事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

09年正月興行を予想する!

2008-11-26 | 映画

Harrypotter6_1_2   予想する、つってもなあ。ほんとうなら今ごろ映画館では「ハリー・ポッターと謎のプリンス」が上映され、出来はどうあれ観客を集めまくっていたはず。次第に興行収入が低下したといっても前作は百億近く稼いでいたのだから。

 今年の洋画トップ「レッドクリフ」でも50億どまりだからハリーは映画界の希望の少年。ところが、配給のワーナーが今年の「ダークナイト」大ヒットの夢よもう一度と、公開予定を11月22日から来年の7月に延期してしまったのである。大騒動。

 あわてふためいた日本支社は代替作品を急きょ用意することになった。で、決定したのがリドリー(エイリアン)スコットが監督し、ディカプリオとラッセル・クロウが主演する「ボディ・オブ・ライズ」……誰もハリポタの代わりになるとは思っちゃいない。

※「ボディ・オブ・ライズ」はなぜか「ワールド・オブ・ライズ」に邦題変更。意味わからん。

興行収入だけ考えれば全世界(アメリカではさほどでもないが)でバカヒットしている007の新作「慰めの報酬」しかないだろうと思うのだがこちらはソニー。素人にはうかがい知れないオトナの事情でもあるのか、こちらは正月第二弾から動く気配もない。かといってアメリカで旋風をまきおこしている「トワイライト~初恋」は、日本では原作の認知度ゼロだから期待はできないもんね。結果として今年の正月興行はその「ボディ~」と「地球が静止する日」(キアヌ・リーブス)、そして「WALL・E / ウォーリー」(ピクサーのCGアニメ)が洋画代表。地味だー。

 対して邦画はパニックもの「252 / 生存者あり」と「私は貝になりたい」、そして「K-20 怪人二十面相・伝」「ゲゲゲの鬼太郎」「特命係長 只野仁」……いやはや。「252」は出来が壮絶に悪いらしいし、他のもなあ。唯一「三丁目の夕日」のスタッフが金城武を起用した(ってことは「リターナー」の雰囲気かな)「怪人~」が期待できるぐらいだ。去年の正月興行を制したのが愚作「アイ・アム・レジェンド」だった悪夢がまたしても。こりゃ、とても期待できる正月ではない。

N0012817_l  洋画の低迷が今年の映画界最大のニュースだった。シネコンの隆盛によって器はできても、肝心の作品がこんな状態では、邦画もふくめて復調はまだまだだろう。本気で心配してるのよ。ってことで今年はわたし「WALL・E/ウォーリー」と「怪人二十面相・伝」を観て、あとは寝正月っす。第一弾は「WALL・E/ウォーリー」以外はいずれも三十億に届かず、結局は「慰めの報酬」が制すると予想!

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国家の罠 PART3

2008-11-26 | 国際・政治

Satou6 PART2はこちら

外務省において主にインテリジェンス(諜報活動)を担当し、鈴木代議士(および外務省のある派閥)は四島一括返還から後退した意味で二島先行返還をかかげたわけではないとする佐藤の、なぜ鈴木は逮捕されたかの考察は二点にまとめられる。

・内政上の「公平配分モデル」から「傾斜配分モデル」への転換

小泉内閣治世下、官から民への権限委譲・規制緩和が進んだ。これは鈴木宗男に代表される『経済的に弱い地域の声を汲み上げ、政治に反映させて公平配分を担保する』タイプの政治家(利権型)を退場させ、『強者をもっと強くすることで機関車の役割を果たさせ、客車である弱者を牽引させる』タイプの政治家(強権型)が主流となることを意味する。この流れに鈴木は押し出された。

・外交上の「地政学的国際協調主義」から「排外主義的ナショナリズム」への転換

橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の三総理は、排外主義が国益を毀損することを理解していた。しかし小泉総理となって(より過激な主張がより正しいとされる)ナショナリズムに外交指針がぶれ、二島返還論の象徴としての鈴木宗男はこの意味でも排除された。

……説得力がある。日本の外交が排外的、愛国的になったことで北朝鮮問題は泥沼化するであろうと小泉訪朝の段階で佐藤は既に指摘しているし。橋本、小渕はともかく、清和会の森喜朗にそれだけの頭があったかは疑問だけど。

 しかしこの鈴木宗男騒動において、国策捜査を行った側にとって最も計算違いだったのは、この佐藤という外交官の存在だったろう。彼は五百数十日に及ぶ勾留の間、取り調べ、裁判に臨むと同時に独房のなかで哲学を学習し、出獄後「国家の罠」「獄中記」の出版、そしてベストセラー化という形で一種の逆襲に転じたのだ。外務省のラスプーチンとマスコミから、世間から唾棄された男の内面が、まさしくキリスト者だったことの意外さと、狂的とすら思える学習意欲こそが、この男を歴史に残すはず。その意味で必読。

 しかしね、やっぱり官僚を“恫喝”して操ろうというムネオ手法には、役人のひとりとして嫌悪は感じる。鈴木宗男が、これから政界でどんな存在となっていくのか、“遠くから”(入れ込まないでね)見ておこうとだけ、最後に書き添えておく。

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国家の罠 PART2

2008-11-26 | 国際・政治

Kokkanowana01_2  PART1はこちら

 今回のテキストは鈴木宗男とのからみで「背任」と「偽計業務妨害」というわけのわからない罪状で逮捕された、ノンキャリア外交官である佐藤優の「国家の罠」(新潮社)および「獄中記」(岩波書店)。だから鈴木サイドの言い分ではないか、とある程度割り引いて聞いてもらう必要はあるかも。

 佐藤によれば、外相時代に職員から陰で「ばあさん」と呼ばれ、なによりも秘密が守れないトップであることで忌避され続けた真紀子は、外務省における鈴木宗男の影響力にいらついていた。背景にあったのは……

・かつて鉄の結束を誇った田中派を、竹下登が角栄を裏切る形で(と真紀子は信じている)乗っ取ったことに対する私怨(鈴木宗男の国会議員への道を開いたのは金丸信であり、野中広務を尊敬していると広言してはばからない)。

・角栄の首相時代(73年)、ブレジネフとの首脳会談で日ソ共同声明が発表され、角栄がブレジネフに「(声明にある)未解決の諸問題には北方四島問題が含まれるか」と念を押したところ、ブレジネフは「ダー、ダー(そうだ、そうだ)」と答えた。しかしその後、冷戦の継続からこの事実はソ連から否定される。真紀子がこの会談を日露関係の基礎にすると主張したことで、ロシア側に警戒感が生まれたと外務省のある派閥が判断し、その派閥こそが鈴木宗男を後ろ盾としていた事実。

などがあった。ちなみに、この外務省を真紀子は伏魔殿と呼んだが、なかなかに興味深い組織なので紹介しておこう。
 外務省には、いわゆる学閥は存在しない。代わりに「スクール」と呼ばれる研修語学別の派閥が存在する。大別して

・アメリカスクール(英米派)
・チャイナスクール(中国派)
・ジャーマンスクール(ドイツ派)
・ロシアスクール(ロシア派)

となっている。ちなみに、加藤紘一はもちろんチャイナスクール。なにしろ外交官時代に香港副領事だったしね。それぞれのスクールは一枚岩ではなく、入り乱れた派閥の抗争が鈴木宗男逮捕、田中真紀子更迭の裏にはあったと佐藤は主張している。以下次号

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