと別れ  中村文則

2014-07-24 | 本 な、は行(作家)

去年の冬、きみと別れ

ある事件を起こした、
カメラマンについての
本を書くため、
獄中にいる彼に、
理由やその時の心の動きなどの
話を聞きながら進行していく。

そして彼の姉や友達にも聞く。

姉や人形師など物語に登場する
それぞれの人物が、
謎めいた人たち、
というよりむしろ
どこか異常な人ばかり。

その中で登場人物達が交錯しあい
複雑になってくる。

後半ぐらいから
前半とは方向が違ってくる。

ラストで意外な真実が明かされます。

疑問も残りました。
イニシャルも
誰のことか分からない。
でも読み返す気はないです。




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バイロケーション 法条遙

2014-07-05 | 本 な、は行(作家)
  


バイロケーション (角川ホラー文庫)

この小説は今年の一月、
映画化されています。

映画は見ていません。

映画は結末が異なる『バイロケーション 表』
『バイロケーション 裏』の2作がありました。

第17回日本ホラー小説大賞受賞ということですが
もう一人の自分の存在、
想像してみるに、
確かに不気味さはありますが、
残虐シーンなどはあまりなく
それほど怖くはありません。

応募時の原題は
『同時両所存在に見るゾンビ的哲学考』。

画家を目指す忍は
自分と同じ人物が存在するという
不思議な状況に出会い、
生活を脅かされる事態となる。

同じような事態(バイロケーション)に
悩む人々も存在して
その人たちの集会に招待され入会。

登場人物がみんな怪しくて
謎を秘めているような描き方。
退屈させない展開。

多重人格などを題材にした物語は
よく見かけますが
「バイロケーション」という
素材自体は新鮮に感じました。

切なさの残るラスト。
救いは見えませんでした。

自分と同じ人物が二人。
二重存在、バイロケーション。

本物と偽物、表と裏が逆になったり
混乱してしまいます。
表と裏、今のセリフ、行動は
一体どちらなのか、
結局じゅうぶんに理解しないまま
終わってしまいました。






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果てしなき渇き(上)(下)  深町秋生

2014-06-26 | 本 な、は行(作家)
 
新装版 果てしなき渇き 上 (宝島社文庫) 
新装版 果てしなき渇き 下 (宝島社文庫)

第3回『このミステリーがすごい!』
大賞受賞作品。
深町秋生のデビュー作。

藤島加奈子という名の女子高生が失踪。
失踪を端緒として、
さまざまな事件が表面化。

鬼畜がウヨウヨ。
異常な世界。
はっきり言って救いようのない物語。
元刑事の女子高生の父親がひど過ぎる人間で
読んでいても気分が悪くなります。

だけどこの男、ろくでなしだけど
娘に対する愛情だけは持ち合わせています。
でもその娘もとんでもない魔性の女。

小説は3年前と今が同時進行していく
形式をとりながら進行していきます。
グロい暴力シーンもいっぱいで
読み進めるのがつらくなってきます。

この小説を原作として
『渇き。』というタイトルで映画化されます。
映画化ということで読んでみました。

異常で不穏な世界、
不快感いっぱいの物語。
どんな映画になっているのか
興味があります。

6月27日、明日公開です。




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追憶の夜想曲 中山 七里

2014-05-21 | 本 な、は行(作家)

追憶の夜想曲
 

 「贖罪の奏鳴曲」の続編。

「贖罪の奏鳴曲」と同様、
過去に犯罪歴を持つ、
御子柴弁護士が主役。

御子柴にしては珍しく、
地味であまり注目されない事件を担当。

どういう理由で、
御子柴弁護士は、
他の弁護士の弁護を、
奪うような方法で
この事件を引き受けることに至ったのか?

被告人をどのような形で無罪とするのか?

裁判の行く先が気になって
後半は一気に読んでしまいました。

弁護士対検察官のやり取りも
読ませるパワーを感じました。

今回の事件の真相はというと
あまりにも非道すぎる内容。

御子柴弁護士の意図するところとは…
先が見えない状態で、
物語は進行していきます。

ラストは予想外の展開。

御子柴はこの先どうするのでしょう。
シリーズ続編はもうないのかな?
でも「奈落から手を伸ばしているものを
生涯かけて救い続ける」とあるし…。





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