ライブや書き仕事でのアウトプットはさておき、
最近インプットが足りないと痛感しております。
知的な刺激が少ないとつまらないことばかり思いつくので、
今年は面白そうな本を100冊読みたいと思ってます。
(映画も、ライブもね)
というわけで。
これは仕事関連で必要があって去年読んだ本ですが、
なかなか面白かったので、その時書いた文章の再録です。
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この本で面白かったのは「不均一照明」という考え方です。
近代化とは「暗さとの戦い」でもあり、
焚き火や篝火からはじまり、
ランプ、ガス灯、電灯、蛍光灯と、
私たちはより明るい灯を次々と発明してきました。
天井に明るい蛍光灯を設置して皎々と部屋を照らす、
というスタイルは、ある意味で夜に対する勝利かもしれません。
しかし、古来人間は、昼は狩りや農耕を行い、
夜は焚き火などを囲んで動物を遠ざけつつ、
食事をし、寛ぎ、休んでいたわけです。
ですから、本来、夜、家で休むときの灯りが
昼間のような光、である必要はないのではないでしょうか。
では夜、寛ぐための、灯りとは?
そのキーワードの一つが、
この本に出てくる「不均一照明」だと思います。
均一な照明とは、いわゆるオフィスの照明です。
天井に明るい蛍光灯がたくさん埋め込まれていて、
広いオフィスのどの席の人の机の上も
明るく照らすことができる、というもの。
昼間の太陽のように上から下へ、
全てをくまなく明るく照らす光です。
一方「不均一照明」は、明るさにグラデーションがあり、
暗さを孕んだ光。この不均一さが、夜を感じさせ、
休息のとき、寛ぎのときを感じさせるのではないでしょうか。
仕事から家に帰ってからベッドに入るまでの数時間、
暗さを孕んだ灯で心静かに過ごすのは、
贅沢な時間の過ごし方であるだけでなく、
私たちの本能に最もフィットする、
自然なことでもあるのです。
夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論 (朝日選書) | |
乾 正雄 | |
朝日新聞社 |
ロウソクと蛍光灯―照明の発達からさぐる快適性 (祥伝社新書) | |
乾 正雄 | |
祥伝社 |
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