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地域に根ざし文化発信 ウポポイ開業まで100日

2020-01-16 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/16 05:00
 15日で残り100日となったアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開業を見据え、施設ができる胆振管内白老町以外でも各地に根ざした文化を発信する取り組みが進んでいる。アイヌ文化はもともと地域ごとに方言や伝承、歴史などが少しずつ違い、ウポポイは各地の伝承や発信の基点となる「扇の要」。ウポポイ内でもそれぞれの地域の特色をどう表現するか、模索が続く。(1面参照)
 「阿寒湖を囲む自然の中をアイヌの目線で巡る。ここでしか体験できない魅力がつまった旅になる」。釧路市の阿寒アイヌ工芸協同組合の秋辺日出男専務は、6月から阿寒湖畔で始まるガイドツアーに自信をのぞかせる。
 ツアーはJTBの道外客向け旅行のオプションとして販売し、同組合が運営。アイヌ民族のガイドと湖周辺の森などを歩き、自然を尊重するアイヌの世界観やガイド自身の思い出話に耳を傾け、アイヌ料理も味わってもらう約半日のコースだ。料金は1人約1万4千円で、今月31日から全国で発売する。
■民族の視点で
 ツアー作りは、秋辺さんら道内6地域のアイヌ民族や旅行会社などで構成する「アイヌ文化周遊ルートづくり協議会」が2017年から進めてきた。昨年末からは旭川市の旭山動物園の動物をアイヌ民族の視点で解説するツアーも販売している。
 昨年11月に行った協議会関係者向けのモニターツアーでは、札幌市の北大構内や日高管内平取町のアイヌ工芸家の工房などを巡り、商品化を模索した。秋辺さんは「それぞれの地域の特色を見つけ、磨き上げることは自分たちの文化を次世代に引き継ぎ、豊かにする」と強調する。
 アイヌ文化の地域性は、明治以降の同化政策や差別を受け、薄れてきた経緯がある。そのため、ウポポイ内の国立アイヌ民族博物館では、アイヌ語の展示解説に旭川や平取など各地の方言を採用。展示の目玉として、樺太のアイヌ民族がかつて伝統儀式「イオマンテ(熊の霊送り)」でクマをつないだ豪華な装飾具の復元に取り組むなど各地域の特色を生かした展示に知恵を絞る。
■体験型模索も
 ただ、地域性を生かした舞踊などの体験型プログラムの内容についてはまだ手探りが続く。また国内外から訪れる人々に道内各地のアイヌ関係施設を周遊してもらう具体策づくりも今後の課題だ。開業後にウポポイで上演する舞踊の指導に協力する帯広カムイトウウポポ保存会の酒井奈々子会長は「各地で地道に活動する人たちの思いに寄り添いながら進めてもらえたら」と願う。
 北大アイヌ・先住民研究センターの山崎幸治准教授は「地域によってアイヌ民族を巡る状況や課題はさまざま。それぞれの地域に合う連携の形を探ることが欠かせない」と指摘。その上で「各地のアイヌの人たちにとってもプラスになる事業やイベントを組み立て、アイヌに愛される施設になるかが本当の意味でのウポポイ成功の鍵だ」とする。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/383589
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