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ウポポイ19万8485人来場 開業半年 2月は狩猟体験も

2021-01-14 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/14 05:00
 【白老】胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」を運営するアイヌ民族文化財団(札幌)の対馬一修運営本部長は13日の記者会見で、12日までの開業半年で19万8485人がウポポイに来場したと明らかにした。冬季の集客のため、ヒグマを描いた的を弓矢で狙う狩猟体験やシカの皮を尻に敷くそり遊び体験など2月上旬に始める新たな体験プログラムも発表した。
 月別の来場者数は修学旅行生に支えられた昨年10月が最多の約5万2千人だった。その後は新型コロナウイルスの感染拡大で大幅に減り、同12月は約8300人に落ち込んだ。1月も1日当たりの来場者が100人以下となる日があり、厳しい状況が続いている。ウポポイ内の慰霊施設の来場者数は半年で約900人だった。
 対馬氏は来場実績について、感染対策で入場制限を余儀なくされる中、「一定の評価ができる」と述べた。新たな体験プログラムについては「感染対策を徹底しながら、アイヌ文化を五感で感じてもらえるよう充実させたい」と話した。(斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/500832

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アイヌ文化を学ぼう 今月から週末にイベント開催 国立アイヌ民族博物館

2021-01-14 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2021/1/13
 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)にある国立アイヌ民族博物館は、週末にアイヌ文化を楽しく学ぶ「ホリデーイベント」を今月から展開する。アイヌ民族の歌や踊り、工芸品の製作体験など週替わりのプログラムを提供する。  初回の9日は「みんな…
この続き:435文字
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https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/38323/

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クーン・チーズ、長年の名称問題にようやく終止符

2021-01-14 | 先住民族関連
日豪プレス 2021年1月13日
人種差別用語取り去り、チアー・チーズで新発売
 オーストラリアのチーズ・ブランド、「Coon Cheese」の名称はチーズ改良家の名を取ったものだが、歴史的に「coon」は黒人に対する蔑称として使われてきたため、先住民族アボリジニの活動家らから改称を求められてきており、このほど、メイカー側が折れて、「Cheer Cheese」と改称し、2020年7月に新しい商品名で発売する考えを明らかにしている。
 ABC放送(電子版)が伝えた。
 「Coon」は、「Racoon(アライグマ)」の訛りで元々はアメリカで黒人を意味する蔑称として使われてきたが、オーストラリアでは白人が先住民族アボリジニを指す言葉として使っていた。Saputo Dairy Australia社の販売する「Coon Cheese」は、フィラデルフィアのチーズ製法特許を得たEdward William Coonの名を取ってものであり、アボリジニに対する蔑称とはまったく無関係だとしてきたが、同社は、改称発売について、「改称で受け入れと敬意の価値を強化することになるだろう」と発表している。
 Kraft社、Dairy Farmers社が同ブランド・チーズを商品化していた時期から改称要求はあったが、両社は要求を拒絶していた。
 長年改称を要求してきた先住民族活動家のスティーブン・ヘイガン博士は、「調査の結果、Coon氏は学歴のない工場労働者であり、特許を得たのはチーズが発売され始めてから10年後のことであることが判明した」として、「Edward William Coon発祥説」を否定してきた。(ただし、Wikipediaによれば、Coon Cheese発売は1935年となっており、ヘイガン博士説は、次の特許資料と少し食い違いがあるが詳細は不明。https://patents.google.com/patent/US1579196A/en)。
 Saputo社のキャム・ブルース営業担当取締役は、「Cheer Cheeseはこれまで通り、オーストラリア産牛乳を使い、VIC州で従来の製法で生産していく。消費者調査で新名称が支持されていることが確かめられた。当社は消費者の意向を信頼しており、新しい名称で心機一転して販売していく」と述べている。
■ソース
Coon Cheese changes name to Cheer Cheese, pledging to ‘build a culture of acceptance’
https://nichigopress.jp/ausnews/202487/

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NZワンガヌイの魅力、コロナ下でも発信 長泉の園児、姉妹都市交流へ絵画制作

