先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

弓矢体験で狩猟の心学ぶ 白老・ウポポイでプログラム

2024-07-07 | アイヌ民族関連

武内敦貴 有料記事

北海道新聞2024年7月6日 19:04(7月6日 20:37更新)

弓矢体験を楽しむ来場者たち

 【白老】民族共生象徴空間(ウポポイ)の体験学習舘別館で、弓矢体験「アクシノッ」が行われている。弓矢を使った遊びを通して、狩猟の作法や技術について学べる内容で、来場者に好評だ。

 弓矢体験は、アイヌ民族の狩猟文化を紹介する目的で、2021年から冬季限定で行っていた。しかし、天候に左右され中止も多かったことから、屋内に体験会場を設置。通年の体験プログラムとして4日から始めた。

 コタン(集落)横の林を再現したセットの中で、スタッフから丁寧に指導を受け、・・・・・・

 小学生以上が対象で体験は無料だが、入場料は必要。毎日2部制で行い、午前10時~正午と午後2時~4時。

※「アクシノッ」の「ク」は小さい字。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1034589/


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優しい林業「馬搬」が引っ張る 厚真・西埜さん 相棒は引退ばん馬

2024-07-07 | アイヌ民族関連

田中華蓮 会員限定記事

北海道新聞2024年7月6日 11:56(7月6日 18:22更新)

西埜将世さんと、馬の「カップ」。重機を使うより環境負荷が軽減できるとして、馬搬への注目が高まっている=2日、厚真町(中島聡一朗撮影)

 「よし、行け!」。その声に応えるように、栗毛のばん馬がドスドスっと地面を踏みしめ、合わせて300キロになる10本の丸太の束を力強く引っ張り始めた。体高約2メートル、体重は1トン近い、がっしりとした体格の農耕馬が、緩やかな下りの斜面を蛇行しながら慎重に進む。

 馬は9歳の雄で、名前は「カップ」。手綱をにぎるのは西埜将世さん。2017年から、胆振管内厚真町を拠点に、山林で伐採した丸太を馬で麓まで運び出す「馬搬(ばはん)」を行っている。

 1950年代まで北海道や東北を中心に盛んに行われた馬搬は、機械化が進み次第に衰退。多くの従事者が引退した。馬による農林業技術の継承や普及に取り組む一般社団法人馬搬振興会(岩手県)によると、林業で本格的に馬搬を行っているのは、道内では西埜さんのみ。本州では、岩手や宮城、福島県で数人いる程度だという。

 馬搬は、効率が求められる大量生産の現場には向かない。ただ、重機での運搬に比べると、集材用の道を整備する必要がなく、軽油などの燃料もいらない。馬の方が小回りが利くため、重機が入れない場所から木を運び出すこともできる。重機が通った後は踏み固められるため、植物が生えにくくなるが、馬ならそうした影響も少ない。

 西埜さんはもともと森が好きで、大学で林学を専攻し、卒業後は自然体験施設を経て林業会社に入社。そこで馬搬の存在を知り、興味を抱いた。自ら職業として取り組もうと、岩手県で馬搬を行う「先輩」や、道内の経験者などから指導を受け、林業が盛んで、地域資源を生かした起業支援に力を入れる厚真町で17年に「西埜馬搬」を設立した。

 1頭目の馬がカップ。ばんえい競馬の引退馬で、家族で世話をしながら丸太を運ぶトレーニングを積んだ。「馬との生活も初めてで、最初はとても苦労しました。だんだんと性格も分かってきて、自分も馬も成長していると実感できました」

 当初は仕事がなかったが、交流のある自然保護団体から、この団体が手がけている天売島(留萌管内羽幌町)の森林整備と間伐を請け負った。この実績が知られるようになり、厚真町の町有林の間伐や、三菱マテリアル(東京)の道内にある社有林の整備などを担うようになった。

