かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

中国経済が世界一になる現実

2014-05-11 21:32:56 | 国際・政治

 中国経済が世界一に

 中国経済が今年中に米国を抜いて世界一になる。数年前までは私が生きている間にこの逆転は起こらないと思っていたが、4/30にファイナンシャルタイムズ(FT)が購買力平価換算で中国の国内総生産(GDP)が米国を抜いて世界最大の経済大国になると報じた。今月3日には世界銀行が正式に中国が世界最大の経済規模になると発表した。

 中国が世界最大の経済大国になるのは善悪の問題ではないが、私は日本にとっても世界にとっても決して良い方向には向かわない可能性が高まったと考える。裏返すと米国の相対的影響力の低下が引き起こした「Gゼロ後の世界」は、中露を初めとする新興国が普遍的なフィロソフィーに基づかない力を背景にしたルールにかき回される世界になる懸念が高まった。世界は中国経済が世界一になる現実とは何かもっと真剣に考えなければならないと私は考える。

 先ず、私が理解する「中国とは何か」から始める。
・共産党一党独裁の維持が総てに優先する
・その為に高度成長(当面成長率7.5%)を続け雇用確保し国民の支持を得る
・高度成長を続ける為には最優先で資源確保する
・世界銀行やIMF等で経済世界一に相応しい扱いを受けていない
・一方で目標達成を短期志向だけでなく長期的に考える民族
・従って(経済)状況に応じた現実的な判断を下すことが出来る

 続いて、中国の判断に影響を与える外部環境の変化がある。
・米国の経済(リーマンショック)・政治(議会のネジレ)・戦争疲れなどで相対的影響力の低下
・新たな状況に対応できないオバマ大統領の内外政策の失敗
・長引く欧州危機により欧州が世界の中軸から周辺国へ
・欧米がシリア・ウクライナ危機に対処できず信用失墜、ロシアの狙いに嵌まる
・欧米は経済優先で軍事不介入、中国経済はロシアの数倍も魅力的

 力と金を背景にした世界が来る

 以上を総合すると、中国経済及び軍事力はこれからも急速に伸長するだろう。山谷があっても国力が米国に近づいていくのは間違いなく、その過程で色々な摩擦が生じるGゼロ状態が生じるだろう。かつての米国のみ超大国(G1)は自由民主主義を建前にした時代と比べ、中露などが影響力を行使するGゼロは「力と金を背景にした世界」に後退したように私は感じる。

 ウクライナ危機で制裁を求める米国を「ゴリ押し」と評した朝日新聞の見識に私は組しない。G1時代の米国は世間知らずみたいに建前を言い募ったが、建前を無くした軍事強国が横行する世界は誰も望まない、そんな世界を子孫に残したくない。私は米国の世間知らず(一方で自分勝手だとしても)こそが、世界大戦後の日本を含め世界の多くの国を民主主義に導いたと信じる。

 中国内外の環境から最近の南シナ海における中国の挑発は、米国の軍事不介入と経済制裁が中途半端を読み切った上で、自国の軍事力を前面に押し出して身勝手な国益を押し出しても大丈夫だと判断したものである。その判断は正しかった。シリア・ウクライナ対応に米議会ネジレと米国外交が機能不全に陥った教材は山ほどある。情勢は更に悪くなるかもしれない。

 こんな自虐的な予感を共有する人達は多くない。私が見た限り中国経済が世界最強になりそうだ、その時の世界はどうなるか論評する日本メディアは見たことがない。わずかに日本経済新聞がファイナンシャルタイムズの記事を紹介していた。その記事では依然として中国の一人当たりのGDPは世界最低クラスであり、企業の本社数や研究機関とか教育の質などを指摘している。つまり、図体は大きくなっても世界一に値しない、リーダーとしての品に欠ける、と言いたいのだろう。

 世界の知恵と希望

 だが、それより中国政府がこれから何をするか、何を(貢献)するのか、世界一に相応しい責任をどう果たすのか、世界はどう対応すべきか、と私は言いたい。私の見る所、世界は急成長する中国経済のおこぼれが欲しい。日米欧は巨大な中国市場の恩恵を受けており、最悪ケースは世界は金に目が眩み中国のやりたい放題を黙認するシナリオだ。ウクライナ危機のロシアを抑止できなかった。というのがいつも楽観的な私が悲観的になる予測だ。金の力は強い、金の為には妥協もある。それは悪いことではない、軍事衝突するほど馬鹿じゃないとも言える。

 だが、希望は他でもない中国内にあると私は考える。独裁政権が資本主義の活用して大成功したが、この国家資本主義はいつか機能しなくなるというブレマー氏の予測が正しいと私は考える。中国政府はインターネットの情報管制に成功したが、5億の中流階級が7億に増えた頃には成長が止まり抑えきれなくなると予測する。その時中国政府は考えを改めるか、さもなければ倒されているだろう。それが歴史の教訓というのが最終的に楽観的になりたい私の予測だ。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする