花ごよみ

映画、本、写真など・

凶犬の眼  柚月 裕子

2018-10-03 | 本 ま、や行(作家)

凶犬の眼

映画化された『弧狼の血』の続編。
先輩刑事の大上が亡くなり
松坂桃李が演じていた日岡が今回の主人公。

日岡は呉原東署から
田舎の駐在署に移動。
穏やかな日々を過ごす中、
国光と出会う。

国光は敵対する組のトップを暗殺、
指名手配中の男。

国光は日岡にやり残したことがあるので
時間をくれと訴える。

国光とのつきあいを通し
日岡にある考えが芽生える。
日岡が国光と兄弟の契りを結び、
大上から譲り受けた
ジッポーのライターとともに
大上の遺志を受け継ぐような形に。

国光が魅力的な人物に
設定されているといっても
やっぱりヤクザはヤクザ。
共感もないです。

前作に比べて孤狼の血が流れる、
大上がいない分
すこしあっさり目の世界。
熱い心が読みとれる
前作の濃い世界の方が
心に響きました。


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未来  湊 かなえ

2018-09-30 | 本 ま、や行(作家)

未来

全編、不幸がいっぱい、
暗すぎる物語でした。

読み進めていくのが、
つらくていやになるほどの
むごい現実。
腐りきった大人がいっぱい登場。
フィクションといってもあまりにも
ひどすぎるストーリー。

残酷な波におぼれそうになっても
子供の力は無力、
未来に希望はあるのでしょうか。

20年後の未来の自分から、
今の章子にが届いた手紙。
きっと未来は明るいという希望をもって
傷つき折れそうな心を抱き、
今を生きる章子。

今は暗闇の世界だとしても、
『未来』 という本のタイトルのように
救いのある未来が訪れますように。
コメント (4)
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友罪   薬丸 岳

2018-04-30 | 本 ま、や行(作家)

友罪 (集英社文庫)

友が重罪を侵した過去があると知ったら
友人のままでいられるのか。

心の中に閉じ込めたまま
秘密にしておけるのか。

友人の犯罪に気付いてしまった益田。
友として犯罪を打ち明けようとする鈴木。

被害者は存在する。
償うことのできない深い罪を犯し
死ぬこともままならない。
生きていくことの辛さを抱え
苦悩する鈴木。

彼から得た信頼を裏切ってしまうのか。
葛藤する益田。

映画化ということで読みました。

益田が生田斗真、
鈴木は瑛太が演じます。
映画のキャストを思い浮かべながら読みました。

読み進めるのが辛くなるような
救いのない重苦しい内容でしたが
先が気になり本の最後を
ちらっと覗いてしまいました。

どうすれば正しいのか、
答えは見えてきません。
ラストの手紙にはじんときました。



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百貨の魔法  村山 早紀

2018-04-15 | 本 ま、や行(作家)

百貨の魔法

近々、閉店するのかと噂のある、
創業50年の地方の百貨店が舞台。

エレベーターガール、
フロアマネージャー、
テナントスタッフ、
新人コンシェルジュ等、
この百貨店に関連のある人達の物語。

願いを叶えてくれるという
「白い猫」の魔法。

どこかなつかしさを感じる、
百貨店という華やかな世界。
そこで働く、心優しき人達が織りなす
出会いと奇跡。

各章それぞれ違う人達が登場。
働く人とお客が主人公の短編集。

全てが温かくて優しく、
ファンタスティックなお話し。

デパート・コンシェルジュの
「芦沢結子」がキーパーソン
になっています。

悪者が出てこない小説も
たまにはいいものです。

明日が明るいように、
願いながら生きる人達に、
心の内側がほんわかと暖かくなる
気持ちになりました。







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光   三浦 しをん

2018-02-11 | 本 ま、や行(作家)

光 (集英社文庫)

全編、暴力と悲しみに覆われた
重苦しい作品。
人間が持っている
闇の部分を描いていて
救われることのない暗い物語でした。
今までの三浦しをんとは
ひと味違った感じの小説です。


巨大な津波に襲われた島、
壊滅状態の島で生き残った幼馴染み3人。
彼らの20年後を描いた物語。

映画は見ていませんが
映画化ということで読んでみました。

映画では信之役が井浦新。
輔は瑛太。

心が虚ろになってしまった
信之役の井浦新は
イメージがぴったり。

信之、輔、美花、南海子、
登場人物はそれぞれが
心に闇を宿していて
読んでいて気が滅入りましたが、
話の展開が気になって
読み進めました。

影はあっても
光はどこにも見えません。
彼らには光が見えるのでしょうか?





