政府は10日の閣議で、金築誠志・東京地裁所長を高裁長官に任命することを決めた。これを受けて最高裁は金築氏を大阪高裁長官に、また東京地裁所長に白木勇・東京高裁部総括判事を充てる関連人事を決めた。発令はいずれも16日付。金築氏の任命は、涌井紀夫・大阪高裁長官が最高裁判事に任命され、高裁長官ポストが一つ空席になることを受けたもの。
全国裁判官懇話会(第20回)のご案内は下記のとおりです。
裁判官全員に送付されず,近く判例時報に掲載されるにとどまりますので,ここに案内文を掲載させていただきます。 K.K
裁判する心(司法改革の流れの中で)
司法改革は,21世紀のわが国が事後監視・救済型の社会になり,司法の重要性が飛躍的に増大することを展望しつつ,司法の容量の拡大,迅速化のための手続整備を進め,それとともに司法の担い手についても,養成の段階から大きな見直しをし,裁判官制度についても一定の改革を促し,市民の司法参加も新しい司法像の重要な視点として位置づけており,現在その多くは実践の段階にきています。
そして,これらの改革の多くは,裁判官懇話会が30有余年,追い求めてきた課題と重ね合わせれば,問題点を抱えつつも,軌を一にするところも少なくなく,大きな前進と評価することができると考えます。
しかし,急激な改革が推し進められる中で,成果主義に陥るなどの弊害が指摘されてきていることにも留意する必要があります。もともとこれらの改革は,単に技術的な改革にとどまるものではなく,「日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」との,民主主義の本質に関わる問題提起に発するものであり,この原点に立ち返っての検証を不断に続けることが,司法改革を真の国民的改革とする要であると思います。
今回は,このような司法改革の原点を見つめつつ,懇話会の出発点でもある「裁判する心」を統一テーマとして,下記のような民事,刑事,家事,少年の各分野における課題について,全体会において,自由討論を行いたいと考えています(なお,全国裁判官懇話会の現状を踏まえて,その存続についても討論を行う予定です。)。
【民事】 司法改革は、制度改革であるとともにあるいはそれ以上に担い手の改革であろう。我々も変わらなければならない。変革を導く理念をどう考えるか。
最近、最高裁は、「融資における貸し手責任」「藁の上からの養子」「制限利息超過」等の分野で、取引や市民生活の実情と「情理」にかなう注目すべき判決を言い渡した。これらの判決が下級審裁判官に問いかけるものは何か、我々はどのように応えたらよいのかを,上記の視点で考えてみたい。
【刑事】 裁判員制度導入が2年半後に迫り,これを念頭に置いた刑事訴訟法が施行されて1年近くが経ち,運用の改革も徐々に始まっているが,改革の必要程には実務が追い付いていないというのが実情のように思われる。
制度導入の意義に沿った刑事裁判の改革を実践していくために何が必要か,また,審理の在り方,保釈の運用,証拠開示,量刑などの具体的問題について,日々の仕事の中で,どのように工夫し実践していったらよいかを考えたい。
【家事】 高齢化社会への対応、児童虐待事件の増加への対応等について家裁が積極的に行動していくことが社会的に求められている。そのような問題について後見的・福祉的機能を有する家裁はどこまで関与していくことが可能か、司法機関としての家裁の限界をどのように考えるかという点について議論したい。
【少年】 少年事件は,少子化で事件数は激減している。そしてマスコミや識者によれば,非行の低年齢化と凶悪化の傾向は著しいという。それに伴い,少年と言えども厳罰を求める声が高まっている。しかし,現代の少年は,教育,文化,経済,健康,地域社会や家族愛等あらゆる分野で,貧困で,病んでいる。その中で,少年の健全な育成と非行からの更生,環境調整を理念とする少年法は,被害者との関係を含め,曲がり角にあり,どのように運用されなければならないかを考えたい。
〔なお,現職裁判官以外で参加を希望される方は,会場の制約もありますので,予め左記連絡先までFAXでご連絡をお願いします。〕
平成18年9月
世話人 大阪高裁判事 井 垣 敏 生
新潟家裁判事 石 塚 章 夫
福島家裁判事 矢 鱚 正 彦
大阪高裁判事 森 野 俊 彦
日 時 平成18年11月25日(土)
全体会 午後0時30分~6時30分
