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史実とフィクションに議論 川越宗一さんの「熱源」

2020-01-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/16 05:00
 直木賞を受賞した川越宗一さんの「熱源」について、文学作品としての面白さや北海道のアイヌ民族とは異なる樺太アイヌに注目した点を評価する声が上がった。史実とフィクションの混在する記述が誤解を招きかねないとの意見もある。
 作家の池澤夏樹さんは「白瀬矗(のぶ)の南極探検隊に犬の世話係として参加したことで知られる樺太アイヌの山辺安之助(やまべやすのすけ)を主人公とし、知られるかぎりのファクト(事実)を基準点として、その隙間を想像で埋めている作品だ」と指摘する。「友人で言語学者の金田一京助、ポーランド出身の民俗学者ブロニスワフ・ピウスツキも登場し、山辺が白瀬隊のパトロンだった大隈重信と会話する場面もある。一個の英傑の生涯を書いて、周辺の人々をも大きく動かし、フィクションの部分の作りも大胆で、先を追って読ませる力は充分ある」と魅力を語る。
 樺太アイヌ語の監修などで取材協力した村崎恭子・元横浜国立大教授も「これまであまり注目されてこなかった樺太アイヌにスポットライトを当てたことを評価したい。フィクションではあるが、実在した樺太アイヌの人たちを生き生きと描いた」と受賞を喜ぶ。
 一方、ピウスツキ研究の第一人者の井上紘一北大名誉教授は「作品自体は面白いが、例えばクマ送りに山辺保之助ら主な登場人物が一緒に参加している場面などは事実ではなく、セーヌ川に投身自殺したという説が有力なピウスツキが銃で撃たれる場面もある。特に重要なフィクション部分は解説などを加えるとよいのではないか」と話している。(中村康利)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/383576
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