 20年からは日高管内平取町二風谷地区の「イオルの森」で、町アイヌ文化振興公社の依頼を受け、アイヌ民具の素材となるオヒョウやクルミ、カツラなどの間伐も行っている。

 一緒に仕事をする馬は4頭に増えた。・・・・・・・

・・・・・・・・・

 <略歴>にしの・まさとし 1980年、恵庭市出身。岩手大を卒業後、登別市の自然体験施設や、胆振管内白老町の林業会社に勤める。その後、渡島管内七飯町の観光牧場に入り、馬の飼育などを行う。馬搬を学ぶため岩手県の馬搬家やヨーロッパなどを訪問。1975年ごろまで渡島管内知内町で馬搬を営んでいた男性からも指導を受ける。2016年に胆振管内厚真町の起業家育成支援事業「ローカルベンチャースクール」に応募し、地域おこし協力隊として移住。妻と娘2人と暮らす。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1034514/


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「盗んだものは謝って返す、なぜできない」琉球人の遺骨や厨子甕、返還手続きに透ける学者の低い倫理観

2024-07-07 | ウチナー・沖縄

東京新聞 2024年7月6日 12時00分

 琉球人の祖先祭祀(さいし)にとって重要な沖縄伝統の骨つぼ「厨子甕(ずしがめ)」を所蔵する国立民族学博物館(民博、大阪府)が、本来あるべき場所に戻すための手続きに入った。返還先の募集を始めるなど一歩前進したが、墓から奪い取ったことへの謝罪はなく、誰に返すかの決定権は琉球人側にない。アイヌ民族への対応を含め、今なお影を落とす植民地主義史観について改めて考えた。(木原育子)

◆「盗掘品は元の場所に戻すのが世界の潮流」

「琉球人は遺骨や厨子甕を大切にしてきた。研究者が墓を荒らし、墓から引き離した暴挙は許されない。まずは謝罪があって然るべきだ」。龍谷大の松島泰勝教授(琉球先住民族論)が語気を強めた。松島氏は世界に散逸した琉球人の遺骨や副葬品の返還運動をしており、京都大で保管中の遺骨26体の返還を求めた訴訟の原告団長でもある。

 昨年4月、松島氏が日本文化人類学会のシンポジウムで、人類学者らによる琉球人の遺骨や副葬品の盗掘について話したところ、講演後、民博の職員が、厨子甕などを保管していると告白。計15点ほどの所蔵が表面化した。

 同7月には、松島氏が民博の収蔵庫に入り、「ウートゥウートゥした(祈りをささげた)」。「あまりに低い倫理観に怒りが込み上げたが、返還運動は脱植民地化の実践につながる。世界の大きな潮流で、盗掘品は元の場所に戻されなければならない」と憤る松島氏。同8月、松島氏が共同代表を務め、遺骨の返還運動をする市民団体「ニライ・カナイぬ会」名で民博に返還の要請文を出した。

◆正当な祭祀承継者か、判断するのは博物館側

 これを受け民博が今年5月、返還プロセスを公表。ただ「正当な権利を有する祭祀承継者であることを確認できる書類の提出」が必要で、民博が正当か否かを判断する仕組みだった。

国立民族学博物館の収蔵庫にあった厨子甕など=松島泰勝教授提供

 「ニライ・カナイぬ会」共同代表の仲村涼子氏は「関係性を証明できる家譜などの書類は沖縄戦で焼けて失われた場合もある。正当な子孫や祭祀継承者かどうかをジャッジするのがヤマトンチュ側というのは解せない」としつつ、「ただ、返還訴訟で遺骨返還を突っぱねた京都大の姿勢よりはまだいい。博物館側が真摯(しんし)に対応する機会になる」と指摘する。

 民博は「こちら特報部」の取材に「祭祀承継者であるかどうかを判断するのは祭祀承継者とその関係者の方々で、本館はその正当性の確認を行うことになる」と批判をかわしつつ、「(文書消失の場合は)口承による伝承を重要な資料として調査対象にする」とコメントした。

