?銀化している古代ガラス
今日の話題はガラスの銀化現象です。
最初の写真はアフガニスタン人から購入したローマングラスです。
1000年以上土の中に埋まっていたガラスの欠片です。青と銀が混ざった玉虫色のような発色をしています。構造色といわれる発色です。
ガラスの銀化現象はソーダ石灰ガラスが地下に埋もれている間に脱アルカリ化され、その劣化による薄いガラス膜の多層膜干渉の結果、美しい玉虫色に見えるのです。
?古代ガラス(涙壺)
次の写真は涙壺と思われる古代ガラスです。
薄い銀化現象が起きています。ローマングラスは欠片のものが多いので、このような完全体は貴重です。
ガラスは古いものでも、古いならではの味があります。それは骨董的な渋みだけではなく、銀化現象という美しく煌めく変化も起こすのです。
?銀化した愛知トマトの瓶
最後の写真は愛知トマトの刻印があるトマトケチャップの瓶の底の写真です。
愛知トマトはカゴメの前身ですから、この瓶の銀化現象は数十年で起きたことになります。紫色に美しく変化した瓶は元の瓶の価値以上の付加価値を身に着けました。
銀化現象は普通のガラスを時間と偶然性で貴重なガラスに変身させる魔法だと思います。
オパールは時間の経過というよりも乾燥で変化します。銀化現象の詳細はよく分かっていないものの、化学変化と多層膜による光の干渉だと思われますので環境変化がない限り変化しないと思われます。
因みに光には干渉、散乱、屈折、回析、偏光、等様々な色付き現象があり、
我々の視覚と認識の世界を彩ってくれます。