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<燻製 煙の魔法>1 いぶす 身近に香る文化 栄養分凝縮、保存性高く

2021-01-05 | アイヌ民族関連
北海道新聞 01/04 17:00
 煙で食材をいぶすことで高い保存性と深い味わいをもたらす「薫製」。ベーコンやソーセージなど海外の食材をイメージしがちだが、実は私たちの暮らしに昔からある身近な存在だ。サケをいぶしたアイヌ民族の伝統食、道内発祥といわれるイカ薫製、だしに使われるかつお節など、さまざまなものがある。各地で香る薫製文化と、家庭での作り方などを紹介する。
■アイヌ民族伝統食・サッチェプ だしの王道・かつお節 秋田名物・いぶりがっこ
 「アイヌ民族は、貴重なたんぱく源である肉や魚を煙でいぶして長持ちさせていたんです」。そう話すのは、国立アイヌ民族博物館(胆振管内白老町)の学芸員、八幡巴絵さん(37)。食生活を狩猟や採取に頼っていたアイヌ民族にとって、厳しい冬を越すため、薫製は欠かせない保存技術だった。
 アイヌ民族の伝統食として知られる「サッチェプ(魚の丸干し)」。食材を屋外で乾燥させ、伝統的家屋「チセ」の内部でつるす。いろりで料理や暖をとる際の日常生活の煙で自然といぶしていた。八幡さんによると、アイヌ語で「サッ(乾いた)」「チェプ(魚)」の組み合わせで、干し魚全体を指したという。
 魚ではサケのほかスケソウダラやヤマメ、肉ではクマやシカ、山菜ではフキやギョウジャニンニクなどもいぶしていた。白老町では昨年7月、アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がオープン。同博物館はウポポイの中核施設に位置づけられている。八幡さんは「薫製を通して、アイヌ民族の食文化に触れてもらえるきっかけになれば」と期待している。
 ほどよい酸味と香ばしさ漂う、酒のつまみやおやつとして、コンビニなど身近な店でもよく見かけるイカの薫製(イカくん)。この元祖は、函館市の水産加工会社「山一食品」だ。
 同社によると、イカくんの生産が始まったのは戦後から。イカ漁は盛んだったが、保存技術が未発達な当時、加工食品の主流は干しイカだった。「イカくんは常温で保存できる商品として開発した」(同社)。近年はスルメイカの不漁により主力商品のさきいか「こがね」に原材料を回していることもあり、薫製の製造は現在、中断しているという。
 風味豊かな和食のだし文化を代表する「かつお節」も薫製だ。日本鰹節(かつおぶし)協会(東京)によると、日本最古の歴史書とされる「古事記」に登場する「堅魚(かたうお)」が原型だが、当時は干した程度。現在の製法は1600年代の土佐国(高知県)で始まったという。
 かつお節をいぶす作業「焙乾(ばいかん)」は、1回当たり半日近くかかる。これを10回以上行い、最終的に水分含有量を10~20%程度まで減らすと完成する。表面だけが固くならないよう、焙乾の間に休ませながら行うという。同協会事務局の船木良浩さん(50)は「より保存性を高めるため、いぶすようになった」と話す。
 秋田名物で伝統的な漬物「いぶりがっこ(いぶり漬け)」。雪深い冬を越すため、漬物は欠かせない食材だった。生産業者などでつくる「秋田県いぶりがっこ振興協議会」によると、冬は日照時間が短いため、屋内で大根を干したところ、いろりの煙で自然といぶされてできたという。室町時代から作られていた、など諸説あるが、「実は、はっきりしていない」(同協議会)としている。
 薫製は1万年以上前からあったとされるが、起源は明らかになっていない。肉をつるしていたら、たき火の煙にいぶされてできた偶然の産物という説もある。欧州では、塩に加えコショウなど香辛料が食文化に取り入れられたことで、塩漬け肉をベーコンやソーセージに加工でき、大航海時代に重宝され、現代にも受け継がれている。
 いぶす煙の中の成分が保存性をもたらす、とされている。「確かに煙には抗菌性のあるポリフェノールなどが含まれている。ただ、それだけで保存性が高まるわけではない」。そう話すのは札幌保健医療大の荒川義人教授(食品科学)。重要なのは「塩分と乾燥の工程」だと説明する。
 また、乾燥により食材の水分が減ると、栄養成分が凝縮される。このため生魚などに含まれるビタミンDなどの栄養素を効率よく摂取できるという。
 荒川教授は「乾燥による高い保存性が薫製の特徴だが、保存技術が進んだ現代では、煙による風味の方が重要になっているのでは」と味わい方の変化も注目している。(田口友博、末角仁)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/497920

