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原油高騰のもたらしたもの

2005-11-14 14:46:28 | 社会・経済
このところ原油価格がバレル60ドルを切り落ち着きを見せてきた。11日のNYMEX軽油終値は1バレル57.53ドルであった。イラク戦争、中国・インド需要急増・ハリケーンによる製油所被害が引き起こした投機的なファクターが消え需給に見合った価格に収斂しつつある。原油高騰は予想したより世界経済に悪影響を与えず、寧ろこれを警鐘と捉え前向きの取り組みを促した面が多々ある。

省エネルギー、代替エネルギーの開発など脱化石燃料の動きが世界的に一気に加速した。エネルギー資源のない日本はこの分野ではずっと世界のトップを走ってきた、いわば自分の土俵で相撲が取れる勝てるテーマなのである。予想通り日本車はプレミアつきでも売れるようになりGM、フォードの経営危機は深刻な状況に陥り欧州勢もハイブリッド車の開発に拍車をかけている。

エネルギー効率の悪い中国やインドはエネルギー源確保に努めると同時に効率化の重要性を認識、日本の省資源技術が喉から手が出るほど欲しいことを隠さず、それに応え日本の技術導入が進み始めた。(ハイテック技術のように安売りして母屋を取られないことを祈るが。)注目すべきは省エネルギーなど考えたことも無かった米国消費者の生活スタイルの変化である。車の購入だけでなく車での外出を減らし相乗りが増え全米のガソリン消費量がかなり減ったらしい。具体的な統計データは入手していないが、米国消費が落ちていないことから間違いないと思われる。

又、部屋ごとに暖房する新築の個別暖房住宅が増えているという。90年半ばに住んだ米国の一戸建ての家は全てセントラル・ヒーティングだった。ガレージに天然ガスのボイラーがあり自動的に屋内の温度が保たれていた。記憶は定かではないが夫々日本の倍位の広さの居間、応接間、ダイニング、寝室x2の家(典型的な一戸建住宅)で一人暮らしの暖房と給湯のためガス料金が月100ドル程度だったと思う。今回、天然ガス価格もガソリンに連動して上がったので倍以上になった。実は石油高騰の影響はガソリンだけではないのである。としたらやはり消費性向に変化が出たのは当然だろう。

消費者から国家レベルのエネルギー政策までこれら一連の動向が与える変化は非常に大きい。日本にとっては千載一遇の機会である。過去二度の石油ショック後、日本経済は停滞した世界経済の中で先行して急成長し、日本車が市民権を得て販売を伸ばした。今回もトヨタが世界トップへの道を確かなものにしたが、それ以外にも派手ではないが省エネルギープラントから太陽電池まで日本の省エネルギー技術(又、それは低公害である)が世界の新しい需要にマッチし貢献すると期待される。官民ともにこの分野への戦略投資の強化(それは知財保護も含まなければならない)が望まれる。■


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