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かぶれの世界(新)

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政変、勝ったのはメディア

2010-06-08 22:07:39 | 国際・政治

新内閣が今日正式に発足した。小鳩政権はもう持たないと予測したとたんの政変劇だった。週末に実施された世論調査は、内閣や党役員が決まる前なのに既に菅政権が60%前後という高い支持率を得たことが昨日報じられた。この民意の安易さにはいささか驚いた。

この政変では結局誰が勝ったのだろうか。単純に菅氏が勝ったとも言えないような気がする。ここで例によって真の勝者は誰か大胆に推測してみる。

何もしないうちからこんなに高い支持率を得たのは、菅氏が「小沢さんは静かにしていた方が良い」と言い、新政権の権力構造の方向性を明確にした為という。その方向性は鳩山前首相が退陣の理由として「普天間問題と政治と金」と名演説をぶった時から明確になっていた。とすれば、鳩山氏が「肉を斬らせて骨を斬り」、最後に勝ったともいえる。

名演説で言い残したように鳩山氏が問題を正確に認識しながら自ら「君子の豹変」が出来なかったのは、一国のリーダーとしては情けなかった。あらゆる階層での日本のリーダーに共通する問題だ。彼が追い詰められたのは参院選で惨敗する情勢判断が示されたからで、結局のところ報道を通じて迷走ぶりを知った国民の判断が退陣を強いたといえる。

沢氏の政治と金の問題が表面化し、普天間問題の迷走がこの数ヶ月は毎週末に世論調査が実施され、その度に支持率が急降下していった。テレビのニュース、特に朝昼間のニューバラエティ番組は、これをネタに面白おかしく伝えるのが恒例になっていた。何も無ければ、犯罪や芸能・風俗ネタしかやらない時間帯まで政治ネタが流れた。

この時間帯の大半のテレビ視聴者は家庭の主婦で、私のような引退後の老人が続くと思う。数ヶ月にわたり毎日のように手を変え品を変えて鳩山小沢叩きを見れば(しかも小鳩両氏は叩かれるネタを提供し続けた)、この世代層の支持率に影響が出ないはずがない。

鳩山内閣の支持率の低下が目立ったのは、数%の20代と10%余りの50-60代の女性達だったといわれている。詳細なデータはないが、支持率のV字回復は主に彼女達民主党支持者で、必ずしも無党派層が戻ってきたとは言い切れない。(実はそこに支持率回復の危うさもある。)

論は今回の政変の勝利者は彼女達の判断に多大な影響を与えたメディアというのが私の推測だ。メディアが立法・司法・行政の三権に継ぐ第四の権力といわれ、ベトナム戦争終結からニクソン大統領の退陣までの米国報道が果たした役割を、ハルバーシュタムは名著「メディアの権力」で生き生きと描いている。

それに比べると今回の日本メディアが果たした役割はどうだったのだろうか。相変わらず内向きの議論がばかりだった。だが、小鳩体制は出来るだけ早く退陣するのが我が国の為だと私は思っていたので、結論は正しい方向に働いたと思う。だが、メディアのアプローチとプロセスは稚拙だったというのが私の見方だ。今回は運が良かったと思う。

報道が基本スタンスとして時の政権を批判するのは正しいが、結果的に細部の揚げ足取りに終始し、視聴者や読者に本筋の議論をさせず政権の支持率調査をするのは、民意をミスリードする恐れがある。場合によっては民度を貶めることになる恐れがある。

どこかの番組で寿命が1年にも満たない政権が4代続いた一因にもなっていると、自己反省のような発言も聞かれたが、私にはアリバイ作りの発言で本気で見直す積りがあるようには感じなかった。自らが持っている力に気付いて謙虚に身を正そうと思ってくれたら、民度が上がり政治が良くなるように私は思うのだが。■

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微かな龍馬つながり

2010-06-06 23:41:22 | 日記・エッセイ・コラム

NHK大河ドラマのお陰で高知県を訪問した観光客数が2割増えた、と昨日のローカルニュースが伝えていた。私の実家のある大洲市でも龍馬ブームに乗っかり、龍馬の脱藩ルートの途中にあり、後にいろは丸を貸与したのが大洲藩だったと、急造の展示館で観光客増を狙っていた。

5月の連休中に家内とその展示館を訪問した時、長崎竜馬の会とか函館龍馬の会とかの方が来たと説明員のオジサンが教えてくれた。こんなところまで来るとは何と物好きと言うか、テレビの影響の大きさ、竜馬ブームを実感することになった。

