先日から曜変や玉虫色のテーマについて書いており、その流れで今日は「虹の石」です。
「虹の石」という鉱物名はありませんが、「虹の石」というラベルの石は存在します。堀秀道さんの「楽しい鉱物図鑑②」でも鱗鉄鉱のページで出て来ます。
Rio Tinto mine Huelva Spain産 針鉄鉱(虹の石) Goethite (Rainbow Stone)
この写真は虹色に見える「虹の石」です。鉱物的には針鉄鉱なのですが、表面は鱗鉄鉱ともいわれております。いずれも鉄の酸化物(天然の鉄サビ)です。虹色に見えるのは表面に薄い酸化膜が形成されて光の薄膜干渉に因る構造色だからです。
アメリカ ネバダ州 ゴールドフィールド 産 水赤鉄鉱(Turgite)
この標本も鉄の酸化被膜に因る「虹の石」です。ラベル原本にあったTurgiteはどうも鉱物名ではないようです。鉄の酸化物では他にもLimonite(褐鉄鉱)がありますが、どうも鉱物名ではなく通称のようです。鉄の酸化物の名前はややこしく、日本名では他には武石や升石、高師小僧等、鉄を含んだ鉱物の風化生成物は多種あり、それぞれの名前で呼ばれています。
中国産 七彩石
これは中国産の七彩石です。恐らく水晶の群晶が鉄の酸化物でコーティングされたものだろうと思います。これもやはり「虹の石」です。
石の中国名も独自のローカルルールで名乗られる事がある為、正式な鉱物名ではない事があります。中には天然石に見せかけた人工物が混じっている事もあるようです。
鉄の酸化物の種類は多く、「虹の石」は鉄の酸化物に因るものが多いようです。そのような中から、見た目にも「虹の石」と呼ぶべき石が存在しているのです。
「鉄は七変化」という言葉を聞いた事があります。鉄は七色に発色する「虹の石」をも生み出しているのです。