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 少年事件の報道や書籍化については,物議を醸すことが多いようです。奈良の事件で報道がなされています。詳細は下記毎日新聞の報道を参考にして下さい。本件は,よく話題になる少年法61条(記事等の掲載の禁止)の問題ではなく,同法22条2項(少年審判の非公開),少年事件記録の利用可能範囲(参考:少年法には5条の2第3項のような規定もあります。)などのほか,少年審判全体の信頼維持等が問題なのかもしれません。今後,議論がなされるでしょう。時事通信は,最高裁の二本松利忠家庭局長が「事件関係者に多大な苦痛を与えかねず、遺憾」などとする談話を発表したと報じています。
              記
 奈良県の医師宅で昨年6月起きた放火殺人事件を題材にした書籍に、殺人などの非行事実で中等少年院に送致された長男(当時高校1年)の供述調書などが引用されていることについて、長勢甚遠法相は5日の閣議後会見で、「人権侵犯にあたる可能性がある」と述べ、法務省人権擁護局に調査を指示したことを明らかにした。
 この事件は、長男が放火したとされ、母子3人が焼死した。問題の書籍は、フリージャーナリスト、草薙厚子さんが著した「僕はパパを殺すことに決めた」(講談社)。先月に出版された。
 指示した理由について、法相は「著者は調書や審判のやりとりを引用する形で執筆したと明言している。司法秩序、少年法の趣旨に対する挑戦的態度であって、一般的取材で報道されるのと格段に意味が違う」と述べた。また、奈良家裁も同日、講談社と草薙さんに「少年審判に対する信頼を著しく損なうもので誠に遺憾」とする抗議文を出した。
 人権擁護局によると、85年以降で雑誌や出版物の掲載内容が名誉棄損などに当たるとして、勧告したケースは8件。大半が神戸連続児童殺傷事件をはじめとする少年事件を巡る内容だった。  

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