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ブラジル軍が先住民支援 民間療法が障害に アマゾン同行取材・新型コロナ

2021-01-05 | 先住民族関連
時事通信 1/4(月) 7:07配信
 新型コロナウイルスの累計感染者数が世界で3番目に多く、新規感染者が今も1日5万人規模の南米ブラジル。
 欧州などから持ち込まれる感染症に免疫を持たず、壊滅的打撃を受けてきた歴史がある先住民への対策は急務だ。政府はその居住地への支援を活発化。ペルー、コロンビアと三角国境を成すアマゾン最深部アマゾナス州タバチンガ一帯で昨年12月、国防省と保健省が共同実施した作戦に記者が同行した。
 ◇「最良の医療」
 日本の本州ほどの面積の熱帯雨林に、チクナ族など先住民約7万人が暮らすアマゾン川上流のアウトソリモンエス地区。軍は12月7~14日に医療専門家27人と医療物資3トンを投入し、4集落で約1700人を診察した。
 集落カンポアレグリでは、先住民が軍用ヘリコプター2機で降り立った一行に歓迎の舞を披露。臨時診療所の学校に長蛇の列をつくった。軍医らは新型コロナだけでなく、他の病気やけがの治療、健康相談、犬の予防接種まで広範な医療サービスを提供。集落ではこれまで39人が感染して2人が死亡しており、族長ルシアナ・マルケスさん(40)は「われわれを気に掛けて助けてくれるパートナーがいるのは心強い」と目を細めた。
 152人が感染して1人が死亡したという集落ウマリアスIIも状況は同じだ。拠点となった先住民保健当局の診療所は人で鈴なり。軍医らは足の弱い高齢者の往診にも走った。学生ワルテル・ダシウバさん(23)は「たくさんのお年寄りや子供がいるが、ここに来さえすれば最良の医療が受けられる。これまでは忘れられた土地だった」と感謝を口にした。
 ◇根強い薬草信仰
 ただ、買い出しなどで街に出た人を通じてウイルスが流入した当初、恐怖でパニックに陥る先住民を落ち着かせたのは、政府が提供した医療物資でも医師でもなかった。
 「皆、薬草で治ると信じて病院に行こうとしなかった。ジャンブー(キバナオランダセンニチ)の根やニンニクなどを煎じたりするのが効くと信じており、来院を説得するのが大変だった」。ウマリアスIIの保健当局職員はこう振り返る。族長ウエグナさん(52)の号令で「新型コロナに効く」とされた薬草が路上でたかれ、集落は毎夕白煙に包まれたという。
 自身も感染したウエグナさんは、医師派遣を高く評価しながらも「私はジャンブーやチコリの葉のお茶で治った。自家製薬のおかげで村の死者は最小限に収まった」と主張。カンポアレグリの族長マルケスさんも「病院が処方する薬ではなく、自家製薬で皆が助かった」と繰り返した。
 薬草の効果は証明されていないが、軍医ジョマル・デソウザ中尉(37)は「正面切って衝突しない方がいい。薬草茶を飲むのもいいが、悪化すれば医学を試すのも価値があると説得すべきだ」と話す。先住民の民間療法への「信仰」は根強く、間もなく優先的に開始予定のワクチン接種の障害となる可能性もありそうだ。 
https://news.yahoo.co.jp/articles/df8afcd6fe291462a857a8cefab964da24066a4d

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【大学生が挑戦!】コロナによる食糧不足に苦しむフィリピンの先住民族を支援するためのクラウドファンディングを実施。「GoodMorning」にて公開中!