2021-01-14 | 先住民族関連
静岡新聞 2021/01/13 09:39
 長泉町が16日から、姉妹都市であるニュージーランド・ワンガヌイ市の魅力を発信するイベントを町内各所で開く。新型コロナウイルスの影響で中学生の訪問など交流事業が中止になり、代替企画として考案した。12日には中央保育園の園児がニュージーランドをテーマにした絵を描き、イベント開催に向けた準備に臨んだ。
 同園で町職員がニュージーランドの自然や動物を年長児17人に写真で紹介した。園児はニュージーランド固有の鳥「キウイ」や星空、ジャングルなどの写真を見ながら、画用紙いっぱいに表現した。
 色えんぴつで天の川を描いた遠藤茉彩さん(5)は「たくさんの色を塗るのは大変だったけれど楽しかった」と話した。完成した絵は25日から始まる写真展の会場で展示する。
 両都市は1988年の姉妹都市提携以降、中学生が互いの都市を訪れて交流を重ねている。
 町の担当者は「キアオラはニュージーランド先住民族の言葉で“こんにちは”などあいさつを意味する。直接の交流はできないが、ニュージーランドの空気を感じてほしい」と話した。
 ■料理の販売やオンラインツアー 16日から町内各地
 長泉町は16日から、姉妹都市ニュージーランド・ワンガヌイ市の魅力を体験できるイベント「キアオラ!ながいずみ」を町内各地で開催する。
 16日〜2月14日は町内や周辺の飲食店10店舗でニュージーランドにちなんだメニューを販売する。期間限定メニューを食べるともらえるスタンプで、インターネット上で開催される「ワンガヌイオンラインツアー」に参加できる。同ツアーは2月13日午前10時から。
 1月25〜31日は、ニュージーランドに居住経験のある写真家伊藤秀海さんの写真展を同町下土狩の町チャレンジショップで実施する。2月3〜7日には同所でマヌカハニーの販売や、姉妹都市交流の歴史を紹介する展示を行う。
 問い合わせは町国際交流協会<電055(989)5500>へ。
https://news.goo.ne.jp/article/at_s/region/at_s-850918.html

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エクエーター原則とは?その意味とルール、誕生の経緯や採択金融機関を紹介

