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6 ウリの色は白を基調とし,少しだけ黒模様のマダラになっており,猫としてはかなり小柄である。なかなか器用で頭のよい猫のように感じられる。以前はよくネズミを捕まえて来た。子猫のころはよくカ-テンをよじ登って,カ-テンレ-ルの上を行ったり来たりして遊んでいた。時に騒動を起こしたこともある。借家の庭の松の木から二階建ての隣家の高い屋根に飛び移って,降りることが出来なくなり,ニャ-,ニャ-鳴いていたのである。確か私が,偶然借家にあった梯子を使って降ろしてやった記憶である。

7 ウリは次女にオモチャにされて,しょっちゅう悲鳴を上げていた。しばしば襟巻きにされたり,両手を持ってぶら下げて,バンザイをさせられ,ブラブラ揺らされていた。夜は次女の布団で寝ていたようである。

8 借家して半年が経過したころ,ウリが出産をした。驚いてすぐに避妊手術をした。 子猫は「小ウリ」と名付けられ,「コ-ちゃん」と呼ばれていた。小ウリは母猫以上に器用で,カ-テンをよじ登ることなどは朝飯前で,吊して干してある洗濯物に飛びついてブランコ遊びを得意としていた。それから半年が経過したころ,突然コ-ちゃんがいなくなった。車に撥ねられたのではないかと家族で心配して,皆で手分けして自転車で探し回ったが,結局見つからず,帰ってこなかった。

9 借家して1年後にマイホームを新築した。その後間もなく犬のムサシがわが家の住人になった。そのころには既にウリが子猫の域を過ぎていたため,ウリがムサシを警戒して,二匹は仲良しにはなれず,お互いに嫉妬しあうライバルになってしまった。同時期に小犬と小猫として飼うことになっておれば,仲良しになった可能性はあったと思うと少し残念な気がする。

10 私が週日は留守だったので,ムサシの散歩は妻がしていた。休日には家族全員でムサシを連れて散歩に行くことが多かった。そうするとウリが嫉妬して怒るのである。家族で散歩に出かける気配を察知すると,ウリは玄関の近くの塀の上に寝そべって,みんなを睨みつける。そして「ニャオオ-ン」と遠吠えをするのである。最初の頃は,遠吠えをしながら100メ-トルくらい散歩について来ていた。その後ついて来なくなったが,ウリの遠吠えはいつも遠くまで聞こえていた。

11  動物を飼うと必ずいつか別れの時が来る。動物の寿命は短いので,老衰のため死ぬこともあるし,交通事故やウサギが猫に襲われて死んだりという突然の別れもある。またいつのまにか行方不明になって,帰って来なかったりもする。動物を飼うと,子供がこのような悲しい思いをすることになるので,飼わないことにしているという人も少なくないようである。しかし私はそうは考えない。 確かに子供たちは悲しい思いをして何度か大泣きしたが,動物を愛する喜びや,その世話することの大変さ,愛する動物を失う悲しみを知ることは,人として生きることの深い喜びと悲しみを知ることになる。そしてこのような喜びや悲しみを知ることは決して無駄ではないと思うのである。 これは人生のとても貴重な経験であるし,豊かな感情を育てるうえでとても大きな意義がある。動物を愛(いと)しいと思う感情は,異性を愛しく恋しいと思う感情ととてもよく似ている。可愛がっていた動物の死によって受ける悲しみの感情は,子供たちを深く悲しませることにはなるが,しかしそのような経験を経て,子供たちが愛することの喜びと悲しみを深く理解することのできる人間に大きく成長することは間違いないと思うのである。(ムサシ)

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