語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【中国】【食】またぞろあきれた事件 ~ピクピク肉にゾンビ肉~

2015年08月01日 | 社会
 (1)ピクピク肉は、中国の主婦が買ってきた牛肉の塊を切ろうとしたら、「ピクッ」と動いた・・・・という事件で、肉の塊が動く様子が映像で流れた。
 「新鮮だから動くこともある」と言う人も中国にはいるらしい。

 (2)日本ではしかし、牛肉はもちろん、豚肉も鶏肉も、買ってきた肉が動くことはあり得ない。
 牛肉や豚肉は、と畜されてからさまざまな検査が行われ、その後、枝肉の状態で取引される。枝肉は、血液、皮、頭部、内臓などを除去し、これを中心線に沿って背骨のところから二分割したものだ。
 枝肉になってから肉が動くことはまずない。
 その後、多くは枝肉を部位別に分割し、余分な脂肪や骨などを除去し、整形した部分肉(カット肉)が小売店などで流通する。

 (3)中国では、(2)のような流通段階を一切経由しないで、と畜後いきなり消費者へ部分肉が販売されるのかもしれない。
 解体直後の肉は柔らかい。しかし、解体後数時間で死後硬直が始まり、肉は硬くなる。
 日本では、死後硬直で硬くなった肉を冷蔵状態で熟成させ、柔らかくしてから流通させる。
   牛肉・・・・1~2週間後
   豚肉・・・・3~5日後
   鶏肉・・・・5~12時間後
が食べごろとされる。 
 いずれにせよ、何の検査もされていない(推定)肉が流通する中国は、食の安全について大きな不安が残る。

 (4)ゾンビ肉は、中国政府が冷凍肉の密輸グループを摘発したところ、40年前の肉が見つかった、というものだ。
   解体直後の肉も
   40年も寝かせた肉も
流通する中国は、「何でもあり」状態だ。

 (5)中国の不衛生肉といえば、昨年、マクドナルドやファミリーマートが仕入れていた中国企業の期限切れ肉や青カビ肉事件があった。
 あのショッキングな映像の肉が、日本に輸入されたのか否か、分かっていない。中国でトップクラスの企業の工場で生産された商品でさえ、日本に入ったか否かが分からないのが中国だ。

 (6)2015年1月、中国公安当局は、2008年ごろから病死した豚を加工して売りさばいていた容疑者役110人を拘束した。病死豚肉の販売先は中国国内だったが、買い主がさらに売りさばいた先は不明だ。日本向け餃子のひき肉に使われなかった保証はない。
 中国国内の取引の実態は、中国政府ですら明確には把握していない。

 (7)日本の検疫で(6)のような不衛生な肉を発見することができるか・・・・できない。ほぼ不可能だ。
 マクドナルドの取引先の期限切れ肉が輸入されても「それを検疫で見付けることは難しい」【厚労省】。
 中国産の原材料が使われているかどうか、多くの加工食品には表示義務がないので、不明なままだ。
 原料原産地表示を拡大しないと、消費者の選ぶ権利は発揮できない。

□垣田達哉「ピクピク肉にゾンビ肉、またぞろあきれた中国の食の事件」(「週刊金曜日」2015年7月24日号)
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 【参考】
【中国】【食】隠れ中国産チキン ~ファミレス・ファストフード・コンビニ・スーパー~
【中国】【食】日本マクドナルドの対策の不徹底 ~中国産チキン問題~
【中国】チキンの恐怖 ~ファストフード、ファミレス12社~
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【中国】チキンの恐怖 ~日本マクドナルドの中国産鶏肉の危険性~
【中国】習近平、見えてきた独裁者の正体 ~外交・内政・軍事・経済~
【中国】システムの危機と上部からの腐敗 ~老化する大国(3)~ 
【中国】党指導部はゲームの脇役 ~老化する大国(2)~ 
【中国】共産主義の崩壊と伝統的家族への回帰 ~老化する大国(1)~
【中国】低迷する経済 ~習近平政権の1年~
【中国】現地取材で痛感 やっぱり危ない中国産食品
【中国】実録・猛毒食品「僕らだって怖い!」 ~中国人は語る~
【食】添加物の危険性 ~煮付け油揚げ~
【食】危険な除草剤の増加 ~除草剤耐性GM作物~
【食】イオンの産地偽装 ~中国猛毒米~
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【食】「危ない中国産」を見破る法 ~ジュース・菓子~
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【食】中国産鶏肉の危険(2) ~有機塩素・残留ホルモン~
【食】日本マクドナルドが輸入する中国産鶏肉の危険 ~抗生物質~
【食】中国産食材は大丈夫か? 日本の外食産業は?
【食】【TPP】原産地表示の抜け道 ~食のグローバル化~
【食】中国食品の有害物質混入、表示偽装 ~黒心食品~
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド・その後
【食】中国産薬漬け・病気鶏肉を輸入する日本マクドナルド


【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」

2015年08月01日 | 詩歌
 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

 それを拾つて、役立てようと
 僕は思つたわけでもないが
 なぜだかそれを捨てるに忍びず
 僕はそれを、袂(たもと)に入れた。

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

 それを拾つて、役立てようと
 僕は思つたわけでもないが
    月に向つてそれは抛(はふ)れず
    浪に向つてそれは抛れず
 僕はそれを、袂に入れた。

 月夜の晩に、拾つたボタンは
 指先に沁しみ、心に沁みた。

 月夜の晩に、拾つたボタンは
 どうしてそれが、捨てられようか?

□中原中也「月夜の浜辺」(『在りし日の歌』(創元社、1938)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
【詩歌】中原中也「サーカス」
【詩歌】丸ビル風景 ~正午~