お父さんは昨日『エルヴィス』を観に、お母さんは今日『ベイビー・ブローカー』を観に行きましたとさw。
さて。
エルヴィスの映画という事以外全く何の予備知識もなく観に行ったら、いきなりマネージャーのトム・パーカー「大佐」のモノローグから始まって結構驚いた。
エルヴィスと言うと私が子どもの頃に亡くなった人。
晩年は懐メロばかり歌って、ドーナツの食べ過ぎで死んだとばかり思っていた(苦笑)。
彼の音楽的ルーツがアフリカン・ミュージックにあるとは知っていたけれど、まさかBBキングやリトル・リチャードや"ビッグママ"・ソーントンと言った顔ぶれがズラリ出てこようとは思わなかったなあ。
途中BBとエルヴィスが旧交を温める場面があったりして、目から鱗が何枚か落ちたような気がした。
この映画のテーマ(の一つ)は「断絶」だろう。
エルヴィスがデビューした'50年代の人種間の断絶。
そして除隊後の’60年代、カウンターカルチャーを理解できない、認めない古い世代と若者たちの断絶。
落ち目だったエルヴィスの人気に再び注目が集まるきっかけとなった'68年のクリスマス番組を巡る下りはこの映画のハイライトだが、その中にR.ケネディ上院議員の暗殺シーンが挟まれていたのには少なからずショックを受けた。
時正に安倍晋三元首相が凶弾に倒れたばかり。
'68年はキング牧師も暗殺された年。
50数年前のアメリカと2022年の日本。彼我の国の状況はそれほど変わっていないのではないか、と痛感させられた。
実は冒頭から嫌と言うほど顔を出し続けるパーカー大佐を演じている役者が誰か全くわからなかった。
もの凄くアクの強い、敏腕と言うより辣腕マネージャー。
エルヴィスの稼ぐカネは愛したものの、エルヴィスと彼の音楽は愛さず、そして時代の変化も理解も出来なかった老人。
エルヴィスの世界ツアーを阻止し、ラスヴェガスに縛り続けていたのは、なんと自らが不法入国者だった過去が明るみに出ることを隠すためだったとは...。
実はトイレに行きたくて、いつもなら最後まで観るエンドクレジットの途中で退席(>_<)。
パンフレットを開いて驚いた。
パーカー大佐を演じていたのは特殊メイクのトム・ハンクス(驚)!?
いやー、全く気が付かなかったわいw。
圧倒的なパフォーマンスで魅了してくれたエルヴィス役のオースティン・バトラーと、トム・ハンクスの二人は恐らくアカデミー賞にノミネートされるのではないかと予想する。
それぐらい素晴らしい演技だった。
決してエルヴィスと彼の音楽がメインの映画ではなく、寧ろエルヴィスとパーカー大佐はじめ、エルヴィス周辺の人物を描くことで彼の生きた'50-'70年代のアメリカを描くことが目的の作品だったように思う。
そして、それは十分実現できていたのではないかしら。
星4つ★★★★!
昨日というタイミングで観に行って本当によかった。
心からそう思う。
PS
エルヴィスの音源は何枚か持っているが、後期のものも聴いてみたくなった。
いずれ買いたい。