日本裁判官ネットワークブログ
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昨日の毎日新聞社説からの抜粋です。
賛否ありましょうが、貴重な問題提起だと思います。(チェックメイト)
(抜粋)
 厳罰化に頼れば、無謀な運転による事故がなくなると考えるのは性急に過ぎる。交通事件の罰則は、交通事故や自動車普及台数の増加に伴って強化されてきたが、必ずしも事故や違反の減少に結びついてはいない。
 法定刑の引き上げには、故意犯と過失犯とのバランスを考慮する必要もある。確かに、飲酒運転の恐ろしさが周知されているはずの今もなお、酒を飲んでハンドルを握る運転者らには許しがたいものがある。過失犯とするには異論もあるが、だからといって明確な犯意を抱いて犯行に及ぶ故意犯より重い刑に処することには問題なしとしない。とすると、交通事件での厳罰化が進めば、刑事裁判の判決が全体的に引き上げられる結果を招きかねない。現に兆候も認められるが、長期的な視野に立ち、厳罰が受刑者の社会復帰を困難にすることなどを勘案すれば、治安などに不都合も生じる。社会に害を及ぼす人は隔離すればいい、という発想にも危うさが伴う。


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