2021-01-14 | 先住民族関連
ビジネス+IT 1/13(水) 7:00
 エクエーター原則(赤道原則)という言葉をご存じだろうか。かつて、大規模な開発や建設によって、自然環境や地元住民の生活が破壊されることが社会問題化した。その解決方法として生み出されたのがエクエーター原則だ。本稿では、エクエーター原則の意味やルールの概要、本原則の誕生や日本で本原則を採択している金融機関について紹介する。
●エクエーター原則とは
 エクエーター原則(赤道原則)とは、石油・ガス開発や発電所建設等の大規模な開発や建設を伴うプロジェクトに金融機関が参加する場合、当該プロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮して実施されることを確認するための枠組みだ。エクエーター原則の生まれた経緯と命名の由来、基本の10原則についてみていこう。
●エクエーター原則の生まれた経緯
 石油・ガス開発やダム建設、工場建設などの大規模開発や大規模建設を行う際、現地の自然破壊や地元住民の生活破壊が問題となった。ダム建設による住民の立ち退きが彼らの生活を破壊したとして国内外から非難された例もある。
 多国籍金融機関やOECD加盟国の政府系輸出信用機関などは、この問題に対処するため自主ガイドラインを整備、1990年代後半には自然や地域社会へのリスク管理を始めていた。しかし、民間金融機関はなかなか自主ガイドライン策定が進まない状況となる。
 この状況を打開したのは2002年10月、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)とオランダ銀行大手ABNアムロ。彼らは、世界の主要銀行をイギリスのロンドン近郊にあるグリニッジに集め、環境・社会リスク管理のガイドライン策定を呼びかける。結果、ABNアムロ、シティバンク、バークレイズ、ウェルストエルビーの4行がガイドラインの原案を策定。
 2003年6月にエクエーター原則を正式発表し、10もの欧米主要銀行がその場で本原則を採択した。その後、エクエーター原則は2006年、2012年、2019年と改訂を重ね、現在の最新版は第4版となる。
●命名の由来
 原案作成時には「グリニッジ原則」とされていた。これは、イギリスのロンドン近郊のグリニッジで何度も検討の会議が開催されていたためである。しかし、のちにNGOから「グリニッジという言葉はイギリス系の印象が強い」との意見があった。
 そのため、最終的には赤道や基準に合わせるという意味のある単語「エクエーター」が採用され、「エクエーター原則」に改名された。
●エクエーター原則の10原則(※3)
 エクエーター原則は、以下の10原則から成り立っている。EPFI(エクエーター原則を採択している金融機関)は、大規模プロジェクト融資に際し、この10原則全部を満たさなければならない。
原則1:レビュー、およびカテゴリー付与
 大規模プロジェクトへの融資の問い合わせがあったとき、IFCの環境・社会カテゴリー付与のプロセスに基づき、プロジェクトをA、B、Cの3つのカテゴリーに分類する。
原則2:環境・社会アセスメント
 AまたはBにカテゴライズされた場合、社会や環境へのリスクが大きくなる可能性がある。そのため、EPFIは融資予定先の企業に対してエクエーター原則で決められたアセスメントを実施しなければならない。
原則3:適用される環境・社会基準
 アセスメント結果により、適用される環境や社会基準が決まる。
原則4:環境・社会マネジメントシステムと、エクエーター原則アクションプラン
 EPFIは、融資予定先の企業に対して環境・社会マネジメントシステムの構築と運用、エクエーター原則アクションプラン策定を求める。
原則5:ステークホルダー・エンゲージメント
 EPFIは融資予定先の企業に対してステークホルダー・エンゲージメントの実施を要求する。
原則6:苦情処理メカニズム
 EPFIは、必要に応じて融資予定先の企業に対しステークホルダーからの苦情を処理するメカニズム構築を要求する。
原則7:独立した環境・社会コンサルタントによるレビュー
 ここまでの原則に沿って行ってきた対策について、独立した外部の環境・社会コンサルタントのレビューを受ける。
原則8:誓約条項(コベナンツ)
 EPFIは融資予定先の企業に対して、誓約条項を融資契約書の中に盛り込む。
原則9:独立した環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告の検証
 融資後の開発について独立した外部の環境・社会コンサルタントによるモニタリングと報告を受け、その内容を検証する。
原則10:情報開示と透明性
 EPFIは、少なくとも年に1回、融資を実施した案件とエクエーター原則の実施プロセス、実績について公表する義務を負う。
