日本裁判官ネットワークブログ

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いよいよカウントダウン

2009年05月16日 | 瑞祥
   ~来週,裁判員制度スタート

「平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し,平成21年5月21日から裁判員制度が実施されます。裁判員制度とは,国民のみなさんに裁判員として刑事裁判に参加してもらい,被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決めてもらう制度です。」
 以上は,最高裁のHPにおける裁判員制度の紹介ですが,上記の5年の準備期間も終わりに近づき,来週5月21日には,いよいよ裁判員制度がスタートです。この間,模擬裁判等を通じて,各地の法曹三者が試行錯誤を重ねてきました。国民の皆さんに参加してもらうための工夫は,刑事訴訟手続に限らず,いろいろなされてきました。関係者のご努力には改めて敬意を表したいと思います。また,まだまだ不安を持っておられる国民の皆さんもおられるとは思いますが,私は,裁判所の中でながめていて,5年という準備期間はとても有意義なものだったと感じており,国民の皆さんに安心して参加して下さいとお伝えしたい気分です。

 ところで,お隣の韓国では,日本より一足先に,「国民参与裁判」という陪審制度を2008年1月からスタートさせています。「国民の刑事裁判参与に関する法律」が制定されたのが,2007年6月1日ですから,わずか半年余りで実施に移されており,日本が5年の準備期間を置いたのとは対照的です。ただ,韓国の国民参与裁判は,「試験実施」という位置づけで,2012年末までの5年間が試験実施のようで,この期間の実施を通じて最終的な制度設計をするための機関が設置されています。こうしてみると,形は違えど,両国とも5年位は準備期間なのかもしれませんね。ただ,先に運用のスタートがなされた韓国の運用状況は,日本の実務にも参考になるところが大だと思います。
 そこで,当ネットワークでは,裁判員制度実施を祝し,また,韓国の運用状況に学ぶべく,李東熹韓国国立警察大学教授をお招きして,来月6日,大阪梅田で講演会を開きます(当ネットワークのHP(http://www.j-j-n.com/)に6月例会としてお知らせがあります。)。李教授は,国民参与裁判はもちろんのこと,韓国における被疑者取調べの可視化についてもお詳しいようです。日本語も堪能で,わかりやすい講演になると思います。是非ご参加下さい。 
 なお,当ブログでは,裁判員裁判実施と上記講演会のために,韓国の制度実施状況も含めて,いろいろ情報提供していこうと思っています。(瑞祥)