2021-01-05 | 先住民族関連
HADFAFI JAPAN 2021年1月4日 16時
フィリピンのアエタ族等に支援をしてきた、HADFAFI JAPANは「GoodMorning」にて2020年12月28日よりクラウドファンディングを開始しました。プロジェクトのURL;https://camp-fire.jp/projects/view/358351
■アエタ族について
アエタ族はフィリピンのルソン島の山奥に住む先住民族で、フィリピンで最も古い民族と言われています。彼らは、基本的には畑を耕したり家畜を育てたりして暮らしていました。しかし、過去に起きた火山の噴火の影響でアエタ族が住む地域の土壌が悪くなった事情があり、食糧を手に入れることが難しい状況にあります。
■HADFAFI JAPANについて
HADFAFI JAPANは、中京大学楠美ゼミの学生が中心に活動しているフィリピンのアエタ族等の一部地域へ支援を行うNPOです。当団体は、アエタ族の村などへ例年スタディーツアーを行い、アエタ族と交流をしてきました。その過程で彼らの村へ井戸の建設や竹の植林等の支援をしてきました。
■プロジェクトの経緯
プロジェクトを始めるきっかけは、フィリピンから送られてきた1通のメールです。そのメールで私たちは、アエタ族がコロナにより食糧不足で今まで以上に苦しんでいることを知りました。これまで交流してきたアエタ族が私たち以上に苦しんでいること知り、彼らを助けるために、何かできることがないかを考えました。そこで、私たちは、彼らに食べ物を送るためのクラウドファンディングを行うことにしました。
■プロジェクト概要
プロジェクト名:『コロナで苦しむアエタ族に食べ物を届けたい!』
目標金額:70万円
期間: 2020年12月28日(月)12時~2021年1月30日(日)
プロジェクトのURL:https://camp-fire.jp/projects/view/358351
■本件に関する問い合わせ先
団体名:HADFAFI JAPAN
担当者名:加藤 千典
E-Mail:hadfafijapan777@gmail.com
■団体情報
団体名:HADFAFI JAPAN
Webページ:https://hadfafijp.amebaownd.com 
Instagram:https://www.instagram.com/hadfafijapan/
Twitter:https://twitter.com/hadfafijapan
https://www.value-press.com/pressrelease/261558

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サッカー大国ウルグアイ、バレエ男子増加へカヴァーニが一役