●エクエーター原則の対象となる金融商品
 エクエーター原則の対象となる新規大規模プロジェクト案件において、以下の金融商品が対象となる。
●プロジェクトファイナンスアドバイザリーサービス
 プロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスとは、プロジェクトのスポンサーに対して、資金調達など金融面の助言を行うサービス。プロジェクト総額が1,000万米ドル以上のすべての案件について、本サービスを行う場合は対象となる。
●プロジェクトファイナンス
 プロジェクトファイナンスとは、あるプロジェクトから生じるキャッシュフローに依拠して融資を行う手法で、発電所や石油ガス開発などの大型プロジェクトに採用される場合が多い。一般的に、よく見られる融資先企業の信用力に応じた融資とは異なる。プロジェクト総額1,000万米ドル以上のすべての案件について、本サービスを行う場合は対象となる。
●プロジェクト紐付きコーポレートローン
 プロジェクト紐付きコーポレートローン(PRCL)とは、事業会社(民間、公的、国有もしくはその政府支配下にあるもの)向けのコーポレートローンで、バイヤーズクレジット型の輸出金融を含む。
 以下3つの条件をすべて満たす場合に対象となる。
・借入額の過半が、その事業会社が実質的な支配権を有する特定のプロジェクト関連向け
・総借入額とそのエクエーター原則採択金融機関のコミット額(シンジケーション組成もしくはセルダウン前)が5,000万米ドル以上
・貸出期間が2年以上
●ブリッジローン
 貸出期間2年未満で、上述条件を満たすプロジェクトファイナンス、もしくはPRCLによってリファイナンスされるブリッジローン。
●プロジェクト紐付きのリファイナンスと買収ファイナンス
 プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンス。以下3つの条件をすべて満たす場合に対象となる。
・1.過去エクエーター原則に基づいて融資を受けている
・2.規模あるいは目的の重大な変更がない
・3.融資契約書の調印時点でプロジェクトが完工していない(※4)
●エクエーター原則の準拠する環境・社会基準
 エクエーター原則の準拠する環境や社会基準は以下の通りである。
・現地国環境法
・IFCパフォーマンススタンダード
・世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン
 このうち、IFCパフォーマンススタンダードと世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドラインについて解説する。
● IFCパフォーマンススタンダード
 IFCパフォーマンススタンダードは、公害防止や自然環境の保護と、プロジェクトにより影響を受ける地域住民や労働者の人権保護のための基準で、以下8項目で構成されている。
・PS1:環境・社会に対するリスクと影響の評価と管理
・PS2:労働者と労働条件
・PS3:資源効率と汚染防止
・PS4:地域社会の衛生・安全・保安
・PS5:土地取得と非自発的移転
・PS6:生物多様性の保全および自然生物資源の持続的利用の管理
・PS7:先住民族
・PS8:文化遺産
(出典:みずほフィナンシャルグループ「エクエーター原則(赤道原則)とは」)
●世界銀行グループEHS(環境・衛生・安全)ガイドライン
 世界銀行グループが定めたプロジェクトの環境・衛生・安全に関するガイドライン。どの産業にも共通する一般ガイドラインと、62の産業別ガイドラインで構成されている。
●エクエーター原則を採択している金融機関
 2020年11月現在、日本でエクエーター原則を採択している金融機関は以下の8機関である。
・みずほ銀行:2003年10月27日
・三菱UFJ銀行:2005年12月22日
・三井住友銀行:2006年1月23日
・三井住友信託銀行:2016年2月1日
・農林中央金庫:2017年5月1日
・日本生命保険:2019年4月1日
・新生銀行:2020年4月1日
・日本政策投資銀行:2020年7月1日
 大手都市銀行など、日本を代表する大手金融機関の名前がそろっている。
 エクエーター原則の概要について見てきた。本原則は、地球環境および地域住民の持続可能性を守るために金融業界が定めた自主ガイドライン。世界の大規模な金融機関が本原則を採択している。自然環境や地域社会の破壊に配慮しない大規模プロジェクトは資金調達が厳しくなるため、環境に配慮した事前計画がより重要となるだろう。
執筆:藤森みすず、編集:しらいはるか
https://news.yahoo.co.jp/articles/2dfa50ef69c539bb20f1aa9c5a012d521cfbad2c

