このシリーズは本当にネタが尽きない。今回は私の病気に対する家族や妹達の反応だ。
微妙な笑いはグッド・サインではなかった。通風で歩けないと予約日に行けないと先週病院に電話で断りを入れると、先生が出てきて検査結果はほぼ間違いなくガンだと教えてくれた。通風の症状が軽くなった今日病院に行き詳細の説明を受け、次の治療の為ガンセンターに紹介状を書いてくれた。
MRI検査で結果が異常なしになると、何故根拠の無い期待をしたのか。私なりの理由はある。検査技師は私に検査の感想を聞かれて、彼女は微笑で「何も無い」と答えた。そこに私は多くの意味を見出そうとし、希望を膨らました。実際は感想が無かっただけのことか。シーザの言葉をもじると「人は好ましい結果のみ期待する」、第2次世界大戦の日本軍部みたいだ。
先週ずっと大阪に住む妹が実家にいた。外の人から見ると我々兄弟の関係は異常なくらいクールだろう。用が無ければ何年でも連絡しない。たまにあっても話をしてもかみ合わないことが多い。決して疎遠なないが、兄弟だからといってベタベタした関係はお互いに嫌だった。
今回も、私が通風と頻尿に苦しんでいる間も表向き気遣いの言葉は無かった。数回食事を作ってくれたのと、一度洗濯物を取り込んでくれた程度だろう。だが、今回の私はベタベタしても良いから優しい言葉で気遣いを示し、通風と頻尿で苦しむ私をもう少し手助けして欲しい気分だった。私自身なるべく普通と同じ態度で接したから、彼女は今回特別だと感じ取らなかったかもしれない。
私達は非常によく似ている。堅実で質素な生活を追求する。本を沢山読み、自然を愛でる。自説を曲げない頑固なところがある。結果として、仲のよい兄弟ではない。彼女の夫は凄く気にかけてくれ、彼のチャンネルを使って色々と調べては私に貴重な情報をくれた。このギャップに共通性があった。
今回病気をして、この私の性格は私の家族がしっかり引き継いでいることを痛感した。前立腺肥大症から、通風やガンに展開する状況をその都度家族にメールで知らせた。反応があったのは娘の夫君と長男の細君だ。直接血の繋がった子供達からは一度メールで返事が来ただけだ。寂しいと責めるより、彼等はやっぱり私の子だと実感した。
だが彼等が私を気にかけてくれているのは分かっている。昨晩、娘が暇だったからと電話をくれた。その話をすると笑い声が聞えた。私が米国に単身赴任している時にも、当時高校生だった娘が時々一人で陣中見舞いに来てくれたのを思い出した。賑やかなクリスマス・パーティが終り友人が帰った翌日、娘を空港に送り家に戻った時の寂しさも思い出した。アレは堪らなかった。
今度の病気は単なる風邪では無い。それでも静かな反応しか返ってこないのは、寂しくもありホッとするところもある。微妙だ。これは代々伝えられる遺伝子であれば良いも悪いもない。そういうことだ。妹に聞くと姪夫婦も夫君の家庭に比べそういう傾向があるという。語呂合わせで我ら「クール・ファミリー」といって、私は一人でニヤリとした。■
僕もそう思います。
僕の場合、他人を笑わせるともっと元気になれるような気がします。