安達杏奈 有料記事
北海道新聞2024年7月20日 21:54
「蝦夷文化考古館」や「千住生活館」の建て替え後の完成イメージ図(幕別町提供)
【幕別】町はアイヌ文化の保存・伝承に向け、アイヌ民族に関する資料を展示する「蝦夷文化考古館」、交流スペース「千住生活館」のリニューアル計画を進めている。「第2の民族共生象徴空間(ウポポイ)」を掲げ、2026年度のオープンを目指している。
蝦夷文化考古館は1959年、町内の白人(チロット)コタンでアイヌ民族の指導者だった吉田菊太郎氏(1896~1965年)が建設。収蔵された民具や文書などの資料は約1700点に及ぶ。「貴重な資料。専門家の評価も高い」(幕別町)という。
こうした資料の一部が、胆振管内白老町に開設したアイヌ文化復興拠点「ウポポイ」に貸し出されている。幕別町としても貴重な資料を後世に引き継ぐ体制を整えようと、新施設の計画が持ち上がり、リニューアルが決まった。
蝦夷文化考古館の一部の「宝物堂」は耐震補強して残した上で、「宝物堂」を除く既存の2施設はいずれも鉄筋コンクリート造一部木造の平屋建てに建て替え、廊下でつなぐ計画だ。
新しい展示館棟は従来の施設と比べ、延べ床面積約5.5倍の690平方メートルに拡充する。新しい生活館棟も延べ床面積を約3.8倍の760平方メートルに。伝統儀式を行えるよう炉を囲んだ「伝承室」も設ける。
ソフト面も充実させる。町の学芸員が講師となり、自治体運営では全国初というアイヌ語教室を開催。オンラインでも配信を予定する。
施設を活用し、幕別アイヌ協会が伝統儀式「イチャルパ」を執り行う。・・・・・
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※「イチャルパ」の「ル」、「アットゥシ」の「シ」は小さい字。