こうなったらいささか強引かもしれないが、我等が先祖も微かに龍馬つながりがある。上記ドラマでは山内家子飼いの武士である上士と、長宗我部の家臣だった下士の対立が何度か描かれている。竜馬は下士の家に生まれたが、既に時代は変わりその当時は裕福な暮しをしていたらしい。

遡ると戦国時代が終わり山内一豊が土佐に入国した時、それまで四国の支配者だった長宗我部氏は滅亡、その家臣にとって厳しい選択が待っていた。多くは虐殺され、残った旧臣は坂本家のように山内家に差別(下士扱い)されて仕えるか、それを嫌った者は他国に逃げた。我が家の先祖は伊予大洲に逃げ土着して百姓になったという記録が残っている。つまり、龍馬と我が家の祖先は同じ主君に仕えた時期があったという訳だ。たったそれだけのつながりだが。

今日の午後お寺の住職に挨拶に行き、今月中頃に帰京する旨報告した。母が老人ホームに入り、私も盆暮れなど行事の多い時期は不在だが宜しくとお願いした。一通り話が終った後、和尚から郷土の偉人「池田貫兵衛」の話を伺った。というのは、彼は歴史を辿るとこの地に逃れて来た我が家の祖先と同じくし、明治時代のある頃まで実家の隣に住んでいたからだ。

この偉人(成功者というのが正しいだろう)のお陰で、私の実家の先祖の記録が多少なりとも散逸せず残っているのではないかと思う。内容は分からないが曽祖父との通信も残っている。家系図によると私から19代遡ると長宗我部家臣で落ち武者の名前が出てくる。一族がこの地で先住民に遠慮しながら細々と生きていくのは大変だったのではないかと推測される。

お寺には、この落ち武者の直系は12代目で血が絶えたのを惜しんで、私の曽祖父の時代に墓標を建てたと記録が残っている。貫兵衛も私の実家も傍系だったということだ。和尚の話を聞くと、子供がいなくて傍系から養子を取り、家を存続させた例が結構頻繁に出てくるのには驚く。貫兵衛もそうだが、私の曽祖父も所謂入り婿入り嫁だったと母から聞いたことがある。

実家の直ぐ近くに続く田畑は低地で雨に弱く一級の稲作地とはいえなかったが、よそ者にはその土地しか残っていなかったのだろうという。和尚によると、この土着したよそ者がその後数代を経て庄屋になったのは、生き残る為に団結して頑張ったのではないかという。竜馬の先祖から分かれて250年後の幕末に、この地の大洲藩が龍馬とかかわった歴史を聞くと興味深い。■

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介護録10春(4)

2010-06-05 22:33:58 | 健康・病気

4月末に転居した老人ホームでの生活は、予想より早く母は馴染んでいるようだ。施設の担当によれば母はゲームなどの活動に参加し、施設内のコンサートにも顔を出して楽しんだようだ。だが、私が訪問した時は殆ど表情が変わらず会話も無く、認知症が進んだように感じる。治療モードから介護モードに変わり、私の関心が移ったせいもあるかもしれない。

転居時には妹夫婦が顔を出してくれ、その後家内が入れ替わりに田舎に来てくれて何とか話題もあった。しかしその後の1ヶ月は面会に来るのは私だけになった。母の反応が少なく私が一方的に話すことが多くなった。実家の庭や畑の様子、近所の話題などをしても殆ど反応が無い。そのうち早く返れというそぶりを見せる。嫌われているようで気が重くなった。

母がゲームやコンサートに参加し楽しんでいた様子、新規に購入した車椅子の調整を業者にやってもらい母が礼を言った時等は、母の表情がよく出ていたという。何にでも無反応になった訳ではない。それが希望だ。私は方針を変えて母が楽しいと思いそうな事だけ話して見ようと思う。

その前後に施設の介護など夫々の担当の人達に普段の母の様子を聞き、血糖値の推移や時折出てくる熱や不整脈等の報告を聞いた。私がこの数年間見てきた母の状況の範囲だった。だが、現状のシステムでは直前の病院の主治医からの申し送りはあるが、それ以前の病院でどういう症状や診断・治療があったかは分からない。