 本来の所有者である琉球人側に最終的な意思決定を委ねず、謝罪もしない手法は、国が決めたアイヌ民族の遺骨返還の方針に重なる。アイヌ民族の遺骨返還運動に取り組む木村二三夫氏(75)=北海道平取町=は「盗んだものは謝って返す。実にシンプルなことがなぜできないのか。アイヌ民族や琉球人の問題ではなく、和人やヤマトンチュこそ問題にしなければならない話だ」と訴える。

◆植民地主義史観から脱却できていない

 民博の「標本資料目録データベース」で検索すると「厨子甕」が11件、「骨つぼ」が3件出てくる。「民族」分類項目はいずれも「琉球」ではなく「日本」と記載されていた点も、松島氏らは問題視する。民博は「データベース更新作業と合わせ、年度内の更新を予定」と説明するが、この点でも謝罪はない。

 昨年7月、世界最大の米国人類学会の遺骨に関する委員会が日本を訪れ、琉球人やアイヌ民族への聞き取りを実施。同会は「日本の人類学者は非常に低い倫理規範で研究してきたのではないか」と批判した。

 松島氏は言う。「謝罪もなく形だけ返還する姿勢は、植民地主義史観から脱却できていないことを意味する。世界の笑いものだ」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/338159


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釧路の昔見て触れて なつかし館で体験学習

2024-07-07 | アイヌ民族関連

釧路新聞 7/6(土) 8:01配信

児童に所蔵品などを説明する中野館長

 北海道の釧路市立清明小学校(田中君枝校長)は6月28日、全校遠足を行った。各学年それぞれ趣向を凝らして計画し、6年生43人は徒歩で釧路市内を巡る体験学習を実施。中でも「釧路駅前なつかし館」では、アイヌ民族に関する多彩な展示を見学し、民族衣装を着てみるなど、釧路の歴史などに触れる貴重な学びを体験した。

 好天に恵まれたこの日、6年生は旭橋のたもとから釧路川左岸を通って幣舞橋を渡り、ぬさまい広場で記念撮影。北大通を北上し、午前10時になつかし館に到着した。館内では2班に分かれ、1階と2階の展示物を交互に見学した。2階には昭和時代の風景写真や古い雑誌や生活雑貨、アイドルのレコードや映画のポスターなどが展示され、中野勝広館長は戦時中に使った防空頭巾などの使い方を説明。児童は霧笛のラッパを鳴らしたり、昔の品を手に取ったりして楽しんだ。

 1階ではアイヌ民族関連の珍しい展示を見て回り、民族衣装を着て記念写真を撮るなど館内での体験を楽しんだ。霧笛のラッパを鳴らした津金澤隼大君(11)は「面白かったし、時代を感じました」。アイヌ民族の衣装を着た岩城璃奈さん(11)は「アイヌの衣装は浴衣を着た感じだった。楽しかったです」と話した。

 児童を案内した中野館長は「なつかし館は、釧路の子供たちが釧路の昔を学習をするためにある、と思っているのできょうは最高の場を提供できたと思う」。遠足を企画した山本真吾教諭は「遠足と抱き合わせで釧路の街を学ぶ機会にしたかった。なつかし館は最高の教材になりました」と振り返った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b40f2fc32185c071dbe9ebf7e19d78fcd44d2adc


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大雪山層雲峡温泉・第62回峡谷火まつり花火大会

2024-07-07 | アイヌ民族関連

EventBank2024/07/06 10:00

(一社)層雲峡観光協会(EventBank プレス)

その音と炎に、神宿る

層雲峡の夏の大イベント開催。7/27(土)18:20~ イベントスタート 自衛隊音楽隊演奏18:50~ 上川町郷土太鼓保存会 自衛隊北鎮太鼓の競演19:20~ 神泉奉納19:40~ アイヌ民族舞踊20:30~ 火まつり太鼓演舞21:00~ 夏花火峡谷火まつり 夏花火。7/28(日)~8/12(月)20:00~ 上川アイヌ民族舞踊20:15~ 上川アイヌ・ファイヤーダンス炎の演舞20:30~夏花火。