2021-01-05 | 先住民族関連
AFPBB News 2021/01/03 11:24
【AFP=時事】サッカーウルグアイ代表のFWエディンソン・カヴァーニが、母国における少年のクラシックバレエ人気を高め、人々の固定観念を打ち砕く手助けをすべく、サッカーのスパイクをバレエシューズに履き替えた。
 イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドに所属する33歳のカヴァーニは、フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマンから移籍する直前の昨夏、母国の首都モンテビデオにあるウルグアイ国立バレエ団のスクールでタイツをはき、サッカーが熱狂的な人気を誇る母国の少年たちがバレエを習い始めるきっかけづくりに一役買った。
「すべての少年がサッカーだけをすべきだという共通認識は持っていない」というカヴァーニは、「女の子も男の子も、自分が一番夢中になれることで喜びを見いだすべきだ。しっかりとした組織の中で日々成長し、よく鍛錬するにはそれが一番のやり方だ」と語る。
 カヴァーニは国立の芸術養成学校「ENFA」から招待を受け、国立バレエスクールの少年の生徒数を増やす取り組みに参加。国立バレエ団「ソドレ」に所属するプロのバレエダンサーから指導を受けながら、「ピルエット」や「グリッサード」を試した。
 子どもたちに向けたメッセージ動画では「信じられないような経験だった。ダンサーたちはバレエステップのやり方を説明してくれたよ。彼らを見たとき心からすごいと感じた! ダンスは本当に素晴らしい」と語った。
 カヴァーニがバレエと出会ったのは、文化マネジメントの学位を持つパートナーの存在がきっかけだったといい、「僕の人生のパートナーがダンスに情熱を注いでいるんだ。それでパリにいるときにバレエを見に行って、とても素晴らしい時間を過ごせたし本当に楽しかった」と明かした。
■性別の偏り
 南米の小国ウルグアイはこれまでW杯で2度優勝するなど、サッカー界で常に実力以上の能力を示してきた。その大きな要因は、同国最後の先住民族であるチャルーア民族の文化をルーツとする「ガラ・チャルーア(チャルーアの魂)」と呼ばれる闘志や、カヴァーニのような洗練されたスキルを持つ選手たちの存在だ。
 しかし、カヴァーニの今回のメッセージは、ウルグアイの少年たちに対し、自分たちの優雅な側面を大事にすることを恐れるべきではないと訴えている。
 ENFAではバレエをはじめコンテンポラリーダンス、タンゴ、民間伝承、叙情芸術のクラスがあるが、生徒440人のうち男子の数は4分の1を切る。特にダンスのクラスでは割合が劇的に低下し、女子の148人に対して男子は12人となっている。
 ENFAで幹部を務めているナタリア・ソブレラさんは、「タンゴでさえも性別の偏りは縮まっていない。近年もそれは変わっていない」と話した。男子は入学してもその多くが家族からのサポートが足りず、早々にドロップアウトしてしまうという。
「同年代の仲間からのプレッシャーもある。リュックサックの中にバレエシューズを隠している少年たちが大勢いて、父親が来るのが嫌で習っていることを黙っている子もいる」
 だからこそ、カヴァーニを前面に押し出した今回のキャンペーンは、少年たちに加え、それと同じくらい家族をターゲットにしている。
 大人になるとダンスやジェンダーに対する先入観を拭い去るのは難しいとソブレラさんは言う。だが、偏見を持たない少年にとっては「サッカーと同じ、動く習慣を身につける体を使った経験の一つ」であり、「ダンスをすることと男らしさは別問題だ」と訴えている。 【翻訳編集】https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/sports/afpbb-3312199.html

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「現代アイヌの肖像」池田宏写真展が開催!