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「トランプ氏は平和主義者」って本当?―4年間の「実績」から検証

2021-01-14 | 先住民族関連
ヤフーニュース 1/13(水) 11:50
志葉玲 | フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
 トランプ氏ほど評価が真っ二つに分かれる政治家も珍しい。「史上最悪の米国大統領」とこき下ろされる一方、「救世主」として崇める「信者」というべき熱烈な支持者達もいる。それは米国でのみならず、奇妙なことに日本においても、リベラルと見られる層にもトランプ支持者が少なからずいる。それは、「トランプ氏は米国の大統領としては、戦争を行わなかった平和主義者だから」との理由だそうだ。だが、本当にトランプ氏は「戦争しない大統領」であったのか。
○ドローン攻撃を多用したトランプ政権
 米国の歴史は常に戦争と共にある。独立戦争に始まり、アメリカ先住民族との戦争、南北戦争、二度の大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、そして、アフガニスタンやイラクなどでの対テロ戦争と、常に米国は戦争を行ってきた。イラクから米軍の大部分を撤退させたオバマ元大統領ですら、ドローン(無人攻撃機)によるテロ容疑者への攻撃で、罪のない現地民間人達も「誤爆」で殺害したことで批判の対象とされている。一方、トランプ氏支持者は「血塗られた歴代の米国大統領に比べ、トランプ大統領は平和主義だった」と主張する。ただ、それはあまりに過大評価であろう。
 オバマ政権の8年間で行われたドローン攻撃は、1878回であったが、トランプ政権の最初の2年だけで、アフガニスタンやパキスタン、ソマリアなどで2243回ものドローン攻撃を行っている。トランプ政権はドローン攻撃に極めて積極的だったのだ(関連報道)。ドローン攻撃等の米国の空爆については、オバマ政権は大統領令13732により、
・民間人被害を避けるべく、攻撃のタイミングの調整や軍事目標と民間人との峻別を明確
 にする等、予防的な措置を取ること
・民間人被害に関する調査を行い、新たな被害を軽減する措置を取ること
・民間人の死傷者に対する米国政府の責任を認め、負傷した民間人または殺害された民間人の家族に、謝礼金を含むお悔やみを申し出ること
 等の対策を米国の関連機関に命じていた。また、同大統領令は国家情報長官に対し、米軍の空爆によって殺害された戦闘員・非戦闘員に関する報告書をまとめ公表することを求めている。ところが、トランプ政権では、標的を攻撃する判断での軍及びCIAの権限を強化する一方で、民間人殺害に関する報告義務を削除したのだ。大統領令とは別に米国議会の要求によって国防総省は空爆についての民間人被害の報告を求められているが、トランプ政権においてその透明性は不十分で、米軍の報告と民間組織の推計では数十倍の開きがあるという。
○イラク、シリアでの空爆と民間人被害
 トランプ政権は、対IS(いわゆる「イスラム国」)の軍事作戦として、イラクやシリアでの猛空爆を行ってきた。特に2017年は米軍主導の多国籍軍の空爆により、ほぼ毎日、民間人が死亡するという状況が続き、シリア西部では昨年11月になっても空爆が続いていた。英NPO「AIRWARS」の集計及び調査によれば、一回の空爆で100人以上の民間人が殺されたというケースも少なくない。例えば、2017年3月17日、イラク北部の都市モスルへの空爆で、米軍主導の有志連合は105人から141人の民間人が死亡したと発表している。しかも、AIRWARSの現地情報による報告では、同空爆で最大520人(うち370人が子ども)の民間人が殺された、としているのだ(関連情報)。
https://www.youtube.com/watch?v=zLt9YraW8Qo&feature=emb_logo
 AIRWARSの年次報告書によると、2017年の米軍を中心とする有志連合による中東各国への攻撃での民間人被害は、オバマ政権時であった2016年と比較して倍増し、3,923人から6,102人の民間人が死亡したと推定されるという。IS拠点での攻防が激化していた時期とは言え被害は極めて深刻であり、AIRWARSは「トランプ政権が軍事攻撃における民間人保護の政策を縮小した結果だ」と評している(関連情報)。
○イラン革命防衛隊ソレイマニ司令官の暗殺
 トランプ政権によって一時は戦争勃発の危機にまで発展したのが、米国とイランの対立だ。これについては筆者は幾度か記事を書いているが、オバマ政権時(2015年)にイランとの間で成立した核合意―イランはあくまでエネルギー利用として核開発を行い、核兵器には使用しないかわりに米国やEU等は対イラン経済制裁を解除するという合意から、トランプ政権は2018年、一方的に離脱。対イラン制裁を再開した。さらに、トランプ政権は、2020年1月にはイラン革命防衛隊の指揮官ガセム・ソレイマニ氏を空爆で殺害。これに対し、イラン側は、同国の隣国イラクにある米軍基地でミサイルを発射するなどの報復を行った。このミサイル攻撃は事前通告されていたため、米軍関係者が多数死傷する事態とはならず、戦争は回避されたものの、米国とイランの一触即発の対立は続いている。不幸中の幸い、バイデン次期米国大統領は核合意に復帰する意向であり、緊張緩和が期待される。
○イエメン空爆でのサウジアラビアへの兵器売却
 米軍による直接の軍事行動ではないとは言え、米国でも批難の声が上がったのが、トランプ政権によるサウジアラビアへの軍事支援だ。サウジが主導するアラブ諸国の有志連合はイエメンでの内戦に介入、同国への空爆や物資輸送路の封鎖を行った。そのため、多くの民間人が空爆で殺され、また国民の3分の1が飢餓状態にあるなどの深刻な食料危機やコレラ等の疫病が蔓延するなど、「世界最悪」と言われる人道危機に陥った。そのため、米国がサウジに兵器を供与することは、内戦をより一層悪化させるとして、米国連邦議会は、2017年6月に上院で、同年7月に下院でサウジ等へ兵器売却中止を求める決議を可決。だが、これに対しトランプ大統領は「サウジとの二国間関係を損なう」として、拒否権を発動した。その後、現在に至るまでイエメンの人道危機は悪化し続けている。
○「平和主義者」とはとても言えない
 その他、パレスチナ問題では、極端にイスラエルびいきなトランプ大統領の姿勢が、「二国家共存」という、これまでの米国の中東和平の枠組みを危うくしていること(関連情報)、韓国の仲介もあり、最終的には米朝会談にこぎつけ緊張緩和につながったものの、北朝鮮に対し80発もの核兵器使用を想定していたなど(関連情報)、トランプ政権の外交・安全保障政策は極めて危ういものだった。トランプ大統領の強い求めにより、アラブ首長国連邦やバーレーンがイスラエルとの国交を回復したが、これはパレスチナ問題を置き去りにしたものであり、また対イラン包囲網という意味合いも大きい。こうした一連の問題を鑑みれば、「トランプ氏は戦争をしない、米国大統領としては異例の平和主義者だった」という支持者の主張は現実からかけ離れたもの、と結論づけられるだろう。(了)
※本記事は、ジャーナリスト志葉玲の公式ブログの投稿に、資料映像や関連情報を追加したもの。
https://www.reishiva.net/entry/2021/01/12/114444
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20210113-00217347/

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