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迷走ビッグスリー救済劇

2008-11-24 15:01:11 | 社会・経済

先週前半は米国3大自動車メーカー、所謂ビッグスリー、の救済が最大の話題、後半はシティバンクの身売りのニュースが駆け巡り、米国市場は落ち着く気配が全く無かった。現在時点でビッグスリーの救済がどうなるか全く見通しが立ってない。

これに関して前例が無いほど多くの記事や論評がなされている。そのポイントは大別すると1)税金を使って救済する価値があるのか、2)持続性の観点で本当に効果があるのか、の二つである。補助金を使った米国自動車の不公正な競争力の強化を懸念する欧州政府の声も聞こえてくる。

先週最大の救済劇ショーは、議会のヒアリングに出席したビッグスリーのトップが、自家用ジェットで来て救済を要求するとは何事かと糾弾されるシーンが全米に放送されたことだろう。このポピュリズムの極致とも言えるショーは、多くの米国人にカタルシスになったはずだ。テレビの画面から伝わる議員の芝居がかった追及は、私には選挙民へのスタンドプレーに見えた。

救済法案を提出した民主党の議員からも厳しい声が相次ぎ、結論は先送りにされ来月2日に審議が再開されることとなった。多分、次回は非常に厳しいリストラ計画が提示されると予測されている。オバマ大統領が就任し、新しいメンバーによる議会が始まる来年まで野ざらしになる可能性も予測されている。だが、議会は早急に救済策を決定すべきであると私は考える。

ビッグスリー救済が手遅れになると、第二のリーマンショックになると警告したい。リーマンショックの歴史的な大失敗は、リーマンブラザーズ破綻を単純な機能的シミュレーションだけで判断し、心理的な影響を軽視、疑心暗鬼になって世界的に深刻な信用収縮を起すことを見逃したことだ。ブッシュ政権の失敗として長く語られることになるだろう。

私には、同じミスを犯そうとしているように感じる。報道されているような300万人の失業者が出るという謂わば理論的な予測を超えて、米国繁栄のシンボルだったビッグスリーの破産とそれに続く百社を越える取引先の連鎖倒産の心理面の影響は全米に拡散し消費を冷え込ませ、本物の経済恐慌に陥る恐れが極めて高い。

20052月に「稼ぎより使う米国消費者」と題して、米国の家計の貯蓄がマイナスになったと書き込みした。米国消費者は住宅価格と株のキャピタルゲインとクレジット(借金)で買物をし、世界経済を支えている、これが何時まで続くか固唾を呑んで見守る気持ちと書いた。現在はその金づるがついに断ち切られた状況だ。

住宅価格も株式も暴落、金融収縮で買物をしたくとも借金できなくなった。極端に言うと米国の消費者はローンを借りられなければ車は1台も売れない。昨日、CNNはニューヨークのある地域のカーディーラーの売り上げが前年比の20%にしかならず崩壊状態にあると報じていた。

これは異常状態である。ビッグスリーの運転資金のつなぎ融資に加えて、消費者がかつてのようにローンで車を買おうという気持ちにさせるという、両面からの施策を早急に打たなければ、対策が遅れるほど大きなつけを払うことになることを、祈る気持ちで指摘したい。■ 

コメント (1)
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