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アイヌ口承文学をデジタル化 旭川市博物館、来月から 故杉村さんの神謡など

2021-01-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/24 12:00
 【旭川】旭川市博物館は2月から、同博物館が収蔵するアイヌ口承文学の伝承者、杉村キナラブックさん(1888~1973年)の音声資料をデジタル化する事業に着手する。1960年代に7本のテープに録音されたアイヌ語の神謡など計約30時間分で、旭川のアイヌ民族の言語や文化などを知る上で貴重な資料として後世に残したい考えだ。
 杉村さんは深川市生まれ。05年(明治38年)、旭川市の杉村コキサンクルさんと結婚し、67年にはアイヌ口承文学の伝承者として旭川市無形文化財に認定された。
 デジタル化する音声資料は、旭川市のアイヌ文化研究家(故人)が66年から2年間かけ、杉村さんがアイヌ語で語った神謡や寓話(ぐうわ)をオープンリールデッキで録音したテープだ。無形文化財認定と同時期に同博物館に寄贈された。
 同博物館によると、アイヌ口承文学を詳しく記憶していた杉村さんの音声がまとまって残る資料は貴重といい、博物館の学芸員らの研究などに使われてきた。ただ、近年はオープンリールデッキが少ないため再生できなくなっており、劣化も懸念されたためデジタル化を決めた。
 併せて、同博物館嘱託職員だった魚井一由さん(2008年死去)が79年から約20年間かけ、旭川市内のアイヌ民族の女性2人(いずれも故人)から聞き取ったアイヌ語の会話や昔話を録音したテープ約300本もデジタル化する。いずれも年度内に終了し、アイヌ文化研究家らの研究などに役立ててもらう。
 事業費は約290万円。うち約230万円は国のアイヌ政策推進交付金を活用する。石原充浩館長は「テープには貴重な声が入っており、音源として聞ける形で後世に残したい」と話す。(山口真理絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/502881

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