仕方なく私の記憶で、昨年入院した時の不整脈や誤嚥による肺の炎症などを伝えた。今政府が検討している社会・医療保険や国税番号化とカルテのIT化が早期に実現されれば、全国どこの医者でも患者のカルテを見て治療暦が分かはずと言ったが、担当氏は先の話で今すぐにどうのこうのということでも無く、しょうがないという顔だった。

老人ホームに転居して圧倒的に良くなったと感じるのは、情報交換をメールでやれるようになり母の様子などがタイムリーに分かるようになったことである。ちょっと熱が上がった、低血糖になった、医者が診たかどうか等が次々とメール連絡が来る。私にとってはとても助かる、というか何が起こっているかわからない不安が減った気がする。

と言うことで、3ヶ月間の田舎暮しを切り上げることにした。母が自宅介護していた時の不安感はなくなり、認知症の進行が私の大きな関心になって来た。私に何が出来るかアイデアが浮かばない。介護プランの1ヶ月経過後見直しについてケアマネージャの説明を聞き、母の様子が急変しない限り10日後に東京に戻る積りだ。■

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周回遅れの読書録10春

2010-06-04 23:11:35 | 本と雑誌

今まで余り読みたいと思わなかった内橋克人・佐高信氏に代表される人達の本を読んでみた。この人達の本も読むというアリバイ作りのためではない。私から見るとひねくれた見方を何故するのか、日本も世界も苦境の時に彼等の指摘がポイントをついているか、読んでみたくなった。

概して言うなら、部分的な不具合の指摘は事実に基づいているように感じるが、そこから全てを米国や市場主義を悪者にする論理が、私には底が浅いように感じて共感をもてなかった。その中で、「階級社会」(橋元健二)のデータに基づく分析、例えば「独身女性の貧困化」等、は現代社会の問題に右も左も無いロジックを展開して新たな視点を与えてくれる書として私は推薦したい。

今回読んだもう一つのジャンルが投資関連の2冊で、共に1900年からの米国経済と株価変遷などの豊富なデータを分析して投資のあり方を解説したもの。証券会社が勧めるままに投資しても儲かるとは限らない、考えるべきは今の相場が4/8年サイクルのどこにあるか、長期上昇か長期下降か、株が安い時に買え、ポートフォリオの見直しは1-2年に一度はやれ、等々。初心者には難しいかもしれないが、多少でも経験のある個人投資家には参考になる。

私は特に「バブル再来」(HSデントJr)の一読をお勧めしたい。その理由は人口動態と景気サイクルの中でバブルは必ずあるものと位置づけ、それをクールに状況判断して投資せよと説く新鮮さだけではない。その考え方が仕事上のビジネスプランや人生設計などに広く適用できる部分があると感じたからである。

1.5)IT産業崩壊の危機 田中克己 2007 日経BP 日本のIT産業がハード事業の収益性が低下する中、競争力のあるソフト商品を開発できず、結果として国内に閉じたシステム構築とサービス事業に向うが、ユーザのインド等へのアウトソーシングによるコスト圧縮の攻勢を受け伸び悩んでいる状況を報じたもの。網羅的になり平板な内容で踏み込み不足。

2.0+)デフレは終らない 上野泰也 2008 東洋経済 景気と雇用・賃金、構造デフレ、長期金利と通貨、日銀の独立性などについて私のような素人にも分かり易く解説したもの。リーマンショックの前に書かれたものだが、世界同時不況で激変した今読んでも違和感がない。

2.0)悪夢のサイクル 内橋克人 2006 文藝春秋 悪夢のサイクルとは資本自由化・規制緩和→海外マネー流入→バブル発生→海外マネー流出→バブル崩壊→財政出動→ハイパーインフレ→財政引締め→不況の循環であり、南米等の例を挙げて‘市場原理主義’を非人間的と説いた書。的を射た指摘もあるが、米国悪者で思考停止する後ろ向きで後付評論家の姿勢が気になる。

1.5)小泉純一郎と竹中平蔵の罪 佐高信 2009 毎日新聞 著名人を延々と酷評(賛辞もある)したものだが、その基準が論理的でなく好き嫌いで判断されている印象がある。時折品の無い表現が毒草の入ったごった煮のようで後味の悪い読後感が残る。著者流に評すると、ぶった切りする著者の刀が粗製濫造の「昭和新刀」並で、切れ味の爽快さは求めようも無い。

