通でがんす

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(旧ブログタイトル:通じゃのう)

映画『地球防衛軍』

2023年08月13日 | まんが・テレビ・映画
世界の名作映画を上映しているのが
「午前十時の映画祭」。

広島バルト11では、
8月11日から17日まで
『地球防衛軍』を上映中。

一昨年の『モスラ』、
昨年の『空の大怪獣ラドン』に続いて、
『地球防衛軍』も4Kリマスター
での上映となるんじゃの。



↓「午前十時の映画祭」については、こちら↓

「午前十時の映画祭」公式サイト



↓広島バルト11については、こちら↓

広島バルト11





今日は、
映画『地球防衛軍』
についての話でがんす。





映画『地球防衛軍』(東宝)は、
今から66年前の
1957年12月に公開された
空想科学映画。

1957年といえば、
日本が太平洋戦争に負けてから
わずか12年後ではあるが、
前年の1956年度の経済白書に
「もはや戦後ではない」
と書かれた時代であり、
高度経済成長が始まった時代でもある。

そして、米ソ(べいソ。
アメリカとソ連(ソビエト連邦))の
宇宙開発競争が激化した時代。

そんな時代に作られた
『地球防衛軍』は、
宇宙人による地球侵略を
テーマとする作品。

外見が人型でない宇宙人が
地球を侵略するのは
『宇宙人東京に現わる』
(1956年、大映)が先だが、
人型の宇宙人が地球を侵略するのは
本作が嚆矢(こうし。先がけ)である。



↓『宇宙人東京に現わる』についての関連記事は、こちら↓

映画『宇宙人東京に現わる』



『宇宙人東京に現わる』では、
宇宙人同士の会話は
字幕で処理されていたが、
本作では
宇宙人(怪遊星人ミステリアン)と
地球人の間の会話は
日本語で行われた。

このときに創作されたのが、
宇宙人による抑揚のない
合成音声的な話し方の
「ワレワレハ、ウチュウジンダ
(=我々は宇宙人だ)」。

この話し方は、
ミステリアン統領役の土屋嘉男の
アイデアによるものだという。

ミステリアンが被るヘルメットの
口の部分に翻訳機があって、
それ通しての機械音声による会話
という設定だった。




ミステリアン。
カラー作品とあって、赤(最高指揮官)、黄(中級指揮官)、青(一般戦闘員)と色分けされている。
(画像はウィキペディアより)



初めてといえば、
「モゲラ」という名の巨大ロボットが
登場する、日本初の映画でもある。

モゲラは、
その体にキャタピラ状のものが
ついているところからもわかるとおり、
地球侵略用ではなく
土木工事用だという設定だった。


『地球防衛軍』は、
東宝スコープ
(ワイドスクリーン。横長画面)、
イーストマンカラー総天然色
(このころは「カラー」のことを、
「総天然色」と呼んでいた)、
そして、モノラルを疑似ステレオ化した
パースペクタステレオで作られた。

このころの映画は、
テレビ放送に対抗して、
カラー・ワイド・立体音響
を取り入れ始めたころ。

パースペクタステレオは、
スクリーン裏に設置されている
スピーカーの左・中央・右に
音量を振り分けることで、
スクリーンの画面に合わせた位置で
立体的に再生するというもの。

今回の4Kリマスタリングでは、
このパースペクタステレオを
復元している。


最後になったが、
『地球防衛軍』は、
『ゴジラ』(1954年)、
『ラドン』(1956年)を生んだ、
監督:本多 猪四郎、
特技監督:円谷英二
(本作では、「圓谷英二」表記)、
音楽:伊福部 昭の
ゴールデントリオで製作された
作品でもある。





以下、余談。


『地球防衛軍』から円谷英二作品に
参加するようになったのが、
空想科学イラストや
プラモデルのボックスアートなどで
活躍した、画家・イラストレーターの
小松崎 茂。

本作では、
地球防衛軍の空中戦艦
アルファ号・ベータ号、
対ミステリアン用光線兵器
マーカライト・ファープや、
ミステリアンの乗る円盤
などをデザインした。

また、ストーリーボード
(脚本の一場面を
イラストにすることで、
その場面のイメージを
スタッフ同士で共有する)
も手がけている。


円谷英二は、(略)
「どんな作品が出来ているか、とっても楽しみで…」といって、出来上がった作品を本当に嬉しそうな顔で眺めていた。

(根本圭助『異能の画家 小松崎茂-その人と画業のすべて』光人社NF文庫 2000年 279ページ)



本作以降も、
『モスラ』『世界大戦争』『海底軍艦』
などの映画や、
製作中止となった『空中軍艦』
(このときのメカデザインが
『マイティジャック』に影響を与えた)
などの円谷作品に参加している。



↓小松崎 茂についての関連記事は、こちら↓

小松崎茂とサンダーバード





以下、さらに余談。


冒頭に書いたとおり、
映画『地球防衛軍』は
今から66年前に公開された。

今は当たり前に使われているものが、
当時は時代の最先端のもの
だったりする。

たとえば、ミステリアンが
富士山の裾野に作り上げた要塞、
ミステリアン・ドーム。

これは、戦後の日本で生産量が増えた
プラスチックで作られたそうだ。


ミステリアン・ドームね。(略)
あれをどういう材料で作るか検討したときも大変だったんですよ。これをガラスで作ったら型を作るだけで製作費が吹っ飛んじゃうようなものでしょ。紙を張ったってできないし。(略)
当時、プラスチックがそろそろ実用化されてきてね。(略)
それを見つけてね。これだということで。できるだけそれをたくさん使ってね、

(本多 猪四郎『「ゴジラ」とわが映画人生』ワニブックスPLUS新書 2010年 118ページ)






今日は、
映画『地球防衛軍』
について話をさせてもろうたでがんす。



ほいじゃあ、またの。

(本文中、敬称略)
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