2021-01-05 | アイヌ民族関連
ORICON STYLE 2021-01-02 18:00

2020年12月18日から東京都人権プラザで「現代アイヌの肖像 池田宏写真展」が始まりました。写真家の池田宏さんは、2008年からアイヌ民族をテーマに作品を撮り続けています。2019年に発表した写真集『AINU』が話題となりました。現代を生きるアイヌの人たちの姿を真摯に捉えています。昨年BE-PAL本誌に掲載した池田さんのインタビューをお届けします。
アイヌ民族について北海道を中心に樺太、千島列島などに住んでいる民族。信仰は自然界のすべてを神とするアニミズムで、独自の文化芸術、言語、口頭伝承を持つ。狩猟採集+原始的農耕の生活を長く守ってきたが、中世以降は船による交易なども行なった。江戸時代から本土政権の強い干渉を受け、明治に入ると同化政策がとられた。差別的な扱いの歴史は今も続くが、’97年に旧土人保護法が廃止されアイヌ文化振興法が制定された。ただし先住権を認める文言がなく、’19年にはじめてアイヌを先住民族と明記する新法が閣議決定された。現代はアイヌにルーツを持つ人たちが全国各地に暮らしている。
表紙の写真は、きれいに整えられていながらも眉やヒゲの濃さがはっきりわかる若い男性の顔半分。ページをめくると、彫りが深く目ヂカラの強い老若男女が次々に登場する。『AINU』(リトル・モア刊)は、現代を生きるアイヌの日常を切り取った写真集だ。著者の池田宏さん(38歳)は、大学在学中からバックパッカーとして放浪旅を続け、その後写真の世界へ入った。「沢木耕太郎の影響です。自分の知らないものを見てみようと世界中を旅したんですよ。あるとき、日本にも自分のまだ知らない場所があるなと気づいた。すごく単純な理由でカメラを持ち、青春18きっぷで行ったのが北海道の二風谷でした」平取町にある二風谷は、アイヌ文化の普及啓発を観光と連動させることに成功した集落だ。「伝統織りを実演していた女性がいて。気さくな方だったので、好奇心でこう尋ねたんです。今も純粋なアイヌっているんですかね、と。そしたら急に顔色が変わり、こういわれたんです。じゃあ純粋な日本人ってなんですか、と。その剣幕にショックを受けました。そして気づきました。僕は九州出身で薄い顔立ちですが、遺伝的に何者なのかなんて自分でもわかりません。すごく失礼なことを無意識でいってしまった。こういう無知や想像力のなさが根底で差別に結びついていることに気づき、とても苦い思いをしました」道内の温泉やスナックへ行くと、なにをしに来たのかとよく聞かれた。アイヌの写真を撮りに来たというと、瞬間的に場の空気が冷めていく経験をした。二風谷で純粋な日本人とはなにかと切り返されたとき、その空気感の意味がわかった。北海道には日常会話の中でアイヌに触れることが憚られるムードがある。このモヤモヤした感じは和人、つまり本州から入ってきた人たちの子孫の間にも、先住民であるアイヌの末裔たちの側にもある。池田さんはいう。「簡単に写真など撮れない。それがわかって、とにかく理解することから始めました。東京にいるアイヌの人が里帰りするときに一緒についていったりしながら、人とのつながりをたどって通い始めました」最初はアイヌ文化の継承活動をしている人たちを訪ねていた。取材には比較的慣れている。だが、そうした人たちに会うだけではアイヌのことがわかったことにはならないと感じるように。
撮らせてくれるのは皆アイヌであることをカミングアウトしている人たちだが、自分がアイヌであることへの思いは人それぞれであることも見えてきた。そして、民族衣装も着ず儀式にも参加しない、現代日本の生活者として普通に暮らすアイヌのほうが多数派であることも。「自分はカメラマンで、あなたを撮りたいというんですよ。でも、しばらくは撮りません。一緒に飲みに行ったり冗談を言い合えるような関係が築けたとき、タイミングを見てお願いしてみる。友達になって、その人の個性、生い立ち、仕事、趣味、悩みまで理解して許しをもらったとき、最初の1シャッターに集中します。なので、写真集に漕ぎつけるまでに11年もかかってしまいました」
印象的な写真がある。上半身が裸の若い男性だ。濃い胸毛が印象的だが、体毛にフォーカスした写真は近年の社会的忖度のなかではタブーに近い。「彼は大の仲よしなんです。あるとき彼がふざけて、ヒロシ、俺の胸にはフェニックスがいるんだわ、といって見せてくれたんです。その堂々とした姿がかっこよくて撮らせてもらった1枚。彼の胸毛、不死鳥みたいな形で自慢なんですよ。最近は崩れてフクロウっぽくなってきたって笑うんですが」
厩務員。農家。漁師。ハンター。木彫家。ミュージシャン。指に伝統のシヌイェ(イレズミ)を入れている女性…。花見。結婚式。卒業式。成人式。葬送…。カラオケでのデュエット姿もあれば、厳かなカムイノミ(神への祈り)の儀式もある。すべて現代アイヌの肖像だ。「僕はアイヌを通じて、人間社会はそもそも個の集まりなんだということを教えられました。最近は多様性社会といった言葉がいわれるようになってきました。心を傷つけられてきた側からすれば、今ごろなんだという思いもあるはず。相互理解の基準は、あくまでアイヌの人々の側にあるべきだと思います」
アイヌといえば漫画の『ゴールデンカムイ』が人気。若いアイヌの間にもファンが多いという。アイヌ新法が制定され、2020年には国立のアイヌ民族博物館も誕生する。池田さんは、自分の写真集がアイヌの今を理解するチャンネルのひとつに加わればうれしいと語る。
池田宏プロフィール写真家。1981年佐賀県小城市生まれ。大阪外国語大学外国語学部スワヒリ語科卒。スタジオ勤務を経て2009年よりフリーランス。
現代アイヌの肖像 池田宏写真展新たに撮り下ろされた写真とインタビューで構成された写真展。写真に添えられたひとつひとつのインタビューは短いものだが、印象深い言葉の数々が綴られている。ぜひ、足を運んで欲しい!
2020年12月18日(金)~2021年3月30日(火)会場/東京都人権プラザ1階企画展示室(東京都港区芝256 スクエアビル)時間/9時30分~17時30分休館日/日曜日、年末年始(2020年12月24日(木)から2021年1月11日(月・祝)まで(予定))入場無料
※構成/鹿熊 勤 ※インタビュー記事はBE-PAL2019年5月号より転載。記事内容の情報は2019年5月時点のものです。
https://www.oricon.co.jp/article/1379627/

