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かぶれの世界(新)

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或いは愚かな民意か

2010-06-23 23:26:23 | 国際・政治

菅新内閣発足直後の高支持率にはいささか驚いたが、1週間後10ポイント以上の支持率降下にも驚いた。国会が閉幕し参院選モードに突入したとたん菅首相が消費税の議論を始め、自民党のマニフェスト10%を引用すると、テレビや新聞が蜂の巣をつついた様になった。

鳩山首相を辞任に追い込んだ政治と金や基地問題は吹っ飛んだ。内閣支持率の乱高下は株式市場以上の変動だ。この民意をどう考えればいいのだろうか。冷泉氏(ニューズウィーク6/7)は、日本は超成熟社会で世論は懐疑と屈折しているからだという。かなり好意的な見方だが、普段天邪鬼の私でもそんな気持ちにはなれない。

世界最大の赤字を抱えながら更に税収以上の借金(国債)をする国家予算に対し、菅首相が示した危機感を共有せず消費税の議論すら許さない、一国平和主義的な絶対反対論が無批判に報じられると、全く進歩がないと失望を禁じえない。受益と負担を徹底的に論じて国民を方向付けしなければ、ギリシャのように市場が引導を渡す日が何時か来る。それ程先の事とは思えない。

だが、報道を見るとどうも危機感が共有出来てないように感じる。それが無責任に負担なき受益を求める傾向を助長していると考える。この数年の内閣が短期政権に終ったのはメディアの報道の仕方に一因ありと、先日投稿した記事「政変、勝ったのはメディア」で述べたが、又同じ間違いを犯しそうな予感がする。

歴史を遡ると国家的な危機に際して新聞は満州事変前後から国民を煽り、国際連盟を脱退させ日本を戦争に追い込む手助けをした前科がある。メディアは戦後になって軍部独裁を非難した。だが、日本を時世界第二次大戦へ暴走させたのは、危機的状況で国際情勢を見失ったメディアが国民を煽り軍を強く支持したからだ。

菅首相は消費税に加え年金制度改革でも超党派の協議を呼びかけ、平沼代表以外の野党は慎重な姿勢を示したと報じられている。だが、メディアが危機感を共有していれば、野党に対し超党派協議の提案を推進するよう後押しすべきだと私は考える。

現実は、菅首相が党内反対を封じ込める為に増税色を薄める意図とか、参院選で過半数を取れなかった場合の部分連合の布石を打った、というような政局的な見方が先んじて報じられた。それに比べると政策的な分析・解説は地味な扱いに終った。

これでは選挙に不利になるのを承知で消費税議論をぶち上げた菅政権の勇気を萎えさせ、国家にとって緊急且つ最重要なテーマをろくに議論せず先送りにしてしまう。それが民意であり、日本はその程度の国だと諦めるべきだろうか。仮にそうだとしたら、軍部が暴走し日本を世界第二次大戦に向わせる後押しをしたメディアが、絶好の償いをする機会ではないだろうか。■

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