北海道新聞 01/27 10:38
滝川市内の北門信金本店の窓口に募金箱がある。箱には、お日さまがほほ笑むイラスト。重い病気の子供を受け入れる医療ケア付き自然体験施設「そらぷちキッズキャンプ」のキャラクター「そらっぷ」だ。北門信金は2007年から20を超す市内外の全店で募金をし、毎年10万円ほどを贈る。
■善意の2億円
年間約1億8千万円かかる施設の運営を、人々の善意が支えている。昨年度は、日本チェーンドラッグストア協会やサツドラホールディングス(札幌)など100を超す企業・団体から総額2億円近くが集まった。
そらぷちの構想が始動した01年から関わる、運営財団の佐々木健一郎事務局長(45)は「初めは支援企業がほとんどなく、提唱した細谷亮太医師(そらぷち代表理事)の人脈が頼りだった」と振り返る。佐々木さんは、月の半分は札幌や首都圏などの企業を回り、子供たちの写真を示して施設の意義を伝え、支援を求めてきた。
軌道に乗ったのは、寄付控除がある公益財団法人になった10年ごろから。16年には同様の施設の国際ネットワーク「シリアス・ファン」(本部・米国)の東アジア唯一の正会員となり、「国際基準を満たす施設として応援してもらえるようになった」と言う。
■「マチの誇り」
「そらぷち」は滝川の地名の由来「滝下る所」を意味するアイヌ語が元。約20年かけて支援の輪が広がると同時に、名前の通り、地域の象徴としてマチの人たちの心に刻まれてきた。
「そらぷちは滝川の誇り」と北門信金の船橋儀(ただし)常務理事(61)は力を込める。金利の一部を寄付する定期預金もあり、その寄付額は累計1500万円。「病気の子供たちに役立てるなら地元企業として光栄です」
支えるのは企業だけでない。農業者グループ「そらぷちファーマーズ」は農産品詰め合わせを販売し、売り上げの一部を寄付。「少額だが、つながれることに意義がある」と山木傑(まさる)さん(50)は言う。労働力を提供する団体も20ほどあり、滝川消費者協会は毎年、ぬいぐるみ50個を贈呈。滝川青年会議所は木道補修などを買って出ている。
施設では、ボランティア登録して専門研修を積んだ約50人が仕事を担う。管理栄養士の市職員浜田望さん(45)は、新鮮な野菜のカレーなど、病状に合わせて子供が喜ぶ食事を作る。「病院食が多い子供たちに滝川のおいしい物を食べてほしい。喜ぶ顔を見るとこっちもうれしくなる」と笑う。
佐々木さんの夢は、支援の輪を地域でさらに広げることだ。清掃を障害者就労支援施設に委託する計画も進める。さらに多くの人に「『そらぷちがあって良かった』と思ってほしい」。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/505209
滝川市内の北門信金本店の窓口に募金箱がある。箱には、お日さまがほほ笑むイラスト。重い病気の子供を受け入れる医療ケア付き自然体験施設「そらぷちキッズキャンプ」のキャラクター「そらっぷ」だ。北門信金は2007年から20を超す市内外の全店で募金をし、毎年10万円ほどを贈る。
■善意の2億円
年間約1億8千万円かかる施設の運営を、人々の善意が支えている。昨年度は、日本チェーンドラッグストア協会やサツドラホールディングス(札幌)など100を超す企業・団体から総額2億円近くが集まった。
そらぷちの構想が始動した01年から関わる、運営財団の佐々木健一郎事務局長(45)は「初めは支援企業がほとんどなく、提唱した細谷亮太医師(そらぷち代表理事)の人脈が頼りだった」と振り返る。佐々木さんは、月の半分は札幌や首都圏などの企業を回り、子供たちの写真を示して施設の意義を伝え、支援を求めてきた。
軌道に乗ったのは、寄付控除がある公益財団法人になった10年ごろから。16年には同様の施設の国際ネットワーク「シリアス・ファン」(本部・米国)の東アジア唯一の正会員となり、「国際基準を満たす施設として応援してもらえるようになった」と言う。
■「マチの誇り」
「そらぷち」は滝川の地名の由来「滝下る所」を意味するアイヌ語が元。約20年かけて支援の輪が広がると同時に、名前の通り、地域の象徴としてマチの人たちの心に刻まれてきた。
「そらぷちは滝川の誇り」と北門信金の船橋儀(ただし)常務理事(61)は力を込める。金利の一部を寄付する定期預金もあり、その寄付額は累計1500万円。「病気の子供たちに役立てるなら地元企業として光栄です」
支えるのは企業だけでない。農業者グループ「そらぷちファーマーズ」は農産品詰め合わせを販売し、売り上げの一部を寄付。「少額だが、つながれることに意義がある」と山木傑(まさる)さん(50)は言う。労働力を提供する団体も20ほどあり、滝川消費者協会は毎年、ぬいぐるみ50個を贈呈。滝川青年会議所は木道補修などを買って出ている。
施設では、ボランティア登録して専門研修を積んだ約50人が仕事を担う。管理栄養士の市職員浜田望さん(45)は、新鮮な野菜のカレーなど、病状に合わせて子供が喜ぶ食事を作る。「病院食が多い子供たちに滝川のおいしい物を食べてほしい。喜ぶ顔を見るとこっちもうれしくなる」と笑う。
佐々木さんの夢は、支援の輪を地域でさらに広げることだ。清掃を障害者就労支援施設に委託する計画も進める。さらに多くの人に「『そらぷちがあって良かった』と思ってほしい」。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/505209