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届け! 癒やしの歌声、オンラインで配信 女性唄者ユニット「あゆたーり」

2021-01-05 | アイヌ民族関連
南海日日新聞 1/3(日) 13:03配信
「あ」は奄美の「あ」、「ゆたーり」は方言で「4人」の意味。2020年、女性唄者のユニット「あゆたーり」が活動を開始した。メンバーは牧岡奈美さん、里歩寿さん、森田美咲さん、平田まりなさん。いずれも奄美民謡大賞を受賞した実力派だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響から活動が制限される中でのデビューとなったが、20年内にシングル2曲を発表し、音楽配信サービスで販売を開始した。コロナ禍の中で癒やしの歌声を届ける歌姫4人と総合プロデューサーの迫浩文さんに、結成の経緯や今後の展望を聞いた。    
 ―ソロが基本の唄者でユニットを結成した経緯は?
 迫 「18年に企画したCDブックの『アイヌと奄美』で朝崎郁恵さんを筆頭に多くの唄者と会うことができたのがきっかけ。同作品は全集のような形になり、資料として評価はいただけたが、唄者たちの魅力を伝えるためにはもっとポップな形が良いと考えた。唄者がハーモニーを奏でたらどうなるだろう、民謡のグループも珍しい、これは面白そうだ、ということで初めに牧岡さんに構想を伝えました」
 牧岡 「最初に話を聞いた時は楽しい企画だなと感じたものの、ほかの3人の年齢が若いのと、お腹に子どもがいる時期でもあったので『私が入っていいの?』と思った。でも、迫さんが『構いません』と言ってくれたので、それなら喜んでと話に乗りました」
 ―完成したシングル「煌(きらめ)く」の手応えは?
 里 「それぞれのシマへの思いを描いた曲になった。曲を聴いた友人から『島に帰りたくなった』と感想が届いたのはうれしかった」
 迫 「曲を作っていた当初はコロナの影響はなかったが、その後に感染が広がった。メンバーそれぞれの故郷への思いが込められた歌詞が、故郷に帰りたくても帰れない人たちの心情にうまくマッチしたと感じている」
―レコーディングにコロナの影響は?
 平田 「私は奄美に帰って来ていたから自分のパートの歌声をデータで送るなどしました」
 牧岡 「リモートミーティングなんて普段やらないこと。(実際に)会えてはないけど、会話はできているという奇妙な感覚だった」
 平田 「ずっとリモートだったからセカンドシングルの収録時に再会できたときはうれしかった」
 ―セカンドシングルについて。
 里 「苦手な英語の歌と聞いて『やめてください』と思った。発音指導も受けたけど発音を意識しながら音程を合わせるのは大変。仕上がりは、聴いてくださった皆さんに判断してもらうしか…」
 平田 「民謡という点ではやりやすかった部分もあった。尺八が入って雄大な感じになった」
 迫 「世界中の人が知っている名曲だからそのまま演奏しても意味がない。奄美のこの4人ならではの形になったと思う」
 ―新年の抱負を。
 迫 「個々に収録したので、4人が同時に歌った音はまだ関係者すら聴いていない。ライブで披露できる日が楽しみ。コロナが収束して動けるようになったらそれぞれの古里を巡る凱旋(がいせん)ツアーをしたい」
 森田 「昨年はまったく歌えない1年だった。子どもを育てながら今年は活動を再開したい」
 牧岡 「私も(森田)美咲ちゃんと同じ。あゆたーりのみんなと一緒に歌える日が早く来てほしい」
 迫 「デビューして1年たたずの内にメンバーの半数が子どもを産んでいる。こんなおめでたいグループはめったにない。そのうち8人グループになりそう」
 平田 「あゆたーり全員、奄美の人に応援してもらって島唄を歌い続けてきたメンバー。春には新曲を発表する予定なので4人そろって古里で歌える日を待ち望んで頑張ります」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d865df93b2d9c93572bf76afef04a348f1c5ae9a

