事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

解説者を評定する~北京オリンピック篇その3「マイナースポーツ」

2008-08-21 | スポーツ

Yoshidahamadaichos 北京オリンピック篇その2「緑のライン」はこちら。

 オリンピックの醍醐味は、『4年に1回しか観ることのできない競技を楽しむ』ことにある。違います?すくなくともわたしはそうです。こんなときでもなければアーチェリーやフェンシング、カヌーやエアピストルを“ライブで”観ることなんてないでしょう?

 特にわたしが夢中になったのはアーチェリー。70m(!)離れた的に、10点満点で12射。考えてみればシンプルきわまりない競技。しかしおもしろかったー。対戦相手と交互に放つ矢が、怖いぐらいに的の中心を射抜きつづける神業の凄みは、ディスプレイからも十分に伝わってきた。メンタルな競技なので、解説者も「いかに平常心を維持するか」をクールに語っていた。参考にするにはあまりにも神業なのだけれど。

 この競技に弱点があるとすれば、“とんでもない世界新記録が生まれる余地がない”ってところだろうか。すでに10点×12射=120点のパーフェクトゲームは達成されているんですって。

 フェンシングにしても、金メダルを争う決勝戦で、アナウンサーと解説者は、ひたすらルールの解説につとめていたのはマイナースポーツの置かれた立場をよくあらわしている。

 メダルラッシュなものだから誤解されがちだけど、レスリングだって事情は同じ。解説の元金メダリスト高田裕司が「もうすぐ世界選手権が」とか「(メダリストたちを)ちょっとは休ませてあげたいんですけど世界選手権が」と連呼していたのは微笑ましかった。そっちもちゃんと観てよ、ってことだろう。

 メディアへの露出が少ないアマチュアスポーツにとって、五輪は最高のプレゼンの場。ここでの活躍が将来の競技人口に露骨に反映するわけだ。だから競技が終わった途端に解説者が「業界の人」と化してしまうのは仕方のないところかな。え?伊調姉妹は引退するかも?高田さんたいへんだ、世界選手権がぁ!

次回は「場末のスナックにて

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「ダークナイト」The Dark Knight('08 米)

2008-08-21 | 洋画

Thedarkknight  You Tubeに、オープニングの銀行襲撃シーンがアップされたのは春ごろだろうか。何気なく見ていたわたしは、あの小さくて粗い画面にいきなり引きずりこまれた。なんじゃこの緊張感は!こりゃ、観るしかあるまいとすぐに結論づけた。

 結果、北米ではバカヒット(「タイタニック」に次ぐ興収とか)。日本では、わたしが観た三川イオンシネマのいちばん小さなスクリーンしか与えられず、北京オリンピックの女子マラソンとかぶったこともあって2~3分の入りだった。

 これ、仕方がないのかも。「ダークナイト」を“楽しむ”のって、肉食欧米人なみの体力が必要だから。

「メメント」「インソムニア」と同様に、クリストファー・ノーランはひたすら観客を不安な状態にただよわせ、同時に並の映画の4本分くらいのアイデアをぶちこんでいる。そして何より故ヒース・レジャー演ずるジョーカーの狂気が、スクリーンを飛び出して観客の喉元に食らいつくようだ。いやもう見終わってぐったり。これはもう映画じゃないぞ。でもいっしょに見ていた息子は「面白かったーっ!」と大喜び。若いってすばらしい。

 とにかくノーラン兄弟の脚本が周到。マイケル・ケイン、モーガン・フリーマンという稀代の名優ふたりをコメディ・リリーフにすえ(しかし最後に存分に名演技を披露させている)、クリスチャン・ベール、マギー・ギレンホール(ごひいきジェイクのお姉さん)、アーロン・エッカートの三角関係をちりばめながら、作品をつらぬくのは「狂気」と「破壊」。

常に口からでまかせを吐き(なにしろ名前が“冗談をいう人”だし)、看護婦のコスプレまで見せるふざけた悪役ジョーカー。バットスーツ(柔軟性を求めるかわりに防弾性を犠牲にした設定がラストでいきる)とアルマーニを交互に身にまとうブルース・ウェイン。両者の主張は同様に病んでいて、同様に正義を包有している。ネタバレになるけれど、ジョーカーのしかけた最大のトラップはある理由で破綻する。きれいごとだと切って捨てるのは簡単だ。しかしあれがなかったら、この暗黒の騎士の物語は救いなく暗いものになっていたはず。マジでもう一度観たくなる傑作。なるほど、だからむちゃくちゃにヒットしているのか。必見!

Heathledgerclap

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