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蜂を愛しキノコで英気を養う、リリー・グラッドストーン。先住民出身俳優のプリミティブな美の源とは?

2024-05-25 | 先住民族関連

VOGUE 2024年5月24日

2024年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の審査員として、連日華やかな姿でレッドカーペットに降り立つリリー・グラッドストーン。アメリカ先住民族の血を引き、自らのルーツを誇りにハリウッドで頭角を表す彼女の魅力を解剖しよう。

BY RIE MAESAKARIEKO KOSAI

アイデンティティから放たれる、美しさの包容力

リリー・グラッドストーンがブレイクしたのはマーティン・スコセッシ監督作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023年)でのオセージ族の未婚女性役。素朴な中に気品を感じさせる表情や哀愁溢れる演技が感動を呼び、先住民女性として初のゴールデングローブ賞受賞という快挙を成し遂げた。彼女自身はモンタナ州ブラックフット族の出身で、モンタナ大学で演技演出とネイティブアメリカン学を学んだ才女。2012年の映画デビュー以来その演技力は評判を呼び、インディーズ映画で経験を積んだのちの必然的なキャリアアップだった。

スクリーンで多くの人々を惹きつける魅力の根源は、やはりその生命力あふれる存在感。彼女はジェンダー代名詞にTheyを用いるノンバイナリーを公表しているが、それはほとんどの先住民族にSheやHeといった固有の性別代名詞が存在しないことから、Theyを使用することがアイデンティティの表明でもあると『The Hollywood REPORTER』のインタビューで語っている。部族を誇りに思いその歴史と文化を身をもって伝えながらも、まだまだ逆境の多い現代を生きるには、命から湧き上がるようなパワーが必要なのだ。

蜂オタクとしても有名

ネイティブアメリカンは古来より“人間は自然の一部である”という考えのもと、過酷な自然と共存してきた。リリーにもその考えがベースにあることは蜂オタクとしての一面がそれを象徴している。自宅でたまたまミツバチを保護したことをきっかけに大の蜂ラバーとなった彼女。2020年に全米で起きた殺人スズメバチ騒動(アジアにしか生息しない、非常に攻撃性の強いオオスズメバチがワシントン州で発見されたことを発端に各地で無害のハチまで駆除された騒動)では、スズメバチを追跡する農務省の期間労働者に応募しかけたというほどに、その情熱は熱い。映画の撮影を理由に断念したというが、在来種の蜂が生態系として有益であり守るべき存在であるということを今もなお発信し続けている。
ストレスを緩和するキノコで内側から活力を

リリーは米『ピープル』誌のインタビューのなかで、ケイト・ブランシェットに教えてもらったアダプトゲン性キノコをインナーケアに取り入れることで、多忙を極めたアワードシーズンを乗り越えたと明かしている。アダプトゲンとは、さまざまなストレスに対して適応力を高める作用そのものや、そうした作用をもつ植物などを指す言葉で、特にアダプトゲン性質を持つキノコは日本でもCBDオイルの次にヒットするウェルネス素材と言われている。美肌効果がある白キクラゲ、鎮静効果が高い霊芝など、その種類と効能はさまざま。アメリカではサプリからスキンケアまで多種多様なプロダクトが出回っているというから、リリーのようなストレスフリーな笑顔を手に入れるならぜひチェックしたい。

メイクには先住民発のコスメブランドを愛用

目鼻立ちのくっきりとした顔立ちを美しいカラーで彩るのがリリー流のメイク。それを支えるのが、近年美容業界で話題となっている先住民発のコスメブランドだ。チークボーン ビューティー(CHEEKBONE BEAUTY)、サルワルウェン ボタニカルズ(SḴÁLWEN BOTANICALS)などに代表されるこれらのブランドは、ネイティブアメリカン特有の肌色や質感にマッチしたプロダクトを展開するのはもちろん、彼らの伝統色や素材などの文化的な要素、クルエルティフリー、サステナブルな生産背景も重視。担当メイクアップ・アーティストのニック・バローズが「リリーは自分がネイティブアメリカン発のコスメブランドを使うことでスポットライトが当たり、より先住民の若い女性たちが生きやすく、未来を切り開いていくことを願っている」とウェブメディアの「beautyindependent」で話している。

しなやかな所作はバレエ経験によるもの

モンタナ大学在学中に身体性に焦点を当てた演技テクニックの訓練を受けたことから、主体的な動きを通じて役づくりすることを大切にしている。そのベースとなっているのが、子ども時代に打ち込んだバレエ経験。体の先端まで神経が行き届いたバレエ特有の動きは、大胆にも繊細にもコントロールでき、演技の面でとても役立っているそうだ。

役づくりから撮影、作品のPR活動、プレミア、授賞式まで、新鋭女優として目まぐるしい日々を送るリリー。その一方で、リラックスタイムにモバイルゲーム「マージマンション」をプレイするという親しみやすい側面ものぞかせる。活気と憂いを兼ね備えた先住民の歴史をバックストーリーに、太陽のような笑顔で進む彼女の今後に目が離せない。

Editor: Rie Maesaka

https://www.vogue.co.jp/article/lily-gladstone-77th-cannes

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