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第101回 『ホワイト・バッファロー』

2021-01-05 | 先住民族関連
ブックスタンド 1/4(月) 13:13配信
『ホワイト・バッファロー』
1977年・アメリカ・97分
監督/J・リー・トンプソン
脚本/リチャード・セール
出演/チャールズ・ブロンソン、ウィル・サンプソン、ジャック・ウォーデン、キム・ノヴァクほか
原題『THE WHITE BUFFALO』
 あけましておめでとうございます! 今年も年始恒例の干支にちなんだ生物パニック映画からスタートしていきましょう。
 牛の暴れる映画と言えば、国際的大スターのチャールズ・ブロンソンが主役のハリウッド大作『ホワイト・バッファロー』。筆者が子供の頃、化粧品のテレビCMで「う~ん、マンダム」と顎を撫でるブロンソンの真似(演出・大林宣彦)が学校で流行った。CMを知らない世代には、『北斗の拳』の原作者・武論尊のペンネーム由来と説明しておこう。
 物語は、西部開拓時代に実在した人物が夢の共演を果たし、人間の乱獲で絶滅に瀕したバッファロー(正式名称アメリカバイソン)の怨念が怪物化したような白い野牛が大暴れする、空前絶後の巨大生物パニック・ウエスタンだ。
 1874年9月、ゴールドラッシュに沸くコロラド州の金鉱の町に、かつて先住民撲滅とバッファロー狩りで勇名を轟かせたワイルド・ビル・ヒコック(チャールズ・ブロンソン)が戻ってくる。ワイルド・ビル・ヒコックとは、若干二十歳でネブラスカ州の保安官を務め、数々の無法者を二丁拳銃の早撃ちで葬った西部史に残るレジェンド級のガンマンだ。
 この土地で様々な敵を作り、姿をくらませていたヒコックが危険を冒してまで戻ってきた理由は、夜な夜な悪夢に出る噂の白い野牛(いわゆるアルビノ)を仕留めるためだった。無敵のヒコックは「恐怖」という感情を抱く自分が許せなかったのだ。
 時を同じくして、勇猛果敢で知られるスー族の集落が体高3メートル、体重1500キロの巨大なホワイト・バッファローに襲われ多数の死者が出る。クレイジー・ホース(ウィル・サンプソン)は生まれて間もない娘を殺され、取り乱して泣き喚く。族長は「女のように泣くオマエに勇者を名乗る資格はない」と、一番の勇者に与えられる「クレイジー・ホース」の称号を彼から取り上げ、「ワーム(イモムシ)」という屈辱的な蔑称に格下げする。ホワイト・バッファローを討ち果たして初めて娘は昇天し、名前も帰ってくると族長から諭されたクレイジー・ホースは、復讐の雄叫びを上げ出陣する。
 クレイジー・ホースもまた実在したネイティブ・アメリカンの英雄で、1876年にカスター将軍率いる第七騎兵隊を全滅させたリトルビッグホーンの戦いが有名だ。扮したのは名作『カッコーの巣の上で』(75年)で大ブレイクした、実際に先住民族出身のウィル・サンプソン。「クレイジー・ホースは彼じゃなければ俺は出ない」と、ブロンソン御指名によるキャスティングだった。
 ヒコックは再会した旧友チャーリー(名脇役ジャック・ウォーデン)を助っ人に、ホワイト・バッファローが目撃された雪山へ向かう。すると、一足先にクレイジー・ホースが「キャホッホッホ~!」と地元の部族と1対15で交戦中。出演している先住民たちは俳優ではなく、サンプソンのために喜んで出てくれた本物の方々。無謀と呆れるヒコックは「3対15だ」と加勢し、共闘して15人を全滅させる。