懇親会 午後6時30分~8時30分
会 場 ホテル大阪弥生(旧弥生会館)
大阪市北区芝田2-4-5
℡06-6373-4053
連絡先 世話人井垣敏生
FAX 0797-22-2292
裁判官全員に送付されず,近く判例時報に掲載されるにとどまりますので,ここに案内文を掲載させていただきます。 K.K
裁判する心(司法改革の流れの中で)
司法改革は,21世紀のわが国が事後監視・救済型の社会になり,司法の重要性が飛躍的に増大することを展望しつつ,司法の容量の拡大,迅速化のための手続整備を進め,それとともに司法の担い手についても,養成の段階から大きな見直しをし,裁判官制度についても一定の改革を促し,市民の司法参加も新しい司法像の重要な視点として位置づけており,現在その多くは実践の段階にきています。
そして,これらの改革の多くは,裁判官懇話会が30有余年,追い求めてきた課題と重ね合わせれば,問題点を抱えつつも,軌を一にするところも少なくなく,大きな前進と評価することができると考えます。
しかし,急激な改革が推し進められる中で,成果主義に陥るなどの弊害が指摘されてきていることにも留意する必要があります。もともとこれらの改革は,単に技術的な改革にとどまるものではなく,「日本国憲法のよって立つ個人の尊重と国民主権が真の意味において実現されるために何が必要とされているのか」との,民主主義の本質に関わる問題提起に発するものであり,この原点に立ち返っての検証を不断に続けることが,司法改革を真の国民的改革とする要であると思います。
今回は,このような司法改革の原点を見つめつつ,懇話会の出発点でもある「裁判する心」を統一テーマとして,下記のような民事,刑事,家事,少年の各分野における課題について,全体会において,自由討論を行いたいと考えています(なお,全国裁判官懇話会の現状を踏まえて,その存続についても討論を行う予定です。)。
【民事】 司法改革は、制度改革であるとともにあるいはそれ以上に担い手の改革であろう。我々も変わらなければならない。変革を導く理念をどう考えるか。
最近、最高裁は、「融資における貸し手責任」「藁の上からの養子」「制限利息超過」等の分野で、取引や市民生活の実情と「情理」にかなう注目すべき判決を言い渡した。これらの判決が下級審裁判官に問いかけるものは何か、我々はどのように応えたらよいのかを,上記の視点で考えてみたい。
【刑事】 裁判員制度導入が2年半後に迫り,これを念頭に置いた刑事訴訟法が施行されて1年近くが経ち,運用の改革も徐々に始まっているが,改革の必要程には実務が追い付いていないというのが実情のように思われる。
制度導入の意義に沿った刑事裁判の改革を実践していくために何が必要か,また,審理の在り方,保釈の運用,証拠開示,量刑などの具体的問題について,日々の仕事の中で,どのように工夫し実践していったらよいかを考えたい。
【家事】 高齢化社会への対応、児童虐待事件の増加への対応等について家裁が積極的に行動していくことが社会的に求められている。そのような問題について後見的・福祉的機能を有する家裁はどこまで関与していくことが可能か、司法機関としての家裁の限界をどのように考えるかという点について議論したい。
【少年】 少年事件は,少子化で事件数は激減している。そしてマスコミや識者によれば,非行の低年齢化と凶悪化の傾向は著しいという。それに伴い,少年と言えども厳罰を求める声が高まっている。しかし,現代の少年は,教育,文化,経済,健康,地域社会や家族愛等あらゆる分野で,貧困で,病んでいる。その中で,少年の健全な育成と非行からの更生,環境調整を理念とする少年法は,被害者との関係を含め,曲がり角にあり,どのように運用されなければならないかを考えたい。
〔なお,現職裁判官以外で参加を希望される方は,会場の制約もありますので,予め左記連絡先までFAXでご連絡をお願いします。〕
平成18年9月
世話人 大阪高裁判事 井 垣 敏 生
新潟家裁判事 石 塚 章 夫
福島家裁判事 矢 鱚 正 彦
大阪高裁判事 森 野 俊 彦
日 時 平成18年11月25日(土)
全体会 午後0時30分~6時30分
懇親会 午後6時30分~8時30分
会 場 ホテル大阪弥生(旧弥生会館)
大阪市北区芝田2-4-5
℡06-6373-4053
連絡先 世話人井垣敏生
FAX 0797-22-2292