開催日時 2024年7月27日(土)~8月12日(月)

備考 峡谷火まつり 本まつり:7/27(土)、峡谷火まつり 夏花火:7/28(日)~8/12(月)。

会場 層雲峡温泉 北海道上川郡上川町層雲峡

料金 無料

アクセス

公共交通:JR上川駅からバス30分(バス停:層雲峡より徒歩3分)

車:旭川紋別道上川層雲峡ICから国道39号経由で20分

駐車場あり 350台 無料

お問い合わせ 01658-2-1811((一社)層雲峡観光協会)

ホームページ https://sounkyo.net/event/detail.html?content=27

イベント備考

※掲載の情報は天候や主催者側の都合などにより変更になる場合があります

https://news.goo.ne.jp/article/eventbank/region/eventbank-10528656.html


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リリー・グラッドストーン、ゴールデン・グローブ賞式典は『イカゲーム』のよう!?

2024-07-07 | 先住民族関連

BANG SHOWBIZ 2024/07/05

リリー・グラッドストーンが、ハリウッド最高峰のアワード授賞式典は『イカゲーム』のようだったと振り返っている。『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でアカデミー賞にノミネート、ゴールデン・グローブ賞ではドラマ部門の女優賞に輝いたリリーだが、後者のレッドカーペットでの経験は、失敗すれば排除される命がけのサバイバルゲーム『イカゲーム』のようだったと明かした。

『ケリー・クラークソン・ショー』の出演時にリリーは、アワードシーズンを楽しんだかと尋ねられ、「人との出会いは楽しかった」「でもグローブはちょっと『イカゲーム』みたいだったわ。だって、シェイプウェアを着ているから、トイレに行きたい時、CM時間しかチャンスがないっていうのが現実」「ただひたすら奔走するわけだけど、そういう時にメリル・ストリープとか憧れの人に会えたりする。そういうところはもちろん、悪くないわね」と語った。

さらにリリーは、恥をかくことを恐れ、他の有名人に会うのは緊張すると続ける。「何かバカなことを言いそうな気がするの」

そんなリリーは、先住民族にルーツをもつ俳優として史上初のドラマ部門女優賞を受賞、ブラックフット族の言葉で受賞スピーチを行っていた。

© BANG Media International

https://nordot.app/1182084099946414510


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伝統儀式で祖先しのぶ アイヌ協会が供養祭 白老

2024-07-07 | アイヌ民族関連

苫小牧民報2024/7/6配信

 白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)は5日、第21回アイ・オロ・オ・コタン先祖供養祭を白老町虎杖浜のポンアヨロ川河口のアヨロ海岸付近で行い、伝統の儀式で祖先をしのんだ。  同海岸の一帯には、縄文時代からアイヌの人々が暮らし、祈りの場に使…

この続き:449文字

https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/143172/


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書きたい、という欲望 作家・桜木紫乃

2024-07-07 | アイヌ民族関連

日本経済新聞2024年7月7日 2:00 [会員限定記事]

数年前から書き継いできたお話が、1冊になる。道東釧路に生まれて、デビュー前からずっと思い描いていた話だ。

新人賞受賞から本が出るまで5年半かかったのだが、腕のないこともあってなかなか表現が出来ずにいたのが「アイヌ民族との関わり」。

道東の釧路生まれなので、周りにはハーフ、クオーター、出自を知らない人を含めて先祖にアイヌの血筋を持つ人は珍しくもなんともなかった。デビュー前、その決して珍しくない隣に...

