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パソコン商戦に変化?

2008-02-14 11:06:06 | 社会・経済

変化は1月の新製品から

今年1月第2週からパソコン商戦に起こった小さな変化が気になっていた。かつてはデジタル家電の代表製品であり、平均価格が10万円から20万円と高価で、使用する部品は多岐にわたり裾野産業を牽引する役割を果たしてきた。

しかし、ITバブル崩壊後世界市場は堅調に成長してきたが、一方日本市場は販売台数の伸びが止まり、販売単価が年々平均5%低下するというジリ貧状態が続いてきた。日本のパソコンメーカーは海外市場から撤退、事業縮小が続いてきた。

パソコンが途上国に普及するにつれ低価格化が進む一方で、従来から高付加価値路線をとってきた日本メーカーの商品が世界市場で受け入れられる可能性はなかった。加えて100ドルパソコンの市場投入が予想され、今年は生き残りをかけた陰惨な商戦になるだろうと予想していた。

平均単価が10-20%上昇

しかし、GfK Japan1によると1月に新製品が販売されると売れ行きに変化が起こった。例えば1月第3週の家電量販店の販売状況は、前年同週比で台数16.5%増、金額ベースで30.6%増という驚くべきものだった。デスクトップの売れ行きは増えてないものの、より単価増が進んでいる。

言い換えると、1年前と比べ大雑把に言って14%高い商品が台数でも16%増えたということだ。この傾向は1週限りの現象ではなさそうだ。手元に最新のデータがないが少なくとも3週続けて同じ傾向が起こった。

毎年価格が下がっていた自動車が、ある時から値上がりし始めたときの新鮮な驚きを今でも覚えている。パソコンにもそういう時代が来たのだろうか。いや、そんなことはありえない、世界市場では今でも値下がりが続いているはずだ。

値上がりの要因

一体何が起こったのか、最寄のパソコン量販店を覗いて見た。直ぐに目に付いたのは殆どの新製品はVistaに対応してメモリー(主記憶)2GB、ハードディスク(HDD)容量が120-160GBを標準装備していた。しかし、こんなものでそうそう単価が上がるはずがない。私の目にはCPUや液晶ディスプレイも商品の目玉になるようなものではなかった。

多分これだという新たな機能は、地上デジタル放送が普及し始め、この6月から録画回数が10回まで規制緩和されるのを見込んで、その対応を予め組み込んだことではないだろうか。デスクトップの単価が20%も上昇していることも、地デジ対応の多さを考えれば頷ける。

もう一つの単価増の要因として、生産の殆どを中国に移行した今、労賃や人民元の上昇などの要因も考えられる。元々ほんの数%のマージンしかないパソコン・ビジネスでは、原価アップを売価に転嫁できないと直ちに赤字に転落する脆弱な事業構造になっている。

一時的か、トレンドか 

かといって、顧客をひきつける目玉なくして売価を上げるのも自殺行為である。そこの店員が最初にあげた春商品の特徴は「地デジ対応」であった。もしかしたら、「地デジ」は低迷を続けてきた日本のパソコン・ビジネスが一服できる機会を与えてくれたのかもしれない。

だが、質問を値段が高いというクレームと捉え、店員は来週値下げするからもう一度来いと応えた。泥沼の値下げ競争を繰り返す可能性もある。日本メーカーの高機能・高付加価値戦略が価格競争を失い、世界市場から撤退した段階から次の段階に移る兆候なのか、一時的・局所的な現象なのか興味のあるところである。■

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