語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】スマホがもたらす健康破壊 ~危ない“スマホ育児”~

2015年08月03日 | 医療・保健・福祉・介護
 スマートフォンの普及はめざましく、携帯電話を含めた契約台数は1億4,784台、一人当たり1台超となった(2015年3月末)。
 普及すれば、健康への影響も増す。長時間使用により、じわじわとさまざまな健康破壊が進む可能性がある。
 どんな健康破壊があり得るか。

(1)絶え間ないストレス
 SNS(ライン、ツイッター、フェイスブックなど)利用の増加によるネットへの深い依存が原因であり、その深刻さはアルコールや薬物依存と同等と指摘する専門家もいる。
 SNSを媒介に、監視、仲間はずれ、嫌がらせ、いじめなど友人関係の変化も見られる。ほとんどの子どもがいじめの体験をもつ、と見られている。

(2)整形外科的障害
 指が変形する「テキスト・サム損傷」・・・・腱鞘炎の一種で、コンピュータ労働などで起きている職業病が一般の人たちの間に広がった。
 首が変形する「ストレートネック」。
 
(3)視覚的障害
 光や音の問題がある。四六時中、光を至近距離から見つめることによる影響だ。光を発する機器を見つめ続け始めたのはテレビからで、それにコンピュータ、スマホが加わった。
 スマホでは、さらに遠くを見なくなることによる影響もある。
 LEDが発する青い光も問題だ。この光の色は、メラトニン(脳の松果体で分泌されるホルモン)を抑制することが指摘されている。メラトニンは、生体リズムにかかわっていて、そのリズムに変調をもたらす可能性がある。また、LEDの青い光は網膜にダメージをもたらし、黄斑変性症の原因にもなる、とも見られている。
 LEDが発する青い光は、特に赤ちゃんの眼への影響が大きい。親がスマホの画面を見せてあやしたり、赤ちゃんが親のスマホの画面を覗いているケースがけっこうある。眼の構造の基本は6~7歳くらまでにほぼ形成されてしまうから、スマホで子守などもってのほかだ。

(4)聴覚的障害
 スマホで音楽を聴く人も多い。四六時中、イヤホンで大音量にして聞くと、聴覚障害が起きやすい。

(5)内臓への影響
 電磁波による影響もある。人間の体内で、電気は重要な働きを行っている(心電図や脳波などは、体内の微弱な電流をキャッチして得られる)。バイオテクノロジーは、細胞融合や遺伝子組み換えなど、その電気を利用しているものが多い。
 スマホの電磁波は、体内の電気をかき乱す。その影響は子どもほど大きい。
 電磁波の影響の中でもはっきりわかっているのは、発癌性だ。世界保健機関(WHO)の専門機関である国際癌研究機関(IARC)は、2011年に、携帯電話が発する高周波の電磁波を「グループ2Bの発癌性の可能性がある」にランクした。
 電磁波は、そのほかにも、脳内ホルモン(ドーパミン、セロトニン)に影響して、鬱などの精神疾患をもたらす。
 ホルモン(内分泌)への影響は、同時に免疫系や脳神経系にも影響を与える。
 免疫系への影響は、抵抗力を失わせ、アレルギーになりやすくなる。
 脳神経系への影響亜、落ち着きを奪い、自律神経失調症などをもたらす可能性がある。

□天笠啓佑(ジャーナリスト)「スマホは総合的な健康破壊器具 今すぐ“スマホ育児”はやめましょう」(「週刊金曜日」2015年7月31日号)
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【詩歌】中原中也「夕照」

2015年08月03日 | 詩歌
 丘々は、胸に手を当て
 退けり。
 落陽は、慈愛の色の
 金のいろ。

 原に草、
 鄙唄(ひなうた)うたひ
 山に樹々、
 老いてつましき心ばせ。

 かゝる折しも我ありぬ
 小児に踏まれし
 貝の肉。

 かゝるをりしも剛直の、
 さあれゆかしきあきらめよ
 腕拱(く)みながら歩み去る。

 *

●大岡昇平「在りし日の歌」(『大岡昇平全集第16巻』(筑摩書房、1995)所収)

 前線で立硝中、熱帯の夕焼を眺めながら、「夕照」を勝手な節をつけて歌った。

  丘々は、胸に手を当て
  退けり。
  落陽は、慈愛の色の
  金のいろ。

 「破調」の著しい第二連は思い出せなかった。私は軍隊生活を大体次の終連のような心意気で忍耐していた。

  かかる折しも我ありぬ
  少児に踏まれし
  貝の肉。

 同時に昭和四年頃私がこの詩を褒めた時の、中原の意地悪そうな眼附を思い出した。「センチメンタルな奴」とその眼附はいっていた。

□中原中也「夕照」(『山羊の歌』(文圃堂、1934)所収)
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 【参考】
【詩歌】中原中也「骨」
【詩歌】中原中也「月夜の浜辺」
【詩歌】中原中也「一つのメルヘン」
【詩歌】中原中也「湖上」
【詩歌】中原中也「汚れつちまつた悲しみに・・・・」
【詩歌】中原中也「サーカス」
【詩歌】丸ビル風景 ~正午~

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