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

残り1543文字

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD03A8I0T00C24A6000000/


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最先端技術とでイノベーションを 先住民の知恵

2024-07-07 | 先住民族関連

日刊マニラ新聞 2024.7.7

 先住民族は何千年にもわたり、環境や生物と共存してきた。地球と深く結びついた生活を営む先住民族ほど、その土地を知り尽くしているものはいない。テクノロジーが急速に発展する現代でも、彼らから学ぶことは多い。例えば、世代を超えて受け継がれてきた月、太陽、星、動物、昆虫の観察といった伝統的な天気予報は、災害リスク軽減において貴重な知識であることが証明されている。

 国連先住民族問題常設フォーラムによると、インドネシア・シメウルエ島の先住民族は、水牛が丘に逃げれば津波が来るという古来の知識のおかげで、2004年の壊滅的なスマトラ島沖地震の大津波を生き延びたという。

 また、南米インカの段々畑は、作物への水の配分を容易にしている。

 医学の分野でいうと、特に薬草が病気の治癒に効果的だと証明されている。比では咳や風邪を治す効果があるグアバの葉などハーブ植物を、都市部の人でも薬局でカプセルやシロップの形で手に入れて常用している。

 パプアニューギニアでは、生息地の変化や休閑周期の短縮に耐えられない鳥類に関するヘワ族の知識が、環境保護に役立てられている。

 土着の技術や知識の核心は、先住民が道具や技術を最大限に活用する方法を理解するための、環境との深いつながりにある。先住民コミュニティと協力し、伝統的な知恵と最先端技術の統合をもって、より多くの世代が地球の美しさと恵みを享受できるよう、現代の課題に対する持続可能な解決策を見出すことは、人類にとってより有益であることは間違いない。(3日・ブレティン)

https://www.manila-shimbun.com/column/opinions/series277786.html


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地球が、音楽ストリーミングの公式アーティストに。自然音再生の収益を環境保全へ

2024-07-07 | 先住民族関連

IDEAS FOR GOOD7/6(土) 12:03

波が打ち寄せる音、風が木の葉をなでていく音、鳥たちのさえずり......自然の音は、いつだって私たちを癒してくれる。仕事中やリラックスタイム、寝る前など、日常的に自然音をBGMにしている人は多いのではないだろうか。

それでは、その音を作り出している「地球」を、"アーティスト"と捉えたことがあるだろうか。

音楽ストリーミングでは、好きなアーティストの音楽を聞けば聞くほど、そのアーティストに再生回数に応じた収益が入る仕組みになっている。一方で、私たちは自然の音を日常的に聴きながら、音の"クリエイター"である地球に、何も支払っていない。もし、これが人間のアーティストだったら──誰もがその関係を「搾取的だ」と感じるだろう。

そんな考え方を反映し、音楽ストリーミング上で地球を「公式アーティスト」とすることで、自然音から得ている恩恵を地球に還元するプロジェクトが、国連の関連組織であるUN Liveから生まれた。その名も、「Sounds Right」だ。

Sounds Rightには、大きく2つのプロジェクトがある。ひとつめは、「NATURE」という名の「公式アーティスト」が、プロジェクトを主導する団体が録音したサウンドスケープを配信するというもの。ここでは、冒頭で触れたような、いわゆる"自然そのもの"の音を聴くことができる。

「NATURE」のページには、例えば「ニカラグアの真夜中の自然」「バイーア・ソラノの海の音」など、個性豊かなトラックが並ぶ。2024年4月末時点ですでに2,000人近くのフォロワーがいる。

ふたつめは、国籍もジャンルも多様な15組の有名アーティストが、自身の既存曲や新曲に自然音を組み合わせることで地球とコラボレーションする曲を集めたプレイリスト、「feat.NATURE」だ。こちらでは、ロック、ポップス、ラテンミュージックなどさまざまなジャンルの音楽に自然音を取り込まれており、それぞれに独特な音世界が展開されている。参加アーティストには、Brian Enoブライアン・イーノ)、AURORA(オーロラ)、UMIなどが名を連ねる。

これらの音楽は、Apple MusicやSpotifyといったメジャーなストリーミングサービスで聴くことができ、「NATURE」の63%、「feat.NATURE」の50%の収益が生物多様性の保全や環境の再生プロジェクトに使われるという。さらに、リスナーは「NATURE」のページにあるリンクから、任意の額を寄付することもできる。