 互いに勇気を讃えて別れるが、今度はヒコックたちが町の無法者に襲撃され大ピンチ。ここで毛皮を被って狼に擬態していたクレイジー・ホースが奇襲! あっという間に弓矢で一味を全滅させる。律義なネイティブ・アメリカンの恩返しだ。ヒコックはクレイジー・ホースを「兄弟」と呼び、自分たちが寝泊まりする洞窟で暖と食糧を与える。彼を利用しようとしていたヒコックに、先住民の勇者を敬う気持ちが芽生える。ロケ地は標高4200メートルのコロラド山地。4メートルの積雪と薄い酸素で出演者たちはダウンし、全員が酸素吸入しながら過酷な撮影に臨んだという。
 やがて両雄は本音をぶつけ合う。ホワイト・バッファローが娘の仇で、土地を奪う白人と死ぬまで戦う意志を見せるクレイジー・ホースに、ヒコックは「お前を死なせたくない」と投降を促す。クレイジー・ホースが「なぜだ」と問い掛けると、ヒコックは「兄弟だから。友だからだ」(泣ける)。2人は両手をガシッと組む。
 夜が明けるとクレイジー・ホースはいなくなっている。慌てて後を追う2人は、やがて谷あいに開けた雪の回廊に出る。そこはヒコックが悪夢で見たホワイト・バッファローが現れる場所とそっくり同じだ。ヒコックは全集中し、辺りにピーンと緊張感が張り詰める。岩陰にいる狼はクレイジー・ホースだ。すると奥の森から「ギュオオ~ン!」とホワイト・バッファローが咆哮しながら突進してくる。回廊のど真ん中に仁王立ちして銃を構えるヒコック。だが、なんと引き金が凍結していて引けない! 万事休す! 決着のネタバレは避けておこう。
 超大物プロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスは、本作の他に『キングコング』(76年)、『オルカ』(77年)といった巨大生物モノを立て続けに製作した。パンフレットにある水野晴郎の解説文には、その2作品と比べて「特撮の評価はともかくとして、私はこの『ホワイト・バッファロー』が一番面白かった」と記されている。貶しているのか誉めているのか(笑)。CGがない当時、実物大のホワイト・バッファローが機械仕掛けで作られたのだが、猪突猛進するだけで水野先生の感じたように評判は芳しくなかった。しかし、それを補って余りあるのが、チャールズ・ブロンソンとウィル・サンプソンの古き良き「漢気」コラボなのだ。
 そして、今年は奇しくもチャールズ・ブロンソン生誕100年を迎える。戦いの壮絶な決着を知りたい読者の皆さん、ぜひ『ホワイト・バッファロー』を観て丑年とブロンソンをダブルで祝おう! ラストの、ヒコック、クレイジー・ホース、チャーリーによる三者三様の別れシーンも、70年代の男臭さに痺れること必至!
(文/天野ミチヒロ)
『ホワイト・バッファロー』VHSジャケット(筆者私物/廃番)
https://news.yahoo.co.jp/articles/673a2610f23189bb8d0add9fcac9f74558e25894

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