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原発司法リスクと地球温暖化

2016-05-17 18:56:37 | ニュース
3月に大津地裁の高浜原発3,4号機運転差し止めの仮処分決定は、極めて科学技術的で専門的な判断を司法とはいえ素人判断したもので違和感があると批判した記事を投稿した。筆の勢いで政治情勢や世論に左右され勝ちとされる韓国の司法みたいだと皮肉った。

ところが2か月以上経って日本経済新聞の滝順一編集委員が、今頃になって私には日本経済新聞が書くはずもないと思っていた記事「原発と司法、海図なき航海」を投稿した。先にイデオロギーありきの朝日新聞ならともかく、お金(経済)優先でイデオロギーの入る余地がないと思っていた日経の記事に驚いた。

私風に記事を要約すると「専門家の判断が福島第一原発の惨事を招いた。大津地裁はかつて司法が行政(専門家)のやることとして逃げていた判断を下したものであり、電力会社とその応援団は法曹界の問いかけとして注意深く耳を傾けよ。」という内容だ。

私風に意訳すると「原子力発電を推進する人達はもっと謙虚に安全性について考えよ」ということだろうか。仮処分は経営という点では電力会社にとって困った事態だが、日本の最高レベルの専門家が作った新たな安全規則を否定された原子力委員会には痛撃だが筋違いの判断だと思うだろう。ざっくばらんに言うと委員会にとってみれば素人が何を言うか、他に何をせよというのだという気持ちがあるだろう。多分、何もしないだろう。

記事を書いた滝氏も、確たる信念というより先の熊本地震は改めて自然が起こす災害は人知を超えた規模で何が起こるか分からないという漠然とした不安が底流にある様に私は感じる。そして法曹界の問いかけはそういう不安にも答え行くべきだったというものかもしれない。

だが、私はやはり原発再稼働の判断は科学的に下すべきで、専門家の判断に頼らざるを得ないと思う。一番よく知っている人達の意見を聞くのがベストだ。判断が国民感情に左右されないよう正気に戻す役割も又法曹界の責務ではないだろうか。

その例が東日本大震災以降殆ど聞かれることがなくなったのが地球温暖化の問題だ。世界的には地球温暖化は原発ゼロより遥かに重大な問題であり、日本もその責任が問われている。このまま原発の再稼働が遅れ結果として石油などの化石燃料に頼れば世界から非難が集中する恐れがある(多分G7でも)。

上記記事と同じ日にファイナンシャルタイムズは、オックスフォード大学が日本の石炭火力電力計画を厳しく非難する報告書を出したと報じる記事が掲載された。たぶん、こっちの方が圧倒的な世界の声だ。主要なエネルギーの安全性、価格計算、得られる利便性と危険性等をテーブルに上げて専門家がオープンかつ感情抜きで判断するのが我々にとって最も良い選択が得られると思う。■
コメント
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