プロジェクトの構成メンバーと意思決定のプロセスにも着目したい。Sounds Rightプロジェクトは、UN Liveと40人を超えるコロンビアの多様なミュージシャンや環境活動家たちが、自然の保全プログラムに人々を巻き込むクリエイティブな方法を話し合うところから始まった。このため、プロジェクトのメンバーにもグローバルサウス出身者が多く含まれる。

「NATURE」の収益の配分も、グローバルサウス出身の環境活動家や先住民族の代表者などを含む4人の専門家グループにより決定される。その意思決定プロセスの詳細について、プロジェクトディレクターのGabriel Smales氏はGood Good Goodの取材に対し、こう語る。

「地球は、自身のお金を何に使うでしょうか?まず、生物多様性と固有種のレベルが最も高い生態系の保全と復元を優先するでしょう」

「次に、地球はお金が最も効果的で倫理的な方法で使われることを望むでしょう」

「最後に、地球自身は話すことができないため、その最も重要な守護者である先住民(自然界を保護するために最も大きな負担を負っている人たち)、また保全科学者や実践者たちに代表されたいと思うでしょう」

Good Good Goodの取材記事より、Gabriel Smales氏のコメント

Sounds Rightを通した収益が発生するまでには少し時間がかかるが、プロジェクト主導者は公開後の4年間で6億人以上のリスナーを獲得し、4,000万ドル以上の保護費用を生み出せると見積もっている。

生物多様性や環境の保全を資本主義経済の原理に組み込んで推進することは、見方によっては非常に「人間本意」な行為かもしれない。だが、Sounds Rightの本質は、私たちが地球から何を享受しているのかを改めて思い起こさせることにあるのではないだろうか。

そう考えてみると、口にする食物をはじめ、日常を豊かにしてくれる香りや家具、自然をインスピレーションとするアートまで、私たちの周りには地球からの"おくりもの"で溢れている。そんな地球に恩返しをするときが、来ているのではないだろうか。

相馬素美(そうまもとみ)

横浜で生まれ、大学ではクラシック音楽を専門に学ぶ。 ヨーロッパのサステナブルな取り組みや、サーキュラーエコノミーへの関心が特に高い。 また、ソーシャルグッドな音楽ビジネスの可能性を研究中。 好きなものは、音楽全般、アート、ファッション、北海道、アボカド、チョコレート、日本酒。

編集:IDEAS FOR GOOD

https://news.yahoo.co.jp/articles/dec2783740043acf524d1c0e8055a4be579e279c?page=1


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広島育ちの記者が感じた〝モヤモヤ〟「リッチランド」 原爆を誇る町にも刻まれた核の傷

2024-07-07 | 先住民族関連

ひとシネマ 7/6(土) 11:11

ハンフォード核施設の東側にある「死の道」と呼ばれる地域の夕暮れ。この周辺に住んでいた27家族のほとんどで、がんなどによる死者を出した=米ワシントン州で2005年7月、野田武写す

例えば、広島か長崎の市井を生きる人々の日常を淡々と追った映画を撮ってみたら、いまのアメリカでどんな受け止めをされるだろうか。「平和」「ピース」を冠した施設やイベントがまちにあふれ、幼い子が当たり前のように千羽鶴を折り、まちかどでは核兵器廃絶の署名への協力を高校生たちが呼びかけている。一方で病院に行けば、被爆者健康手帳を示して治療を受けるお年寄りがいる――。「原爆投下正当化論」に凝り固まった人にはパラレルワールドのように見えるのかもしれない。

【写真】長崎原爆に使われたプルトニウムが製造されたB原子炉。汚染除去作業が完了し、一般公開されている=米ワシントン州リッチランドで2011年4月、吉富裕倫撮影

トレードマークはきのこ雲

ドキュメンタリー映画「リッチランド」を見ながら、そんなことを想像してみた。原爆を使った側と落とされた側のギャップは取材でもたびたび経験してきた。広島に生まれ育ち、故郷を足場に原爆報道を長く続けてきた私にとっては、不謹慎では済まされない場面が幾つもあった。

