語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】【沖縄】山之口獏「島」

2015年08月31日 | 詩歌
 おねすとじょんだの
 みさいるだのが
 そこに寄って
 宙に口を向けているのだ
 極東に不安のつづいている限りを
 そうしているのだ
 とその飼い主は云うのだが
 島はそれでどこもかしこも
 金網の塀で区切られているのだ
 人は鼻づらを金網にこすり
 右に避けては
 左に避け
 金網に沿うて行っては
 金網に沿って帰るのだ

□山之口獏「島」(『鮪に鰯』、原書房、1964)
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     ハイビスカス(ムーンライト)
    

 【参考】
【詩歌】【沖縄】山之口獏「弾を浴びた島」

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【古賀茂明】電力自由化は進んでいない

2015年08月31日 | 社会
 (1)8月14日、安倍総理の70年談話が発表された。
 同じ日、日本経済新聞朝刊の第一面に、
   「セブン、東電から越境調達 関西1000店、契約見直し割安に」
という見出しが載った。
 セブン-イレブン・ジャパンが10月以降、関西(大阪・奈良・和歌山・兵庫の4府県)で、一般家庭1万世帯分に当たる3.2万kWの契約を関西電力から東京電力に切り替える、という。

 (2)「関西の会社が東電を選ぶ」というと、電力会社を選べない一般消費者は、「すごい競争が始まった」と思うかもしれないが、実はそれは大きな勘違いだ。
 何故なら、契約容量が50kW未満(家庭、規模の小さい商店や町工場など)の契約者以外のいわゆる「大口契約者」の中から好きな電力会社を自由に選べることは、ずっと前から決まっている。
 大口の自由化は、2000年に始まり、2005年からは現在の50kWまでその対象が拡大されている。10年以上前の話なのだ。

 (3)自由化後の新規参入者(いずれも極めて小規模)のシェアは、全体の5%程度にとどまり、肝心の大手電力同士の地域を越えた競争はないに等しい。
 何故、大手電力会社間の越境販売が起きないのか。
 それは、大手電力会社の談合組織(電気事業連合会)があるからだ。地域独占の電力会社が集まって、秘密裏に相談する会議がある・・・・このこと自体、欧米諸国から見れば、ほとんど独占禁止法違反だ。

 (4)最近、その鉄の結束に風穴が開いた。
 東京電力が事実上経産省の子会社となり、トップも外部から招聘されたことで、もはや談合参加は不可能になった。
 かくして、東電とその他の大手電力会社の間では、ようやく競争が生じる環境となったのだ。今回の東電による関電管内での大口電力販売もその流れの一環だ。
 この逆のケース(東電以外の電力会社が東電管内の大口契約に参入)も起こり得るだろう。
 しかし、大手電力会社同士の競争(東電を除く)は、談合によって回避されるのは必至だ。

 (5)2016年4月の小売電力の販売自由化は、すなわち、私たち(一般消費者)も電力会社を選べる時代の始まりであり、また、電力会社間の競争が激しくなる・・・・という報道が増えている。
 しかし、こうした談合がある限り、そうはならない可能性が高い。
 現に報道されるのは、東電管内への東電以外の大手(<例>関電・中部電)の家庭向け販売参入計画と、その逆の東電による関電や中部電管内への参入計画ばかりだ(大手電力会社以外の企業による電力小売への参入計画を除く)。それ以外の大手電力同士の競争という話はない。

 (6)(5)の背景には、経産省の事情も絡む。
 超優良天下り先の電力会社の経営が、熾烈な競争によって苦しくなれば、天下りを受け入れる余裕がなくなったり、受け入れられても、肝心の役員給与が下げられたりする。
 だから、本格的な競争にならないように談合にも目をつぶらざるを得ない。
 かくて、国民のための電力自由化は進まない。
 少なくとも経産省が電力会社の規制権限を持っている限り、難しいことは確かだ。

□古賀茂明「電力自由化は進んでいない ~官々愕々第167回~」(「週刊現代」2015年9月5日号)
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 【参考】
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【詩歌】【沖縄】山之口獏「弾を浴びた島」

2015年08月31日 | 詩歌
 島の土を踏んだとたんに
 ガンジューイ(1) とあいさつしたところ
 はいおかげさまで元気ですとか言って
 島の人は日本語で来たのだ
 郷愁はいささか戸惑いしてしまって
 ウチナーグチマディン ムル(2)
 イクサニ サッタルバスイ(3) と言うと
 島の人は九章したのだが
 沖縄語は上手ですねと来たのだ

  (1) お元気か
  (2) 沖縄方言までもすべて
  (3) 戦争でやられたのか

□山之口獏「弾を浴びた島」(『鮪に鰯』、原書房、1964)
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