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盤上の向日葵  柚月 裕子

2018-01-27 | 本 ま、や行(作家)

盤上の向日葵

犯人探しではなく、
その事件に至るまでの過程を
つづった物語です。

遺体と一緒に埋められた名駒。

謎を探る石破と佐野の刑事コンビ、
警察側の話と少年上条桂介の物語が
交互に語られます。

父親からの虐待、
天才棋士の辛い少年時代。

狂気に満ちた生涯を送ったゴッホ、
命を削るかのように描いた
ゴッホの向日葵。
その絵に魅せられた桂介。

彼の人生も、塗り重ねた、
ゴッホの筆の跡のように
将棋の駒に人生を流され
悲しい運命を辿ってしまいます。

悪い予感を覚える、
東明との出会い。
想像できた悲しい結末。

それでもなんとか
いい方向に向かって欲しいと
願っていましたが…
やるせない気持ちで
いっぱいになりました。





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ルビンの壺が割れた  宿野かほる 

2017-12-26 | 本 ま、や行(作家)

ルビンの壺が割れた

28年前、婚約者が結婚式当日に失踪。
その婚約者を偶然Facebookで発見。
そこからメールのやりとりが始まる。

過去の甘い思い出が綴られ
純愛小説のような雰囲気だったのに
黒いベールに包まれたような
陰湿な空気感に変化。

この作品、ネタバレは
避けないといけないので
詳しくは書けないですが…。

過去が明らかになって行くに連れ、
不穏さがいっぱい。

ラストは予想もしていなかった
展開にびっくり
あまりにも衝撃的な終わり方。
気持ち悪さが残りました。

全てがfacebookでの
メールのやりとりで
進んで行く小説。

読みやすい文章で書かれているので
すぐに読み終えることができました。






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孤狼の血  柚月裕子

2017-10-24 | 本 ま、や行(作家)

孤狼の血 (角川文庫)

舞台は昭和63年の広島。

所轄署の捜査二課に配属された
新人刑事の日岡は、
暴力団に対応している
大上に付くことになった。

大上は暴力団との癒着、
そして警察上層部の
弱みを握っているという噂がある人物。

強引な違法捜査を行う大上。
正義の意味、
正義の行動とは何なのか、
本当に信頼できるのは誰なのか。
戸惑いを覚える日岡。


そんななか少数精鋭の武闘派、尾谷組と
大組織の仁正会の抗争の
激しさが増していく。

尾谷組、仁正会、
この二つの暴力団とも顔が効く大上。
彼はこの暴力団同士の抗争を阻止するため
大胆な行動を起こす。

日岡は大上に対しての気持ちが
変わっていくのを感じる。

暴力団同士の抗争は大きくなっていき
大上、日岡の所までも危険が忍び寄ってくる。


正義とは何か、信じられるのは誰か。
日岡は本当の試練に立ち向かっていく。

暴力団の抗争とそれに立ち向かう刑事、
こんな話なのに泣けました。

映画化を知り読みました。
役所広司と松坂桃李が、
大上、日岡を演じます。





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慈雨    柚月 裕子

2017-08-25 | 本 ま、や行(作家)

慈雨

主人公は警察官を定年退職した神場智則。
彼は妻の香代子と共に四国八十八ヶ所 、
遍路の旅に出る。

旅の途中、16年前捜査し、
犯人を逮捕した事件と酷似した
事件が発生したことを知り心が乱れる。

冤罪の可能性があり、
深い悔恨を神場の心に残した事件だった。

神場はかつて部下だった緒方を通じ
その事件に係わりを持つようになった。
そして過去の事件に
もう一度向き合うことを始めた。


組織の忠誠心と自らの正義。
四国巡礼と事件の経過が平行して展開。

隠蔽された事件の真実、
過去の事件の犯人の再犯の可能性に
心苛まれる警察官の心の葛藤。

どんな場面に出会っても
動揺しないいい奥さん、
いい娘に育った幸知、
部下だった緒方もいいやつ、
みんないいがつきます。
それぞれが人間味のある
魅力的な登場人物です。

過去の犯人との繋がり、冤罪かどうか
気になる物語でしたが
とにかく泣ける小説でした。
引きこまれます。感動ものでした。

いままでの困難を乗り越えてきた
明るい奥さんの同行で
物語の持つ暗さが半減されます。








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標的   真山仁

2017-08-23 | 本 ま、や行(作家)

標的

黛新太総理の任期満了の後任候補に、
越村みやび厚労大臣が浮上。

越村みやびは48歳の国民的人気がある女性。
そんな折、医療・福祉系投資会社
JWFの元CEO片岡司郎が
東京地検特捜部に収賄の疑いで
みやびを告発しようと計る。

JWFは楽田恭平という
みやびと共に進める、
社会福祉制度改革の
相棒のような関係の会社の社長。

特捜検事の冨永真一は元CEO片岡司郎の
事情聴取を行う。
そこには永田町の策謀が絡んでいた。


東京地検特捜部の敏腕検事、
冨永検事シリーズの第2弾。

以前テレビドラマで冨永検事を
玉木宏が演じていたので
どうしても玉木宏が頭に浮かんできます。

今回も玉木宏主演でドラマ化があるのを
知りました。

サービス付高齢者向け住宅の内実。
初の女性総理候補と彼女を支える夫、
贈収賄を追求する検事とマスコミ、
登場人物それぞれが抱える理想と現実。
正義とは何か、
解答が見つけられなくても、
それでも前に進まなければ
道は拓いていかない。

冨永検事と越村みやびの対決は、
緊迫感がいっぱい。
最後はちょっと中途半端な
終わり方でしたが…





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