第2991号 29.03.09(木)
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仁は人の安宅なり。義は人の正路なり。『孟子』
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仁は人が安んじていられる住まいである。義は人が胸を張って歩くべき正しい道である。だから、この安宅を空家にし、この大道を避けるのは、哀れむべきことだ。115
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【コメント】仁と義を車の両輪のごとく一体として前身したいものです。そのためには、大道を行く本人が、人間学の条件を明確にすることが要諦でありましょう。
それは学問の内容と目的だといっていいでしょう。それは「人間の本質的完成のため」であることが肝要であるからです。
『荀子』は、学問の本当の目的は、立身出世や就職などという「通」のためではなく、「窮して困しまず、憂えて意衰(こころおとろ)えず、禍福終始を知って惑わざるがためなり」といっています。
窮して苦しまない、憂えて心衰えないこと、何が禍いであり、何が福であり、どうすればどうなるかという因果の法則を知って、人生の複雑な問題に直面しても、あえて惑わない人間創りを提唱しているのです。
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そのためには人間の我ではなく、人々の是認する普遍的正当性のある評価がなければならないと考えます。その思想的背景に「仁と義」が必要だと思います。
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「南洲詩より」『闕を辞す』
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独時情に 適せず、
豈勧笑の 声を聴かんや。
羞を雪(そそ)がむとして 戦略を論ずれば、
義を忘れて 和平を唱ふ。
秦檜 遺類多く、
武公 再生し難し。
正邪今 那ぞ定めむ、
後世必ず 清を知らむ。
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『臥牛菅実秀』(第523回)
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それに日本海の方から射しこむ西日を防ぐために、欅の並木を植えた。これは現在、みごとな巨木になって倉庫の屋根を覆うている。
また新井田川からの米の揚げおろしの際に、風雨が当らぬように荷揚げ、河戸、船継ぎ場に雨覆いの屋根をかけ、廊下を渡すなど、すこぶる独創的な設備をしたのであった。
軟質米として夏季の保存に弱い宿命を負っていた荘内米が、夏季に入っても売り急ぐことも買い叩かれることもなく、有利に販売できるようになったのも、味付米として中央市場で日本一と評価されるようになったのも、この倉庫の水ももらさぬ保管設備に負うことが多かった。明治二十年代に建設されたこの倉庫が、現在の近代的な倉庫と保管機能を比較して決して遜色のないことからみても、この倉庫は、預かり米をよりよく保管して荘内米の声価をたかめることに、徹底した考慮が払われていたことが窺われる。
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仁は人の安宅なり。義は人の正路なり。『孟子』
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仁は人が安んじていられる住まいである。義は人が胸を張って歩くべき正しい道である。だから、この安宅を空家にし、この大道を避けるのは、哀れむべきことだ。115
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【コメント】仁と義を車の両輪のごとく一体として前身したいものです。そのためには、大道を行く本人が、人間学の条件を明確にすることが要諦でありましょう。
それは学問の内容と目的だといっていいでしょう。それは「人間の本質的完成のため」であることが肝要であるからです。
『荀子』は、学問の本当の目的は、立身出世や就職などという「通」のためではなく、「窮して困しまず、憂えて意衰(こころおとろ)えず、禍福終始を知って惑わざるがためなり」といっています。
窮して苦しまない、憂えて心衰えないこと、何が禍いであり、何が福であり、どうすればどうなるかという因果の法則を知って、人生の複雑な問題に直面しても、あえて惑わない人間創りを提唱しているのです。
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そのためには人間の我ではなく、人々の是認する普遍的正当性のある評価がなければならないと考えます。その思想的背景に「仁と義」が必要だと思います。
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「南洲詩より」『闕を辞す』
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独時情に 適せず、
豈勧笑の 声を聴かんや。
羞を雪(そそ)がむとして 戦略を論ずれば、
義を忘れて 和平を唱ふ。
秦檜 遺類多く、
武公 再生し難し。
正邪今 那ぞ定めむ、
後世必ず 清を知らむ。
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『臥牛菅実秀』(第523回)
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それに日本海の方から射しこむ西日を防ぐために、欅の並木を植えた。これは現在、みごとな巨木になって倉庫の屋根を覆うている。
また新井田川からの米の揚げおろしの際に、風雨が当らぬように荷揚げ、河戸、船継ぎ場に雨覆いの屋根をかけ、廊下を渡すなど、すこぶる独創的な設備をしたのであった。
軟質米として夏季の保存に弱い宿命を負っていた荘内米が、夏季に入っても売り急ぐことも買い叩かれることもなく、有利に販売できるようになったのも、味付米として中央市場で日本一と評価されるようになったのも、この倉庫の水ももらさぬ保管設備に負うことが多かった。明治二十年代に建設されたこの倉庫が、現在の近代的な倉庫と保管機能を比較して決して遜色のないことからみても、この倉庫は、預かり米をよりよく保管して荘内米の声価をたかめることに、徹底した考慮が払われていたことが窺われる。
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