さて、今回は文部省唱歌、滝廉太郎作”花”についてのコード進行を考えてみましょう。
この”春のうららの隅田川~”という出だしの歌、日本人にとっては懐かしく、素敵な歌です。
名曲ですね。4/4拍子です。
教材は以下をご覧下さい。
安田姉妹 http://www.youtube.com/watch?v=haoW9d1mt6I
合唱 http://www.youtube.com/watch?v=b-LSuIrmeBw&feature=related
A1|C|F・C|C|G| 1-4・1-1-5(ローマ数字がめんどくさいので、アラビヤ数字にします。
A2|C|F・C|G|C| 1-4・1-5-1
B |C|G|C6・D|G| 1-5-1・2-5
A2|C|F・C|G|C| 1-4・1-5-1
32小節、二部形式(AABA)の曲です。Bはサビ、Bridgeです。Bの3小節目、C6はドミソ+ラという和音ですが、ドミソと考えてもかまいません。また、C6・D以外のコードは主要三和音C(tonic),F(subdominant),G(dominant)の三つのコードです。
この曲では、サビの部分で1・2-5と少し他とは違うコード進行になっているのがミソです。ここでちょっと変わった感じになりますよね。”あ~れ~!”ってな感じで、このままじゃ終われねー!!と。そこで、振り出しに戻る(実際は振り出し後半部分ですが)と言うことになります。コード進行だけを弾いてみてください。
この曲はジャズには向かないなと思っていたのですが、Youtubeで以下を見つけました。
オイゲン・キケロ http://www.youtube.com/watch?v=xpW_F_GrtNw
こんなの、元の曲の方が良いじゃないかと思う貴方、シンプルで且つ美しいというのは、確かに大きな価値があります。でも、ちょっと雰囲気が変わって、カッコエー!と思う方も。其れでは、何故、こんな演奏になるのか、簡単に解説してみましょう。
1.Intro.(前奏:曲の前に演奏する部分)及び、Interlude(間奏:曲と曲との間に演奏する部分)にはJitterbug waltzからのメロディーの引用をしています。Jitterbugとはジルバのこと。
Youtubeで聞いてみてください。
Mort Weiss and Sam Most: The Jitterbug Waltz
http://www.youtube.com/watch?v=gzoR54ChgVk
2.A1:最初の8小節、コードは以下の通りです。
|C |Gm7(二拍)・C7(一拍)|F・F#dim|C|C |Am6|D7 |G9 |
コード進行が随分違いますね。4和音がよく出るようになりますね。
3.4/4拍子の曲を、3/4拍子に換えています。さらに、5小節目の|C|の部分は3/4拍子を小節が同じ長さの4/4拍子で演奏されています。4拍取りというリズムです。どうするかというと、3/4拍子では付点4分音符が2コになります。これを二つに分割すると、1小節内に音符が4コ、と言うことになります。リズムにも変化を付けているのが解ります。
と言ったように、ジャズにアレンジすると、コードもリズムも複雑化します。
もう一つ、二小節目のコードはⅤminor-Ⅰとなっています。これはkey:F(ヘ長調)でⅡ-Ⅴのコードになります。こういうコードはTwo-Fiveと言われ、ジャズにおけるコードの細分化の最も一般的なやり方の一つです。今は、ツーファイブという言葉だけを覚えていただければ良いと思います。
と言うわけで、千里の道も一歩から。まずは文部省唱歌、ハワイアン、ポップス、その他、シンプルな構造の曲のコード進行を自習してみましょう。