2.5+)階級社会 橋元健二 2006 講談社 日本の経済格差が拡大を続け戦前の水準に近づいていると説く。4つの階級(資本家・専門家・零細企業家・労働者)に分類して分析、貧困の女性化、特に独身女性に貧困が集中と結論付けている。私が読んだこの種の著作の中でベストだと思うが、マルクスの引用など専門家の使う語彙・妥当性は理解できない。最後の対応策が突如「労働時間の短縮」と説くが、消化不足でやや尻切れトンボの感がある。多分、格差拡大の背景として技術革新とグローバリゼーションを著者が積極的に議論しない為に踏み込めないと推測する。

2.0+)ワーキングプア NHK取材班 2007 ポプラ社 目一杯真面目に働いても貧困から抜け出せない収入面で最下層の人達の暮らしぶりを記録したもの。読んでいて辛くなる。マクロでの把握と原因追求は、本書の目的ではないにしても、きちんとした考察が無いのは物足りない。これが事実を伝えるだけという報道スタンスの限界か。

1.5)希望のニート 二神能基 2005 東洋経済 引きこもりや不登校の若者を支援する著者の経験から、ニートを3タイプに分けて対応を説いたもの。政治・社会とか格差を数字で議論するより、生の若者の心理状態を理解することから始めるミクロのアプローチ。両方必要だと思うが。

2.0+)埋没する国家 田中直毅 2008 講談社 小泉改革後三代続いた自民党政権が改革後退の道を歩む時に、このままでは日本売りが進み埋没すると警告し、政権交代の可能性を暗示している。冒頭に紹介された日本売りをする個人投資家ワタナベさんと私が重なり何故か哀しい。

2.0)あきらめの壁をぶち破った人々 中尾英司 2003 日本経済新聞 製薬会社のIT導入プロセスを、類型化された当事者達の心の動きを描写しながら進展を追うというNF風の小説。帯書きには実用企業小説と銘打ったビジネス書とのこと。土地勘があれば娯楽品として悪くない。

2.0)何故福知山線脱線事故は起こったのか 川島令三 2005 草思社 鉄道マニアから専門家になった著者が、福知山線事故は線路に速度検出装置が取り付けてなかったのが原因で起こったと説いたもの。今日その経営判断が裁かれることになっている。事故当時のメディアの扇情的で不正確な報道を正す目的が果たされている。専門用語が頻繁に出てきて読み難い。

2.5-)バブル再来 HSデントJr 2006 ダイヤモンド社 株価は人口動態と革新技術のライフサイクル(80年)をベースとして、4年サイクルと10年サイクルの組み合わせで予測可能と説く。バブルは必ず起こるという前提で、必ずしも悪と捉えず時機にあった投資判断を勧める。だがその時機の切り替わりをどう見定めるか曖昧で必ずしも実用的とは思わないが、物事の見方・考え方としてとても参考になる。

2.0)バイ・アンド・ホールド時代の終焉 Eイースタリング 2006 パンローリング社 長く保持すれば株は儲かる(バイ・アンド・ホールド)というのは長期上昇相場で有効だが、長期下降相場では絶対リターンを求める手法をとれと説く。現状は下降相場であり、証券会社の言いなりに投資せず頭を使えと。上記の著書「バブル再来」が説く相場変動のメカニズムには触れず、むしろ投資のテクニカルな点に注力した内容。

春は読書の最適のシーズンの積りだったが、3ヶ月経ってみていつもより読書量が少ないのに少々がっかりした。それを全て通風のせいにするのは言い逃れみたいな気がする。その他に思いつくのは、読んで楽しい本が少なかったからかもしれない。古本だけで読書録を書くのはそれなりの難しさがあるともう一度言い訳を最後に、次回もっと内容を充実させたい。■

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出色の演説

2010-06-02 19:14:01 | 国際・政治

鳩山首相が退任を告げる演説は、最近聞いたことの無い出来の良い内容だった。朝食後、居間で新聞を読み大リーグ中継を見ていた時、緊急ニュースを告げるテロップが表示された。早速チャンネルを切り替えて暫くすると民主党の両院総会で首相の演説が始まった。

いつも目がキョロキョロして長く見てられない鳩山氏だが、今朝の原稿ナシのスピーチは筋の通った内容で、無念の心情が伝わってきて、最後まで目を話せなかった。私は最近記憶に無いほどの出色の演説だったと感じた。それが最後の辞任演説とは、情けない。我が国はよくよく運の無い国だ。■

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