きのこ雲を「わが町の誇り」とトレードマークとしてあちこちに使い、高校のフットボールチームは「ボマーズ」が愛称。「ニュークリア」という名称の通り、大勢の市民が和気あいあいと笑顔で集う「核開拓デー」のイベント……。

それが一見のどかな町の光景であり、登場する人々がいかにも穏やかな庶民なので、今風の言葉を使えばモヤモヤが収まらない。

長崎原爆に使われたプルトニウムを精製

第二次世界大戦時の核開発計画「マンハッタン計画」で、プルトニウムの生産拠点が置かれたハンフォード・サイト。ここで作られたプルトニウムを使って、人類史上初の核実験「トリニティ実験」の原爆、長崎に投下された原爆「ファットマン」が製造された。核開発競争が激化した冷戦下でも核燃料の生産が続き、役目を終えた今はアメリカの国立歴史公園になっている。映画はハンフォード・サイトで働く人たちのために建設されたベッドタウン・リッチランドに生きる人たちを追う。

果たしてこの町の住民は、広島と長崎で何が起きたのか知らないから、アメリカの核開発を担った栄光の歴史を疑うことなく誇れるのか。それとも自己否定につながるのを恐れて核の恐ろしさから目を背けているのだろうか。しかし丹念に住民の暮らしぶりに目を向けた映画は、実はこの町にも核の傷が深く刻まれていることを浮き彫りにしていく。

放射線起因としか思えない病気でかけがえのない家族を失った人の涙。かつて乳児や新生児の死亡が相次いだ事実を伝える墓石群。ハンフォード・サイトの広大な土地は核に汚染され、いつ終わるかも分からぬ除染や核廃棄物の処理が続いている。長崎との和解を試みる人たちもいれば、きのこ雲のトレードマークに異を唱えた教師もいた。

核兵器禁止条約に加わらない米、日

現実にあることでも、見ようとしなければ目に映らない。生まれ育った故郷の町を愛する気持ちは一緒であっても、それぞれが抱えている感情は複雑だ。交錯する住民の声に耳を傾けるストーリーからは映画製作者の誠実さがくみ取れるし、核大国が抱える矛盾を可視化している。人類が核兵器を生み出したことで一変した世界に真摯(しんし)に向き合う意図が伝わってくる。

ならばこの先、どうすれば良いのだろうかと考えさせられる。2017年に国連で成立した核兵器禁止条約は、兵器の使用や所有だけでなく開発や製造、実験に至る全ての過程を国際法上「違法」とし、締約国には被害者の救済や汚染された環境の回復を義務づけた。しかし、この条約に核大国のアメリカは参加せず、アメリカの「核の傘」に安全保障を頼る日本も背を向けたままだ。しかし、世界で最初の核開発国で自らの国土を傷つけ、住民の犠牲を強いている現状を見れば、進むべき道は明らかだろう。

土地は子どもたち、孫たちのものだ

映画の後半で、ハンフォード・サイトの建設を理由に土地を奪われたワナパム族の家族が登場する。核開発の広大な用地は砂漠の乾燥地帯だが、もともとは先住民族の居住地だった。核に汚染された大地で再び人が暮らせることはありえないだろう。映画はアメリカが栄光として語ってきた歴史の暗部をしっかりと伝えている。

建設当時「補償してやる」と言ってきたアメリカ軍に先住民族の指導者は受け取りを拒否し、こう返したという。「この土地の所有者は、私ではなく子どもたち、そして孫たちだ」。そう、核兵器は未来を奪う兵器なのだ。その異常さを世界が共通認識とし、核を捨て去る日が来るのはいつなのだろうか。

毎日新聞記者 宇城昇

https://news.yahoo.co.jp/articles/81b080c55f24ad815071aaf1f3bef85bb4012bf9?page=1


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