タイトル----礼節いろはことば 「よ」 第593号 22.09.19(日)
「よ」 善きことを 日に一つして 清々し----能く化することを為す。『中庸』
『中庸』は、〈唯天下の至誠(しせい)能(よ)く化することを為す〉と訓えています。「至誠、人を動かす、といいます。この上もなく誠実な者だけが世のなかに感化を及ぼす、いわゆる物を化する域に至り、徳を修めた聖人のごときである」というのです。
めまぐるしい変化をとげている今日では、聖人のごとき行いは出来ないとしても、その人の心がけによってちょっとした積善の工夫は出来ると思います。
また『呂覧』(りょらん)は、〈能く無為(むい)を執る、故に能く衆を為さしむ〉と訓えています。「上に立つ者が何事も干渉もせず無為の態度をとることが、かえって部下を仕事に励ませることになる」というのです。
こういう達観した上司の行為は、人を育てる尊い教訓であると同時に、善きことに違いありません。そういう善き行いは人を自立に向かわせ、社会の模範的事例として、人を活かす教材ともなります。
一人の行いはたかが知れていますが、これが人々の間で応用・活用されるとなると、社会の浄化作用としては、計り知れない効果を生み出すことになるでしょう。細やかな善き行いが、清々しい心を潤す清涼剤となるよう心掛けたいものです。